経済学の罪 | 子や孫世代の幸せを願って

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経済学の罪

 

日本人が財政問題に囚われ続けた背景のひとつに、経済学の問題があります。

なにしろ経済の専門家が、しかも著名な経済学者が口々に「財政危機」を訴え、早急な財政再建を求めたからです。

 

2003年、伊藤隆敏氏、伊藤元重氏、吉川洋氏など東大教授(当時)を始めとする著名経済学者が連名で、政府の債務残高のGDP比が200%を超えれば事実上日本の財政は破綻する、速やかに財政健全化が必要との趣旨の「緊急提言」を出されました。

また2010年には、小黒一正氏(元大蔵官僚、現法政大学経済学部教授)が『2020年、日本が破綻する日』を出版され、2015年には伊藤隆敏氏(コロンビア大学教授)が「私の計算では,消費税率が,10%に据え置かれた場合,2%成長を達成したとしても、2020 年代前半には,国債購入にまわすことのできる民間貯蓄が国債残高を下回るようになることから,財政危機に陥る」(会計検査院 会計検査研究№51)と述べられています。

 

現在、国債残高のGDP比は260%。余裕で危機水準とされた200%を超えていますが、何か問題が生じたでしょうか。何も起こりませんでした。

そりゃぁそうです。国債残高は借金ではなくおカネの残高なのですから。

 

また、家計貯蓄は2100兆円、国債残高は1100兆円で相変わらず家計貯蓄が国債を上回っています。国債発行はおカネの発行、つまり、国債増は貯蓄増であるので、両者の差は縮まるものではありません。そもそも国債発行が民間貯蓄により担保されているとの考え方が大きな的外れなわけです。

 

経済学者がこのような間違いを犯すのは、彼らの信奉する経済学が、学問としては成立しても、実社会には当てはまらないものだからです。

それにも関わらず、経済政策に彼らの経済学を使うのは、もってのほかということです。

もし、それを解っていて様々な政策提案を行っているのなら、申し上げにくいながらも犯罪級の行為だと言わざるを得ません。

経済政策は遊びではありません。人々の暮らしはもちろん、ひとの生き死に、果ては国の存亡にかかわるからです

 

勿論、経済学にもいろいろありまして、そのすべてが経済政策に使えないわけではありません。経済学で主流派とよばれているものがあります。それが元凶なのです。

 

次回以降で紹介したいと思いますが、例えば「商品は作ればすべて売れる」。そんな馬鹿なと思うでしょ? 主流派経済学は、これが前提です。これだけでも「使えない」、いや「使ってはいけない」ということがご理解いただけるのではないでしょうか。