土曜日に担当していた患者さんが亡くなった
抗がん剤治療をしていて
お薬管理や体調の確認で訪問していた
そのうちお風呂を手伝うようになり
お風呂場で色んな話をしてくれた
視力が落ちて見えない日もあり
足腰も弱って台所に立てない
だけど、自分で煮物を作ったりしたいって思いがあって
一緒に暮らすご主人と娘さんは何とか病気の進行を防ごう、治そうとあらゆる本を読み
たどり着いたのが、肉は食べさせず玄米と野菜ジュースを取るというもの
食欲あるけど食べさせてもらえない
ある日の夕食はシラスおろしのみ
肉が食べたくても四つ足の肉はダメだと言われ食べさせてもらえない
1度食事のことでご主人から聞かれたので、本人の食べたいものを食べるのが1番だと伝えたら、こっちは治すつもりで真剣に食事を与えてるって言っていた
エゴとかじゃなく本当に治って生きていて欲しいからなんだと感じた
だけど栄養を取っていないから、上手いこと話して配食サービスに繋いだりしたけど痩せて弱っていった
腹水が溜まり食べたら吐くようになった
久しぶりの訪問で
「あそこの病院は、どこの葬儀屋とか決まってるの」と突然聞かれた
何で?と返したら
「お父さん何もできないから、準備しとかないとと思って」と
そんなこと意識するほど体調悪いのか聞いて、その後はご主人との馴れ初めや若い頃の話を聞かせてくれた
いっぱい苦労してきたけど、全部受け止めて生きてきたんだなと思った
それから2週間後
脱水で熱が上がり意識も落ちて救急車で病院へ
そのまま入院
どうか病院で必要なケアや精神的なサポートを受けて、食べたいものを食べて過ごして欲しいと願った
その2週間後、ご家族との面会の後静かに旅立った。
生きるって何だろ
死を覚悟した人は残りの人生をどう思い日々を過ごすのだろう
死への恐怖は?
そんなことを気軽に話す患者さんのお話はまた後で。
行くと待っていたよって笑顔で迎えてくれた顔が目に浮かぶ。
肉体から解放されて自由になれたかなぁ。