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子や孫世代の幸せを願って

次世代の幸せを願って、日本の社会、経済について考えます。

全国的にクマ被害が深刻です。クマによる事件が連日報道され、とうとう手に負えなくなった秋田県や岩手県では、自衛隊の出動を要請するところまできてしまいました。

 

 

近年では23年度にその増加の異常が伝えられていましたが、今年度はそれを大きく上回るペースで被害が増えています。

 

 

 

※2025年度は9月末までの数値

※死亡数は右軸、被害者数は左軸

※環境省資料より筆者作成

 

 

 

こうしたクマ被害の原因については、一般的に次のようなことが指摘されています。

 

1) 気候変動

温暖化がクマの生態系に大きく影響。生息地の平均気温がわずか1℃上昇するだけで、食物連鎖に重大な変化が生じるとされ、食料不足が常態化しつつある。

 

 

2) 環境破壊

針葉樹の植林により木の実などの餌を生む広葉樹を駆逐したこと、都市開発、あるいはメガソーラー風力発電にかかる森林伐採を進めたことなどが、クマの生息地を奪った。過去10年で20%の森林が失われた地域では、クマの出没頻度が以前と比較して40%増加しているという研究報告もある。

 

 

3) 高齢化や過疎化

農林業に従事するひとの高齢化により中山間地での過疎化が進み、里山の手入れが行き届かなくなり、また耕作放棄地が増えたことで、人里との境界が曖昧になってしまった。実際、過疎化が進む地域でのクマの目撃情報が大幅に増えていると報告されている。

 

 

つまりクマ被害は、気候変動を除けば、他は全部ひとが原因というわけです。

 

 

気候変動(温暖化)については、このブログでも取り上げましたように、人間の排出するCO₂が原因ではなく、太陽活動の長期循環変動によるもので、つまり自然現象なのです。詳しくは過去記事をご覧いただければと思います。

 

 

 

 

 

今般の主因は、温暖化によるエサ不足なのかもしれませんが、それでも、これまでの政策が、クマの出没増加に大きく影響を与えていることは間違いないでしょう。

 

 

クマ被害増加の一因たる「農林業の高齢化とそれによる過疎化」を引き起こしたのは、「農林業や地方の衰退」であり、並行して生じた「都市部(首都圏)への人口流出」です。

 

 

こうした傾向に歯止めを掛けられないどころか、むしろそこに追い込んだのが、「嘘の財政危機に基づく財政健全化政策(緊縮財政路線)」であり「カネを使わない経済活性化策として用いられた自由化政策(規制緩和、自由貿易、競争政策)」です。

 

 

つまりは「グローバリズム政策」です。そして、その裏腹に「総合安全保障(防災、防衛、食料、エネルギー、医療、物流等)」を軽視してきたことなのです。

 

 

デフレ下における緊縮財政政策が、不景気の固定化貧困化を招き、加えて自由化政策は、外国産による国内産の蹂躙を許し、農林業経営は大赤字、青息吐息の産業へと墜落させたのです。

これでは跡継ぎは現れず、また誰も継がせようとは思いません

 

 

こうしたことが地方経済に集中的に現れ、都市部(首都圏)への人口流出を招き、またそのことが地方経済を疲弊させるという螺旋落下的な地方衰退を招きました。

 

 

それでも農業についてはコメなどの主要農産物に高関税を掛け、保護する姿勢を見せましたが、林業には関税などほとんどなく、ほったらかしにされました。

 

 

高度成長期に木材需要が爆上がりしたのに対し、輸入自由化によってその価格高騰を抑える施策が取られた林業ですが、それは仕方がないとしても、その後の自由化万歳の流れのなかで国内林業は保護どころか、事実上切り捨てられてしまったのです。

 

 

現在の林野庁の政策は、水源涵養、土砂流出防止、生物多様性保全といった「森林の多面的機能の維持・向上」に重点を置き、依然として林業経営はなおざりにされています。「森林保護と林業経営保護を並立させる海外」とは大違いです。

 

 

林野庁の予算は近年増加傾向にありますが、それでもその絶対的な不足が指摘されており、その上政策の重点が林業経営保護にはないので、補助金制度はあるものの、林業経営の大赤字[植栽や育林、伐採にかかる費用(1000万円以上)に対し、木材の販売収入(500万円未満)が大幅に下回る]は改善するはずもありません

 

 

こうした農林業の健全性を損なう政策は、クマ被害の増加を引き起こすだけではなく、山の荒廃を通じ、多大な環境破壊資源喪失を生じさせています。

 

 

山の荒廃は、川や海の質に悪影響を与えます。山と森、川、海は密接につながっており、「森は海の恋人」ともいわれるように、山の状態が下流の水質に直接的な影響を与えるためです。

 

 

山が荒れると、土壌のろ過作用が衰え水質悪化を招きます。また、保水力が低下し、大量の土砂が川に流れ込むようになり、川や海の環境を破壊し、生態系に悪影響を及ぼすのです。

 

 

土砂の流出は、即ち養分の流出であり、山を瘦せさせる一方、川や海は富栄養化で藻類を大量発生させ、水中の酸素欠乏を招きます。また山が痩せると、今度は川に十分なミネラル分を供給できなくなるので、海が次第に栄養不足となっていくのです。

 

 

昨今のコメ価格高騰しかり、「将来へのツケを残すな」(財務省の嘘)と予算を削ったツケを、こういう形で国民が支払わされるはめになっているのです。

 

 

さて、デフレや間違った農政(減反政策=緊縮財政)に晒され続け、今度はインフレによるエネルギーや農業資材の高騰、人手不足という困難に直面する農業経営の苦闘については、コメ価格高騰騒ぎで広く国民が認識することとなりました。

 

 

今般のクマ騒動で林業の厳しい実態にも国民の関心が向けば、農業とともに「どうにかしないと」の機運が高まるかもしれません。

 

 

基本的には農家も林業家も「戸別補償」をもって、また「国ならびに地元自治体からの支援強化」、それと「保護貿易」の組み合わせで対応するしかありません。

 

 

即ち「緊縮財政」並びに「自由化」からの政策転換です。いわゆる「グローバリズム」を後退させ、健全な農林業が成立する財政の在り方や自由化の程度を探らなければならないということです。

 

 

 

次回に続きます。