87歳のその人は、兄弟が多いため学校を卒業してから進学できず、疎開先の病院で住み込みで働いた。
軍医だったお医者さんに戦火の医療現場の話を聞きながら、朝から晩まで働いて看護婦の養成学校に通っていた。
お給料なんてお小遣い程度。
物がない時代に食べ盛り。
「クランケ(患者さん)に農家が多かったから、揚げた煎餅とかをくれて、仲のいい友だちと布団に潜って夜中に食べたりしたわ」
試験の日。
筆記はできていたけど、耳が聞こえなくて失格になり断念した。
そこにいられず東京に出る時、医師や先輩ナースや同僚が朝早く駅まで送りに来てくれたそう。
悔しさと寂しさが入り混じって泣けてしょうがなかった。
死んでしまおうかと思って荒川の土手に立ったその時、夕焼けをバックにヨットを漕ぐ大学生に一目惚れ。
後のご主人。
18歳で嫁いでやっと授かった男の子。
それからしばらくして、突然のご主人とのお別れ
苦労の話より、いつも楽しかったお話ばかり。
そして、ワタシを気遣いありがたい言葉ばっかり掛けてくれる。
どんな時代でも青春があって、輝いていた時間がある。
そして、段々とカラダが思うように行かなくなって、いずれ還って行くんだよな。
歳を取る。
どんな風に歳を取っていこうかな。
なんて事を考える昼休み。
今日は満月and月蝕だ❗️