これまでの日本の失政の結果、「所得格差の拡大」が生じています。2回に分けてお話ししたいと思います。
① 新自由主義は、「規制を緩め、効率を上げる、それで皆自由を達成でき、幸せになる。しかし弱肉強食。富める者はさらに富み、貧しいものはさらに窮す。これは仕方がない、自己責任」という世界です。
そして1970年のフリードマン宣言(「企業の社会的責任は利益を増やすことにある」とし、それは以後、「株主資本主義」が世界の潮流となった)よろしく、企業は競争力、収益力を上げ株主配当をしっかり続けるために、労働コストの安い海外に生産拠点を移し始めます。
それゆえ国内の労働の賃金は上がらなくなり、また失業が増えるのです。これを「底辺への競争」と言いますが、日本もそうなりました。
② 「底辺への競争」は、なにも海外に出ていくことばかりではありません。政府は外国人労働者の受入れを盛んに進めていますが(事実上の移民政策)、安い賃金で働く労働者の流入の増加は、やはり日本人労働者の賃金抑圧や失業を招きます。
それだけではありません。企業の投資不足招き、「労働生産性」(従業員がいかに効率的に成果を生み出しているかの指標)が向上しなくなるのです。
賃金引き上げのカギは「労働生産性の向上」と「労働者への利益分配の引き上げ」です。
設備、技術、教育投資等により労働生産性が上がれば利益が増えます。労働者への分配割合を減らさない限り賃金が増えるということです。
しかし、その儲けのしくみを選ばず、安い賃金の労働者の雇用を増やしても利益は増えます。
ただでさえデフレで将来不安があるとき、設備投資等は抑制されやすくなっています。そこに安い賃金の労働者が入ってくるなら経営者はそちらを選択してしまいます。
こうしてデフレ下での海外からの低賃金労働者の流入は、投資抑制をさらに促し、労働生産性向上を阻み、日本の労働者の賃金上昇を大きく阻害するのです。
③ 増税が繰り返された消費税。これも格差拡大に大きく働きました。すでにお話ししたように消費税は所得の低い人ほど負担が大きいのです(逆進性)。デフレでおカネの価値がモノに対して相対的に高くなり、富裕層が有利になっているのにこの仕打ちはないでしょう。
次回に続きます。