子や孫世代の幸せを願って

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次世代の幸せを願って、日本の社会、経済について考えます。

愚民化した日本人 (3) 嘘の財政危機を信じる日本人②

 

 

そもそも「財政均衡」が財政の健全な姿という考え方自体が誤っています。財政は、「経済の健全化」(適度なインフレを伴いながらGDPが成長し、実質賃金が増え、失業率が低く抑えられているような状態)に資するよう運営されて初めて健全と言えるはずです。

 

赤字が問題ではありません。むしろ需要不足つまりデフレ時に、さらに需要を吸収するような黒字化を目指す財政運営(緊縮財政)こそ問題であり、状況をより深刻化させます。デフレ時には需要を生み出す財政赤字拡大が必須なのです。

 

財務省はHPで「日本の債務残高はGDPの2倍を超えており、主要先進国の中で最も高い水準にある。国債や通貨への信認が失われるリスクがある。」としています。

 

しかしながら、何度も申し上げている通り、自国通貨建ての借金(国債)をいくら膨らませようが、そのこと自体は問題になりません。自国通貨は自ら生み出せるからです。

ただし、そのことにより適度なレベルを超えてインフレが進行した場合、これは「需要を作り過ぎた」つまり経済の健全性が損なわれたことから、その回復を目指し、国債発行を調整していく必要があります。

 

また通貨(国債)の信認はどうすれば得られるのかといえば、それはその国の「経済力」によります。人々が欲しているモノ(商品、資源)やサービスを安定的に供給できる能力であり、またそれを支える健全な金融システムの存在です。それこそが通貨(国債)の信認を支えるのです。逆に経済力を失うことが、国(通貨)の信認を失うことなのです。

 

人が欲するモノやサービスを作り出すことができない国の通貨を誰が欲しようというのでしょう。それは使えないおカネであり、誰も相手にしません。その点日本は衰えたとはいえ依然として巨大な経済力を有しています。使える通貨の国なのです。

 

赤字はまずい。借金をたくさん抱えるなど言語道断。そんなやつは信用が無い。

こうした、(おカネを生み出せない)個人家計や企業の感覚で、(おカネを生み出せる)国家財政を見てしまう。多くの国民が愚民と化しているがゆえに、そんな風に勘違いさせられていることに気づいていません。

 

「財政赤字」は、「破綻」という意味では、他国通貨による借入れが無い限り問題とはなりません。

また「税」財源論も、税自体がもともと政府が作り出したおカネであることから、税収の範囲内で行政を行う、税の不足により財源難になるなどという議論がナンセンスなことはおわかりになるでしょう。

 

財政を問題にするのであれば、経済をうまく回すために機動的に動かしているかどうかです。その意味で需要不足(デフレ)時におカネを引き上げる(増税、歳出削減)などもってのほかなのです。

 

昨今の円安も実はそれが大きな要因となっています。財務省の「財政健全化」方針のお陰で、止まない需要不足(デフレ)不況があり、それゆえに金融は緩和が強いられているのです。

結果的に海外との金利差が開き、円安…ということです。

 

また昨今の物価上昇は、供給制約によるいわゆるコストプッシュ型インフレであり、つまり不況とインフレが同居するスタグフレーションの状態なのであって、不況を伴う以上インフレであっても金利引き上げが出来ないのです。その意味で、海外との金利差拡大を日銀は何ともしようがないわけです。

 

コストプッシュインフレの場合は、金利を引き上げるのではなく緩和を続け、一方で財政により物価高に苦しむ国民を救いつつ、供給制約となっている事態の改善を待つ、供給制約から離脱する方途を手当てする、そのように行うしかないのです。

 

こうしたことは少し考えれば中学生レベルで十分理解できるはずです。それが簡単に騙され、受入れ、刷り込まれるというのは「愚民化」が進んだ証です。

 

それでも最近の若い人たちは、ネットの言論空間に触れることで財務省やマスコミ、御用学者などの反日勢力、壊国勢力の「嘘」を見抜き、愚民化から免れつつあるようです。

 

むしろ残念なのは、我々高齢層のようです。本来こういう類の話をよく理解しているはずの大手金融機関、大企業の役員達でもどっぷり「財政危機」の虜となっています。恥ずかしげもなくその手の愚かしい論を繰り返し発信しています。反日勢力たるマスコミや学者に絡め取られ思考がストップしているのでしょう。

 

しかし、ここへきて漸く一部の政治家、具体的には自民党内の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」「財政政策検討本部」が財務省の呪縛を振り払い、素晴らしい提言をしてくれました。

前者の『「衰退途上国」とならないための経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2024への提言』(5月28日)、後者の『「経済財政運営と改革の基本方針2024」に向けた提言』です(6月6日)。

 

一度ご覧になってみてください。このブログで扱ったような内容、提言となっています。

期待を持って見守りたいと思います。

 

次回に続きます。