宮古島の治水〜地下にダムがある〜 | EAT RIDE LOVE 〜食べて、走って、恋をして〜

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KINAN RACING TEAM 所属、プロロードレーサーの小出樹です!

 

柄にもなく今回は社会インフラの話。

「急にどうした」「熱でもあるんじゃ」「槍がふる」等のツッコミは置いておいて。

 

突然だが、宮古島には川がない。

川がないということは、生活に必要な様々なものを入手できない。その最たるものが

 

岩魚である。あの淡白ではあるがホロホロした身に塩をタップリとかけて直火で焼いた日には、もう、、、、、

 

 

次に困るものは上水である。海水を蒸留し水道に流す技術はあるにはあるようだが、島全土を賄うほど大量には作れない。

今回は宮古島の水問題を解決したダムについて。

 

 

 

 

先日、南国沖縄県は宮古島でお風呂に入った際に

「水めっちゃヌルヌルする」

と感じた。

 

教養はそんなにないが好奇心はある方だと思っているので、とりあえず調べるとアルカリ性の液体はヌルヌルするらしく。

普段の僕であればそれで解決したが、今回は慶應ボーイと一緒に旅をしていたこともあり、相乗効果かウイルス性の何かのせいで若干いつもより好奇心が膨らんでおり、「本州と何が違うん!?」という疑問を持ってしまった。

 

ちなみにヌルヌルの正体は皮膚が溶けているのではなく、化学反応により皮脂が石鹸っぽくなっているらしい。

 

宮古島の土壌

で、調べていくと、どうやら宮古島は珊瑚が堆積してできた島であることがわかった。

 

地殻変動で海底の泥岩層が隆起していくと、その区域が浅くなっていく。浅くなった海にはサンゴ礁ができ、同時進行で珊瑚の死骸が堆積、石灰層の地盤となって宮古島が形成されている。

珊瑚というワードが入ることにより、なんともロマンチックな感じになる。

 

 

 

実際には石灰岩層の上に島尻マージという土があるが、ここでは特に関係ないのでオッカムの剃刀。

 

 

 

石灰層と降った雨の行方

さて、この石灰層、珊瑚でできているということで、非常に保水力に乏しい。

イメージとしては、沖縄の海に落ちている珊瑚の死骸を想像して欲しい。スカスカで、隙間から水が漏れ出してしまう。

 

あんな感じのやつが堆積しているため、多量に降った雨は瞬く間に石灰層を通過し、最下層の水を通しにくい泥岩層に到達する。

 

石灰層を通過することで、水はミネラルを含み、弱アルカリ性になるんだとか。

 

で、行き場をなくした水たちは仕方なく海に流れていくというシステムだ。

 

 

 

余談だが、宮古島の海はあまり磯臭くない。これは島から流れ出た水によって海水が希釈され、匂いが軽減している(らしい)(主観)

 

 

 

地下ダム建設

宮古島は南国なのでめっちゃ雨が降る。

せっかく降った雨も、上記のように海に垂れ流しでは利用が困難である。

で、ご先祖様は考えた。

 

「水流れなきゃいいんじゃね」

 

 

 

方法は単純。流れ出る水を壁でせき止めるのだ。

 

 

この前身はイランのカナートと呼ばれる地下用水路にあるとされており、乾燥した土地で水の蒸発、流出を防ぐ手法である。

 

しかし、土地柄、宮古島のような方式は世界初のようだ。

 

宮古島には特に石灰層の厚い3つの地点があり、それぞれに水の流出を防ぐ壁を建設することにより、石灰の隙間に水が溜まって保水され、そこから水を吸い上げることにより水道インフラが整備されている。

 

しかも宮古島にはあまり高地がなく、最大標高は115m。

最大標高まで水を持っていけば、サイフォンの原理であとはどこにでも水が流れていく。

この高い位置に水を汲み上げ、貯める施設をファームポンド(FP)と呼び、6つのFPがある。

 

ダムからFPにポンプで水を汲み上げ

→貯水

→生活用水に活用

という流れである。

 

ASCII.jp:宮古島は「エネルギー自給率向上」を目指し、再エネ+IoTをフル活用 (3/3)

https://www.city.miyakojima.lg.jp/gyosei/ecoisland/files/190423ecoisland_shisatsu.pdf

エコアイランド宮古島の取り組みについて より引用

(うまく書けなかったので引用した。けど頑張ったから見て。)

 

ダムのもう一つの役割

ダム壁は水の流出を防ぐ他に、海水の流入を防ぐ役割を担っている。

 

石灰層は水の流出入がしやすいため、海水が流入することもある。せっかく井戸を掘っても、海水が出てきてはたまったもんじゃない。

ダム壁で物理的に海との隔たりを作れば、海水の流入も防げるのだ。

 

実はインフラの根幹 伊良部大橋

さて、宮古島周辺にはいくつかの島があり、そのうち

・伊良部島

・来間島

・池間島

に宮古島から橋がかかっており、島同士を行き来できるようになっている。

この中でFPがある島は

・宮古島(5こ)

・来間島(1こ)

となっている。

 

じゃあ伊良部島と池間島は!?

 

 

(ちなみに、伊良部大橋は全長3.5kmで、無料の橋としては日本最長の橋である。

建設費を抑えるために歩道の柵と街灯が設置されていないという特徴がある。)

 

 

 

この橋々、ただ長くて景色が綺麗なわけではない。

橋で島同士を渡れるだけでも重要なインフラとなっているが、実はこの橋の下には

 

・FPで組み上げられた水が通る水道管

・電線

・光ファイバー

 

などが張り巡らされており、まさにインフラの根幹を担っている。

FPで組み上げられた水はサイフォンの原理でそれぞれの橋を通って諸島に送られていくという仕組みだ。

 

 

小さな島には驚きがたくさん

宮古島は1周100kmほどの小さな島である。川もなければ、高い山もない。

電車もないし、もちろん高速道路もない。(ちなみに、レンタカーにはETC車載器がついていた)

そんな島だからこそ、自分たちの生活とは違った知恵があり、そこに新しい発見もある。

 

まあ、結局何が言いたかったのかというと

 

海が超綺麗!!!!!