前回お話ししたように危険極まりない中国に日本企業が留まるのはなぜなのか。
ひとつは「中国市場は成長を続けるという幻想」に引きずられてきたということ。前回取り上げた記事がこれを述べています。
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まさに笛吹けど踊らず、である。中国・武漢発新型コロナウイルス恐慌を機に安倍晋三政権が産業界に「脱中国」を呼びかけても、主要日本企業は逆に対中投資を増やす情勢にある。
(中略)背景は、やはり主要企業の間の中国市場成長幻想が一向に弱まってはいないことが上げられる。(後略)
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そして、碌なマーケットリサーチもせず、政治リスクも軽く見た「横並び意識」で進出してしまった手前、この中国の成長幻想にすがらないと中国進出を決断したトップの経営責任が問われるからとも考えられます。事実上の失敗のごまかし、隠蔽ですね。
もう一つは、「あまりにも期待が持てない日本経済、その絶望の裏返し」ということなのでしょう。
なにしろ「先の見えないデフレ」、つまり「大幅な需要不足」と「需要潰し政策」に、あまりにも長い間晒され続け、期待を裏切られ続けてきたのです。
一方の中国には「巨大な人口」がある上に、「市場経済政策」を導入したことによる旺盛な消費・投資需要がある。ウイグルやチベットでの人権抑圧はわかっていても、国際競争上、格安労働力は捨てがたい。日本国内にそれらがありますかってことです。
そんな幻想や消去法的な期待に縋り続ける経営者の犠牲になっているのは、「危険な日常」に放り込まれた派遣社員とそのご家族です。
中国では2025年7月、アステラス製薬の日本人男性社員がスパイ罪で懲役3年6月の実刑判決を受けました。これは、中国政府が「反スパイ法」を制定し、2023年に改正したことなどにより、スパイ容疑での拘束者が増えている状況の一例です。
中国と言うのは「法治国家」ではありません。中共による「ファシズム・人治・情治国家」なのです。
ファシズムの定義は「一国一党」「国家の上に党が存在する」ということです。権力者は法を超えた存在なのです。
反スパイ法が定めるスパイ行為も曖昧で、すべては当局の「さじ加減」次第。
繰り返しますが、日本人駐在員は、いつ告発されるかわからない状況なのです。
高市早苗政権となり、ようやく緊縮財政によるデフレ地獄から抜け出せる希望が持てるようになりました。
足元では、落ちに落ちた需要をさらに下回るまでに日本経済の供給力が減退したことから、結果的に需要超過の状態になっています。足元の物価高は、円安というよりは主にこれが原因です。
つまり久々に投資機会が巡ってきたのです。一方で物価高対策としての減税もあり、これが需要を支えるなど日本経済に久々に明るさが戻ってきそうです。
中国では、不動産不況や米中貿易戦争に端を発した「経済の低迷と競争激化」(公私企業問わず賃金未払が蔓延するという最悪の状況)、外国の脅威と政府への不満に対する「監視強化・強権発動」、不満を逸らすための「反日憎悪プロパガンダ強化」、そして「台湾有事勃発の可能性の高まり」と、さすがに留まる理由が無くなるなか、この日本経済の明るい兆しは企業が国内回帰する大きなチャンスです。早々に撤退計画を組み、これを進めるべきでしょう。
ただし、そうは言っても中国からの撤退を阻む障害が多々あるのです。撤退したくてもすんなりとはできない。それはどういうことか。
次回に続きます。
