本書は、ワインを「感覚」ではなく
「科学」の視点から解き明かした
非常に興味深い一冊です。
著者の鈴木俊二氏と乙黒美彩氏は、
醸造学・発酵学・香気成分分析などの
知見をもとに、ワインの香りや味わいが
どのように形成されるのかを
分かりやすく解説しています。
単なるワイン入門書ではなく、
「なぜこの香りがするのか」
「なぜ産地で味が変わるのか」
を論理的に理解できる内容になっています。
本書でまず印象的なのは、
「ワインの香り」は数百種類以上の化学成分
の組み合わせによって成り立っている
という説明です。
例えば、白ワインのソーヴィニヨン・ブランに
感じられるグレープフルーツや青草のような香りは、
「チオール類」という成分によるものです。
一方、リースリングの華やかな花の香りには
「テルペン類」が関係しています。
また、赤ワインの熟成香として知られる
革やキノコ、土のようなニュアンスは、
長期熟成による化学変化によって生まれる
ことが解説されています。
さらに本書では、「テロワール(風土)」
を科学的に分析している点も興味深いです。
一般には感覚的に語られがちな
「土地の個性」について、
土壌、水分、昼夜の寒暖差、微生物環境などが
ブドウの成分に影響を与え、
それが最終的な味わいにつながること
を説明しています。
例えば、昼夜の寒暖差が大きい地域では
酸味が保たれやすく、
ワインに引き締まった印象が生まれます。
逆に温暖な地域では糖度が上がり、
アルコール感の強い濃厚なワインになりやすい
という具体例が示されています。
また、発酵のメカニズムについての説明も
本書の大きな魅力です。
酵母は単にアルコールを生み出すだけではなく、
発酵中にエステル類などの香気成分を生成します。
例えば、バナナやリンゴのような果実香は
酵母由来であり、酵母の種類や発酵温度によって
大きく変化します。
そのため、同じブドウ品種でも醸造方法によって
全く異なる個性のワインになるのです。
さらに、オーク樽熟成の科学も詳しく
紹介されています。
樽からはバニラ香の元となるバニリンや、
スモーキーさを与える成分が抽出されます。
新樽を使うか古樽を使うかによっても
香りの強さが変わるため、高級ワインでは
樽選びが極めて重要になることが分かります。
本書を読むと、ワインは単なる嗜好品ではなく、
農業、微生物学、化学、気候学などが
融合した「総合科学」であることが
よく理解できます。
そして、香りや味わいを科学的に知ることで、
ワインを飲む楽しみがより深く豊かなもの
になります。
ワイン好きはもちろん、
「なぜ美味しいのか」
を知りたい理系的好奇心を持つ人にも
非常におすすめできる一冊です。
よくわかりました。
これからは発酵や製法まで考えながら
ワイン🍷を飲みますね。
それでは、また。(^_-)


