仕事が終わって、前から楽しみにしていた「ひのくすり」というお芝居を鑑賞。
受付時刻まで半端な時間が余ったので、劇場近くの中華屋で1,080円の「晩酌セット」とかいうのを頼み、生ビール2杯飲んでから、夜の「上野ストアハウス」に向かった。
ストーリーの舞台は東南アジアのリゾート地。そのはずれに日本人が経営する花火工場があり、そこで、日本では行き場を失った元ホストとか自衛官とか前科者とかが過去をひきずりながら働いている。彼らにここから逃げる「自由」などない。ところが、その花火工場が反政府ゲリラに火薬取引を持ちかけられる。断を下した経営者は、最後、従業員らに「逃げろ」と指示、自らは工場を燃やしてしまう、その夜空に従業員らが手掛けていた花火が次々上がっていく・・・というお話。
また、それと表裏の関係にあるもうひとつのお芝居が後半に用意されている。それは、そのリゾート地のエステサロンが舞台で、日本から送り込まれてきた女性たちがそこで働いている。その女性のひとりとさっきの花火工場の従業員のひとりに心の交流があるという筋立てにより、この表裏の作品はリンクしている。ところで、その店、表向きは風俗店ではない、とうたっているが、実はサービスの内容は女性たちの「自由」に任されている。しかし、やがては、お店が当局の手入れの対象となり、女性たちは逃亡。その途中で、女性たちもあの打ち上げ花火を見上げるという幕切れ。
前半は男性陣、後半は女優陣中心の、いずれ劣らぬ力のある役者さんたちによる手抜きのない舞台である。
感心したのは、花火工場・エステに共通の、従業員らのベッドが6つ並ぶタコ部屋を再現した舞台装置。それが全部客席から見えるヒナ壇みたいになっていて、ベッドの位置で、だれがどこのだれか、出演者・役柄を識別できるようになっていたところ。初見のお客さんも役者さんの区別がつきやすかったことだろう。
あと、風俗店が舞台になっているなど、どうしてもファミリー向け作品とはいえないものの、興味本位の露骨な描写はなく、あくまで言葉で大人の世界が表現されている。しかも、いちばんそれらしくない女優さん(山田真由子さん)に元AV女優を演じさせるなど、舞台の品格が保たれていた。
それに、いかにも笑いをとるだけ・・・といったわざとらしいシーンもないし、筋を追うのに疲れさせられることもないし。プロのお仕事はちがうと思った。
・・・昔から応援している柏尾志保さんや、私が勝手にフォローしている糸原舞さんの、美貌や肉体美も生で堪能でき(私はこのおふたりは大親友かと思っていたが、口げんかのシーンを見て、ホントは仲が悪いんだな、と確信した。)、ストーリーに爆発的な納得感こそないけれども、見終わって「ほんとに見てよかった」と思わせる充実の舞台でした。
・・・なお、私にも、ある出張先であまりに疲れたので「当店は風俗店ではありません。」と広告するマッサージに行ったら、モロ風俗だったという苦い体験があるが、それはまた別の機会にこのブログに書くこととしよう。