京都市役所本庁舎は1927年に竣工した政令市で最古の庁舎です。関西建築界の父と称される武田吾一の設計による立派な建物は2017年からの4年に亘る改修・再整備を経て2021年9月に本庁舎の供用が再開されています。



ただ、上掲の記事の通り、庁舎再整備に約160億円掛かっていることが、昨今の京都市の財政問題に絡んで批判の対象となっています。



そこで、実際どこまでの再整備が行われているのか、一般公開されている部分に限られますが、見ていこうと思います。


庁舎内バーチャル見学!


ファサードと広場です。

iPhone13proMAXの広角撮影が活かされました笑。

堂々なる佇まいです。



正面玄関。

竣工時のままの装飾、照明、そして大理石が京都市の格式を思わせます。



玄関ホール。

シンメトリーで纏められており、色彩も上品。階段の踊り場には京都各地の景観をステンドグラスでデザインされています。



柱の梁の造形美も流石です。



両サイドに執務室が並ぶ通路。

間接照明のデザインが秀逸で、モダンかつ建物の意匠を大切にしているのが窺えます。



1階に設けられた市民ギャラリー。

地域の人たちの憩いに使えるパブリックな空間が多い印象を持ちました。



市民ギャラリーからは玄関前広場が見えます。



庁内には伝統工芸が数多散りばめられていて、こういう時計も展示されています。



1階のエレベーターホールは何と漆塗り!

で、エレベーターに乗って屋上へ……




屋上も市民に開放されているスペースとなっていて、京都の市街地を一望しながら気分転換を愉しめます。

この日は雨上がりなこともあって誰も訪れていませんでした。




こちらは東山を望む景色。天気が良い日に来てみたい!




立派な塔屋を間近から眺めると、また細やかな造形美に驚かされます。

国際都市京都のシンボルとして各国の建築の特徴を持ち寄った設計となっていて、この塔屋は日本とインドの意匠を強く取り入れたものとなっているそうです。


さて、今度は地下に降ります。



今般の再整備で新設となったのが、地下鉄の京都市役所前駅と本庁舎を繋ぐ地下通路。

この日はワクチン接種会場開設のため待ち列に椅子が用意されていました。


総括

財政難で市民サービスの縮小もやむを得ない状況の京都市にとって、今般の再整備はやり過ぎとの意見も多く、むろん、納得できるところもあります。

ただ、今回の計画が2017年にスタートしていることを考慮すると、20年以降のコロナ禍を予測することができなかったことが論点のひとつめ。ふたつめとしては、「市役所」とは本来どういう場であるべきか、ということにあろうかと思っています。


ストックホルム市庁舎「金の間」(出典:Wikipedia)


海外ではノーベル賞晩餐会・ダンスパーティーの会場にも使われるストックホルム市庁舎の壮麗さはつとに知られるところであり、オーストラリアの港町・ブリスベンの市庁舎は美術館も併設されているなど、"City Hall"の名に違わぬ、市の都市格向上に資する施設となっています。一方で、わが国における庁舎はおもにオフィスや最低限の市民サービス機能に限定されたものという考え方が大勢のようです。その見地に立つと、京都市役所本庁舎は「贅沢すぎ」の批判の矢面に立たざるを得ないですが、京都が世界でも類稀な文化と伝統を持つ都市であることを考えると、"City Hall"の思考を持った庁舎整備の必要性を乱暴に否定することにも躊躇いを感じます。

ただし民主政治の中でその是非を判断されるのは京都市民でありますので、私はあくまで論点だけを呈示させていただき、私見の披瀝については控えつつ、皆様のご意見をお待ちしたいと思います。


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