失われた30年をもたらした失政の結果(1) | 子や孫世代の幸せを願って

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デフレの固定化:賃金の上がらない国

 

日本の長期停滞(失われた30年)がどうして生じたのか。それはデフレ経済に対して間違った政策が取られ続けたからでした。デフレには「インフレ化政策」が必要なのに、デフレを深刻化させる「デフレ化政策」を取り続けてしまいました。

 

間違った政策が取られ続けた主因は、①「財政再建」へのこだわり②「新自由主義」への期待の2点でした。

 

これまでお話ししてきましたように、日本にはそもそも「財政問題」はありませんでした。

また主流派経済学を基礎とする新自由主義は、デフレには無効、いやむしろ悪化させるだけの代物だったということです。

 

そして、その両者の選択を後押ししたのが、新自由主義の隆盛と世界的流行専門家たる経済学者の指導、賛意、そして財務省の都合(省益)だったのです。

 

ここではお話ししませんでしたが、これら以外にも、①強い日本の復活を阻止し、弱体化を図る、あるいは食いものにしようとする米中ほか主要国の思惑、②学会、マスコミも含めた内外の反日勢力の活動なども日本のこういう動きを誘い、後押しする力となっているように思われます。

これは、陰謀論というよりは、世界の政治力学、地政学の作用と考えるべきでしょう。

世界の国々は当然ながら自国の国益を一番に考えます。残念ながらその点、日本は、お人よし、お花畑すぎ、脇が甘々なのです。

 

それはともかく、失われた30年を生んだ政策ミス、財政再建、新自由主義の選択は、日本に様々な問題をもたらしています。以下その問題を順にお話しします。

 

まずはこれまでお話ししてきたように、デフレから抜け出せなくなりました

自らデフレ化を進める政策を取った以上当然です。

 

その結果、とにかく給料が上がらなくなりました。賃金が物価以上に下落する、また物価高には追い付かない、こうした実質賃金の下落傾向は、橋本龍太郎政権時、97年の消費税率引き上げ以来現在まで続いています

 

足元の物価上昇は、コロナパンデミックや戦争等をきっかけに生じた供給制約を主因とするコストプッシュ型のものであり、デフレ脱却どころか長期デフレに苦しんできた日本にとっては一番来てほしくないものが来てしまったというところです。

 

原材料費や燃料費等のコストが上がる以上、企業もその分商品価格を上げざるを得ません。

しかし、儲かるわけではありません。この状況下で儲かるとしたら、輸出企業で円安の恩恵を受けたか、あるいはコスト以上の価格引き上げ、いわゆる便乗値上げをやっているか、はたまた戻って来たインバウンドのお陰ということでしょう。いずれも長続きするものではありません

 

23年度は、さすがに「人手不足」「物価高に苦しむ従業員救済の横並び意識」、そして「政府の強い要請」を伴った春闘であっただけに広く賃上げが行われたようですが、そもそも中長期的に儲かる見通しが立たない中での賃上げは、無理筋です。

一部大企業は、人手不足対応で引き続き賃上げを行うでしょうが、多くの企業は追随することは困難なのではないでしょうか。

 

この国が、懲りず、気づかず、これまで同様の「デフレ化政策」を続けるのであれば、デフレの泥沼から抜け出せず、賃金引き上げも一時のことに止まると思われます。