(妻)「レアアースの輸出規制で中国が困ることになるっていうのはどういうこと?」
(私)「それは、今の中国にはそんな余裕は無いってことや。」
「余裕って?」
「経済が崩壊寸前ということや。中国経済の屋台骨は『不動産』、『輸出』、『EV』やけど、不動産はご案内の通り『中国恒大集団』や『碧桂園』などの民間大手デベロッパーが破綻や経営危機に陥ってしもた。それだけやないで、今度はなんと国有系デベロッパーの『万科』も破綻の危機に瀕している。」
「国有企業も救えないってとこまできたのね」
「中国の経済統計はどれも全く信用ならないと言われてる。しかし、貿易だけは相手があるので別かと思われてた。そんななか、米中摩擦で輸出が落ち込むかと思いきや底堅く推移し、少し世界を驚かせたんやけど、これは対米減少分をアセアンや欧州に振り向け、なんとかしてるっていう話がもっぱらやった。
ところが実際は、地方政府が輸出企業と共謀して成績を水増しするなど、相当程度の誤魔化しが入っていることがわかったんや。」
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「どこまでも嘘つきか、中国は。」
「そういうことや。ほんでEVもあかん。中国国内の価格競争激化でアホほど倒産しとるし、これからもそれが続く。
2018年に500社ほどあったEV関連メーカーは、2024年までに129社まで減りよった。残った会社も50社ほどが赤字続きで、今年には倒産するかもって言われてる。
なにしろここへきて政府の掌返し、これまで市場を支えてきた『購入補助金』や『減税』を断ち、逆にこの1月からEV購入時に5%の『車両購入税』を課すようにしよったからな。」
「なにやらBYDも粉飾してたとか」
「そう、EV最大手のBYDがその支配力に物を言わせて、サプライヤーへの支払いを極端に遅くする『債務隠し問題』が昨年騒がれた。通常は60日以内に支払うものを1年近く先延ばしにしていたんやから普通やないで。しかもその額が半端ない。6兆円にも上るっていうんや。
これに腹を立てた中国当局が60日以内に支払えということになって、今度はその金集めのために極端な値下げを始めよった。
なんと34%の値引きや。原価割れで、これじゃ儲かるわけがない。」
「その巻き添えで潰れたメーカーもあるやろね」
「それだけやない、中国当局が掌返しをした直接の原因に『ゼロキロ中古車』というのがあった。」
「なにそれ」
「ディーラーと中古車販売業者が癒着して、新車の名義登録で不正を働き、売れても無い新車が売れたと水増しし、販売ノルマ達成と補助金を騙し取る詐欺や。メーカーも見て見ぬ振り。そのおかげで売り上げ好調ってことで株価が上昇するからや。
ほんでその車は走行距離ゼロで新車なのに格安で中古車市場で売り捌かれる。実質新車を格安で手に入れられることから消費者も喜んだ。
それに中古車であれば難しい技術認証や関税をかいくぐり容易に輸出もできる。そんなこんなで在庫も楽になる。」
「なるほど、みんな新車補助金詐欺で甘い汁を吸ったわけや。それで当局が怒って掌返しということね。そやけどこれまでのEV市場が政府の補助金や減税のお陰で大きくなったと言うなら、それが断たれるといよいよ終わりってことやね。」
「まあそんなこんなで中国経済はボロボロ。財政も中央・地方合わせて4000兆円を超える巨額負債を抱え、身動きが取れへん。
その結果、公民問わず『長期に渡る賃金未払』が蔓延し、失業者も爆増してる。統計には出てけえへんけどな。
ほんで若者はすべてを諦め『寝そべり族』となり、老人はいつ年金が止まるかわからない不安に苛まれている。
そんななか、中国も馬鹿だねエ、財政改善のために『税や罰金、社会保険料』の徴収を強化しようとしてる。ますます不況が深刻化するだけやのにな。だからすでに抗議活動(暴動)がこれまでになく頻発し、いつでもイラン化(体制転換暴動化)しかねない状況や。」
「なるほどね」
「そんななか、レアアースの長期安定大口顧客である日本を切るなんてできると思うか。単純に輸出が減り、GDP減少、ますます経済が悪化するだけや。
それに対日輸出規制分のレアアースの採掘や精錬を減らすかといえば、現在の経済状況を踏まえたらそんなことはでけへん。これまで通りのペースで作り続けることになる。結果なにが起こるか。
レアアースの過剰供給や。売り捌かなければ半端ない在庫負担を被ることになり、それを避けるために値下げ競争が始まる…これは中国にとっては最悪の状況や。レアアースによる脅しが効けへんようになるからや。
ほんで、今回の日本に対する『恫喝外交』。こういうヤクザなことを平気でやる国ってことで、ただでさえ世界の信用を落としているのに、本当に実行すればそれを完全に失うやろ。
そうなれば日米欧が一体となり、新たなサプライチェーン構築の動きを本格化させるなど、『脱中国(依存)』どころか『避中・反中』の動きが始まってしまう。経済崩壊が確定的になり、人民の不満が爆発、制御不能となって中共による支配体制が崩壊する。
こんなことは容易に想像できるから、中国政府は凄んで見せるだけでトリガーを引けんやろうということや。それにこうした事態に対する日本の対応力が、前回と違い相当に強くなっていることを知れば尚更や。」
「日本の対応力って?」
次回に続きます。