「ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン7th zig―オムニバス公演―リボン、ちゃんと結びなさい」(作・演出 堤泰之)というpart1&part2各5話からなるオムニバス形式のお芝居を、なつかしの千駄ヶ谷で鑑賞した。
part2は、今まさに好評上演中であり、ネタばれになるので、本稿ではpart1の感想。
まず、第1話「思い出の品」は、父親の葬儀にコスプレ仲間の女性がやってきて、父親の意外な一面が明らかになる、というコメディ。この作品を見たのは2回目だったが、二男役の小林和也さんはいかにも芸達者で、女性役の平野尚美さんとの小気味よいやりとりがあっという間の15分間だった。BGMの“ガッチャマン”のテーマソングが泣かせる昭和の香り漂う佳作。この第1話の幕開けで、観客は早くもぐいぐい舞台に引き込まれていった。
第2話「お帰りなさいませ、ご主人様」は、不景気なメイド喫茶に面接に来たメイド志望の女性(宮脇由佳さん)と店長(長井将孝さん)のかけあい、加えて、それぞれの独白のパートがバランス絶妙な少々ホロッとくる傑作だった。宮脇さんのぶっ飛んだメイドぶりも大熱演だったが、豹柄のシャツを羽織った長井さんのしぶい名演は実に忘れがたいものだった。おふたりに心から拍手。
第3話「メッセージ・フロム・ヘブン」は、若い女性(大出あゆみさん)が霊能力者(三枝翠さん)に亡き彼氏を呼び戻してもらおうとし、結局最後は、その筋の趣味があった彼氏に縄で縛られてしまうというオチの、もしかしたら、5話の中ではいちばん玄人好みの作品。ふたりの女優さんが実によい存在感というか、雰囲気を持っておられ、また、よい味を出していた。連続する5話の中で、とてもよいアクセントになっていたのではなかろうか。
第4話「ブロックサイン」は、少年野球の監督に、お色気ムンムンの某母親が自分の子をレギュラーにしてもらおうとしてあの手この手の攻勢をかけるという、短編ならではの怪作。
実は、この母親役の柏尾志保さんこそ、私に観劇の楽しさを教えてくれた女優さんであって、私は彼女の出演作はほとんどすべて見ているのだが、その中でも、いいのか悪いのか、まさにこれぞハマリ役。都度都度、まるでアニメのように変化する表情には吸い込まれるように見入ってしまったし、日頃よっぽど鍛えてんだろう、目に毒ともいえる彼女の垂涎の肉体美(?)には、ただただ圧倒された。
「しかし、こんな人絶対いっこないよな。」という、後で冷静になればなるほど実にばかばかしい役どころでもあり、「そうそう、少年野球の監督ってこんなだよな!」と思わせるあまりにリアルな相手役の野崎保さんがいてこそ、この作品は、実にまとまりのいい、小気味よさに仕上がったともいえる。
私は、以前、柏尾さんがもっと若かったとき(失礼!)にも、この「ブロックサイン」を観劇したことがあったが、そのときよりも、さらに完成度が高まったというか、納得感のある舞台に仕上がっていたと思う。あくまで、たかが素人の感想。
第5話「晴れの日」は、娘の結婚に反対し、式にも出ないという頑固な父親が、しかし実は娘のために披露宴向けのスピーチ原稿をつくっていた、という昭和のホームドラマを思わせる、ちょっとレトロな感じの掌編。ちょっとベタつくストーリーではあるのだが、さすが娘役の山田真由子さん、父親役の山岡三四郎さんの演技には大げさな気負いというものがなく、part1のトリを飾るにふさわしい出来栄えはお見事でした。
以上、各話15分から20分の作品で、10名の俳優さんが、ほとんど目の前で生の熱演を繰り広げてくれる。そう、この会場は、日頃はみなさんの稽古場なのだという。
とくに5名の美人女優さんを、ほんとに手を延ばせば届くんじゃないかという至近距離で拝見できた眼福はなにものにも代えがたい。映画やテレビ、ましてやインターネットでは、経験できない、実にいい世界を見せてもらった。
さて、平成の終わりを告げる10連休の初日である今日、私はpart2の方を観劇したが、こちらもいずれ劣らぬ名作ぞろい、家族や友人に勧めたくなる傑作ぞろいだった。・・・が、興行は明日までで、もう残席はほとんどないとのこと。
・・・えっ、ホントに残念デス・・・って?
だから誘ったろ、いっしょに行こう・・・って。
「せっかくのゴールデンウィークに年寄りのオモリはゴメン」とかさ、同じ昭和世代なのにツレないこと言うもんじゃないぜ、エリちゃん!
みなさま、よい休日を。