25歳の夏、転職をした。

気が付けば、彼とももう付き合って丸5年が経った。

派手な喧嘩をする事もあったが、最近は穏やかに過ごしている。


新しい職場は同年代の女性が多く、休憩時間は恋愛話で盛り上がった。

「彼氏いるの?」

初対面でも、だいたいこの質問をされた。

「はい。5年付き合ってます。」

そう答えると、決まって、

「えー!!長いねー。結婚は??」

そんな事を言われた。


私はそろそろ結婚も考えていたが、彼の気持ちはわからなかった。

彼は、まるで貯金する気配もなかった。

しかし、

「結婚したいね。」

と簡単に言っていた。

その言葉が本気ではない事は、貯金をしていない姿を見てわかった。


この頃から、彼との未来が心配になった。

友達が結婚し始め、焦っていないつもりでも、実は焦っていたんだろう。

でも、彼には話せなかった。

ただただ、穏やかな日々が続くだけだった。


彼に電話をかけると、聞きなれた声が出た。

「私だけど…、元気にしてた?」

「うん。」

彼の口数が少なく、せっかく私から電話をかけたのに嬉しそうでないところが気になった。

「電話なかなか来ないから、かけちゃった。」

そう言うと、彼は

「10日後に会いたいんだけど、休み?」

偶然休みだった私は、10日後に会う約束をした。


なぜ10日後なのか?

それは聞かなかった。

そして、連絡をしなかったこの2ヶ月半の間、私が何をしていたのかを彼は一切聞かなかった。


10日後、彼と駅で待ち合わせをした。

切符を予め用意してくれた彼に、何も聞かずについて行った。


電車に揺られて10分。

そこから歩いて着いた先は、中古車の販売所だった。


手続きを済ませた彼は、大きなアメ車の助手席に私をエスコートしてくれた。

そのまま私達はドライブへ。


運転をしながら彼が話は始めた。

「新車は買えないけど、これでも色んな所に連れてってあげられるよ。」

私は、彼が最近はどこにも連れて行ってくれないところも不満だと彼に言っていた。

それを車を買うというところで、私に表現したかったのだろう。


久々に彼に会った私は、彼の元に戻ろうと改めて決意した。

帰り際、2ヶ月半会ってなかった事がまるで嘘のように、自然と次の約束をした。

会っていない間何があったのか、お互いに話す事はなかったが、元に戻る事が一番自然だと感じた。


雨降って地固まる。

23歳の夏は、今まで以上に暑い夏になった。


彼がチャンスをくれと言ってから一週間が過ぎた。
すぐにかかってくると思っていた電話は、一度もかかってこない。
その間も、もう一人の男性とは毎日連絡を取り合っていた。
取り合うというよりも、向こうから毎日連絡がきたと言う方が正しいかもしれない。

一ヶ月が過ぎたが、彼から連絡がくる事はなかった。
自分からふっておきながら、電話が一度もない事が少し寂しかった。
その頃からもう一人の男性の、会えない日に毎日かかってくる電話が少し欝陶しく感じるようになった。
束縛とも思える質問に、ついていけなくなってきた。
今日は何をしていたの?
誰と遊んでいたの?
何時まで一緒だったの?
毎日の行動を逐一報告させられるようになった。

二ヶ月が過ぎたが、彼氏からの連絡はなく、だんだんと心配になっていった。
そして、彼氏と正反対の男性の相変わらずな束縛ぶりに嫌気がさし、私にはやっぱり彼氏の方が合っていると感じた。

私は、男性に思い切って告げた。
やはり私には彼の方が合っているんだと。
男性はその言葉を予感していたように、素直に聞き入れてくれた。
友達として付き合っていこうと、円満にサヨナラした。

そして、私は彼氏に電話をした。