彼に電話をかけると、聞きなれた声が出た。

「私だけど…、元気にしてた?」

「うん。」

彼の口数が少なく、せっかく私から電話をかけたのに嬉しそうでないところが気になった。

「電話なかなか来ないから、かけちゃった。」

そう言うと、彼は

「10日後に会いたいんだけど、休み?」

偶然休みだった私は、10日後に会う約束をした。


なぜ10日後なのか?

それは聞かなかった。

そして、連絡をしなかったこの2ヶ月半の間、私が何をしていたのかを彼は一切聞かなかった。


10日後、彼と駅で待ち合わせをした。

切符を予め用意してくれた彼に、何も聞かずについて行った。


電車に揺られて10分。

そこから歩いて着いた先は、中古車の販売所だった。


手続きを済ませた彼は、大きなアメ車の助手席に私をエスコートしてくれた。

そのまま私達はドライブへ。


運転をしながら彼が話は始めた。

「新車は買えないけど、これでも色んな所に連れてってあげられるよ。」

私は、彼が最近はどこにも連れて行ってくれないところも不満だと彼に言っていた。

それを車を買うというところで、私に表現したかったのだろう。


久々に彼に会った私は、彼の元に戻ろうと改めて決意した。

帰り際、2ヶ月半会ってなかった事がまるで嘘のように、自然と次の約束をした。

会っていない間何があったのか、お互いに話す事はなかったが、元に戻る事が一番自然だと感じた。


雨降って地固まる。

23歳の夏は、今まで以上に暑い夏になった。