その日の海の色の噺 | 面白きコトも無き世を面白く…するのは自分の心意気
~沖縄~

馳星周さんが書かれた小説はこれまで何冊も読んできた。
『不夜城』にはじまり、『マンゴーレイン』
『東京バビロン』『生誕祭』などなどわりと好んで読んでいる。
どれも愛憎渦巻き、金や欲望に飢えた人間達のダークな展開なモノが多いのだが、今回は全く別次元のお話。

こんな本を書く方なのかと衝撃を受けていると同時に、一息に読み終えてしまった。


『美ら海、血の海』

この本を借りたとき、このタイトルの強烈なインパクトにブログ掲載を諦めていた一冊でした。
しかし、読み終えてから考え直しました。この本は機会があれば是非読んで頂きたい。

物語のスタートは先の東北での震災から始まります。
地震により牙を向いた海。
その凄惨な現場に立つ一人の老人。
老人は若き日に見た同じような光景を思い出していました。
場所は沖縄。時代は第二次大戦の末期。

東北に大きな被害をもたらした地震から間もなく6年。
第二次大戦終戦から71年。

時間が解決出来ない胸の内もある。
それを抱えて生きている人がいる。

今、読めない、今も読みたくない、そんな方もいらっしゃる内容の一冊ですが、読める人は一度関わりを持ってみても良いかと思います。

著者である馳星周先生にいかなる心境の変化があったのかは分かりませんが、今後の作品にも注目していこうと思います。