ワーカホリックなナマケモノ
打首獄門同好会は、男性1人と女性2人の3人組ラウドロックバンド。このバンド名で15年以上活動している。
名前は聞いたことがあったが(というか一度バンド名を見たら絶対忘れない)、音を聞いたのは2018年だからけっこう遅かった。
第一印象は、やはり3人組の少年ナイフのタイトな音と日常生活密着型の歌詞に、筋肉少女帯のハードな音と毒とほのぼの感が同時にあるヴォーカルを混ぜた感じ。もちろん気に入った。
最新の“新型コロナウィルスが憎い”という曲は、ギター&ヴォーカルの大澤敦史が家で作ったデモテープとコンサートで流したヴァージョン、2020年に出したミニアルバムのヴァージョンと3種類ある。
ここではコンサート・ヴァージョンを。
新型コロナウィルスが憎い
この映像で紹介しているライブに2020年のコロナ禍の直前に行った。
かなり久しぶりにラウドロック系のライブに行ったんだけど、子どもも会場に来ると聞いていたし、バンド名とは違ってほのぼのした感じもあるので、つい歳を忘れて昔のように会場の前の方に行ってしまった。
ライブは前半でもう客が暴れまくって大変なことになっていた。
そういうライブは初めてだった連れの女性は、“きのこたけのこ戦争”の途中でヤバいと感じて後ろの方に逃げて行ったが、戦死寸前の感じで悪いけど笑った。
打首獄門同好会の3人は演奏がやたらに上手く、大澤の客の盛り上げ方も独特ではあるがなかなかうまい。
ライブの盛り上がりは、“カモン諭吉”の映像を見るとよく分かるだろう。これまでいろいろなロックバンドのライブに行ったが、バンドと客がこれほどまでに一体となってコール・アンド・レスポンスを繰り返し、それが報われる姿を見たのは初めてかもしれない。
カモン諭吉
このように打首獄門同好会の曲の多くは、(大した事ない)喜びや悲しみ、憎しみや愛に満ち溢れている。
彼らにはラウドロックという枠に留まらない曲もあるが、ハードな音楽であることによって人を深く共感させる歌詞も多い。普段はやかましい音楽を聴かない人でも、この歌詞にはこの音しかないと納得するだろう。
“TAVEMONO NO URAMI”を聞いて、深い共感を持つ人は日本だけでなく世界中にたくさんいるに違いない。
でも、こういう時の天使と悪魔の戦いって、だいたい悪魔が勝つんだよな。
TAVEMONO NO URAMI
打首獄門同好会は、全ての曲を書いて広報を含む恐らくバンド関連のすべてを回している大澤敦史が目立っているが、要所要所でリードヴォーカルも担う安定感のあるドラムの河本あす香、そして驚くべきことに俺よりずっと年上の超マイペース・ギャル・ベーシストjunkoさんと、バンドのバランスもとても良い。
“はたきたくない”が、打首獄門同好会で一番好きな曲。このバンドにそれほど関心がなくても、どこかでこの曲を聞いて感銘を受けた人は多いのではないかと思う。
「俺は働きたくないんだよ!」という魂の叫びと、「それでも働いた自分って、何て偉いんだろう」という現実の自分へのエールがマッチした名曲だ。
あとポイントは、この曲を40代の大澤が歌って50代の俺が感動するというところかな。少なくとも自分は彼の「年をとっても、人間は立派になんかならないんだぜ!」という力強いメッセージを感じた。
でも、この曲を書いた大澤ってもしかしてものすごく働いてないか?
疲れが取れてない
休みが足りてない
お金も足りてない
だから働かなきゃいけないとは分かっているけど
はたきたくない
はたらきたくないね~
はたきたくない