こんなふうに、生きたいな!! | ペコリーナのブログ

 映画「パーフェクト デイズ」 を観ました。


 東京都内の公衆トイレの清掃員、役所広司さんが演じる平山の日常が描かれた、ドイツと日本の合作映画です。 


 早朝、自宅近くの道路を老婦人がホウキで掃除する音で目覚めた平山さんは、布団をたたみ、寝るまえに読んでいた文庫本を閉じ、歯を磨いて髭を整え、植木に水をやってユニフォームを着込みます。

 外に出て空を見上げ、自販機で缶コーヒーを買って車内でゴクリ。カセットテープで音楽を流しながら、その日割り当てられた様々な公衆トイレの清掃を丁寧にこなしていき、神社でサンドイッチと牛乳で休憩。

 フィルムカメラで樹木をパチリ。

 銭湯、居酒屋、読書、就寝。

 翌朝、ホウキの音で目覚め、布団をたたんで本を閉じて……。


 そんなお話。


 同じことをただ実直に繰り返す平山さんを、我々はただ観ているだけなのです。

 が、全く同じ日なんてないわけで、ちょっとしたトラブルや思いがけない出来事、嬉しいこともあれば嫌なことなどが、平山さんの日常にも起こります。

 そして後半、そんな日常のなかでも割とぎょっとするような出来事がポコポコと起こることで、平山さんの感情と共に、我々の心情も揺らぎます。

 同じ日々の繰り返しなんてない。

 良くも悪くも、色々なことが少しずつ変化していくのが当然の日常なんだ、と。


 なんだかとても清々しい気持ちになる映画でした。

 キャッチコピーが「こんなふうに 生きていけたなら」 なんですが、平山さんのアナログかつ実直な暮らしぶりは本当に平和で清潔で、ひとりで過ごしているのに孤独ではなくて、おおらかで真面目な平山さんの性格にも憧れます。

 でも、平山さんの過去が垣間見える出来事もあり、決して平穏な人生ではなかったようなので、このキャッチコピーはもしかしたら平山さんの心情でもあるのかもしれません。


 鑑賞しているときはただただその世界に没入していましたが、後で思い返したり、それこそ感想を言葉にしようとしたとき、様々なシーンにそれぞれの感情が沸き起こり、全部が大切な出来事なんだと気づきました。


 役所広司さんは、この映画でカンヌ国際映画祭の最優秀男優賞を受賞されました。

 考えてみたら、わたしは役所広司さんが不良刑事を演じた「孤狼の血」 、前科もちで何かとカッとなりやすいながらも再生を試みる男を演じた「すばらしき世界」 も映画館で観て大変感動しました。

 今度は極端に口数の少ない平山という男を演じていて、そういや全部同じひとが演じてんだよな……と考えたら、それはそれは凄いことだと思いました。

 もっともっと、たくさんの名作での名演技を評価されているひとなのに、どれもその世界にどっぷりと自らを染めているため、同一人物であることに気付きにくいといいますか……。


 もっともっと話したいことがあるのですが、キリがなくなってしまうのであと少しだけ。


 作品のなかで、平山さんのルーティンのひとつである、早朝の出勤のとき、自販機で買うコーヒーは当然サントリーBOSS の缶コーヒーでした(笑) 。

 で、その缶コーヒーが「がんがらごん!」 と音を立てて落ちてきて、平山さんが毎朝よそのひとのホウキの音で目覚めるのと同様に、その音を目覚めのきっかけにしてるひとが近所にいるだろうな、と思いました。


 あと、柄本時生さん演じる平山さんの後輩が平山さんのカセットテープを中古レコード店に持ち込み、買い取り価格が高額と知って「売ろう売ろう。そんで、そのお金を自分に貸してくれ」 みたいに騒いで、それを拒否した平山さんが仕方なく手持ちの現金を渡したら、大喜びで去っていくというシーンがあったのですが、

 そのレコード屋さんにいた数人のお客さんたちが、後輩柄本に対して呆れている空気感があって、それがとても良かったです。


 全シーン、全登場人物が素晴らしく印象的で、本当に素晴らしい映画を観ましたよ!!

 オススメ!!


 わたしも以前から本を読みながら寝落ちしたいと考えていて、一時間で消灯する機能がついたルームランプを購入していたのですが、結局スマホ寝落ちがクセ付いていて全然ルームランプを生かせていませんでした。


 よっしゃ、今日から読書寝落ちルーティンに再挑戦や!!


 と意気込んだものの、充実した休日を過ごせたことに気を良くしてビールをたくさん飲んだため、


 ただただ、酔っぱらった勢いでぐーぐー寝ただけでした。


 ダメな奴!