SD SOUND TUBE CHECKER TC-2 真空管試験機の使い方。
プレート電圧を測定しペアチューブを選別したいときの操作方法。
まず、チューブチェッカーとしての使い方。
多数のソケットがシャシー上に並んでいるが、
手当たり次第に真空管を差してもよいわけではない。
一度に指せるのは同一管種が2本まで、
このことが正確な測定と安全性に関わる絶対条件である。
① 測定にはデジタル・マルチメーターと秒数付き時計、
それから本体に付属している「バイアス電圧表」を用意する。
② 選別したい真空管が、たとえばKT-66が2本と仮定する。
測定用のソケットの位置は決まっているので、
間違えないように球を2本とも装着する。
③ DC電圧モードに設定したメーターをGV端子に接続して
S1スイッチが「チェック」(CHK)に入っていることを確認する。
④ S1スイッチをオンにする。「バイアス電圧表」を見ると、
KT-66のバイアス値は-20Vと指定されている。
(この値はあくまでもTC-2による測定時の指標値)
メーターの位置が-20になるように、
ロータリースイッチS4を切り替え、
ボリュウムで正確にアジャストする。
これらは、その球の測定が終わるまで動かしてはならない。
⑤ 次にメーターをP-1端子へ移動し、
前記のS1投入から30秒以上経ってからS2をオンにする。
と同時に時計を見る。
デジタルテスターは、Sanwa(三和電気計器) デジタルマルチメーター PM-3 が断然お勧めです。
三和のテスターは2台あると操作量が大幅に削減できるので、
GV端子とP-1端子にそれぞれ1台使用すると作業効率が飛躍的にアップします。
ダイヤルはどちらもDCVに合わせます。
⑥ S2をオンにしたらそのまま1分間待つ。
真空管の動作を安定させる為である。
1分後にメーター表示を見ると、いまの数値は56mVを差している。
この数値をmAに読み替えた56mAがそのままプレート電流の数値となる。
なぜなら、B電源回路へ直流に挿入した抵抗素子1Ωの
電圧降下分をメーターで読み取っている。
オームの法則により、数値は同一になるからだ。
⑦ 表示値をメモした後、スイッチS3を反対側に倒すと、
もう一本の球のプレート電流を同様に読み取る事ができる。
テストサンプルは58mAで、2本のKT-66はペアで使用できることが分かった。
S2とS1の順にスイッチをoffにして測定は終了、
「プラスマイナス5%以下ならペアになります」とメーカーの石上さんからアドバイスがあった。
SD SOUND TC-2 チューブチェッカー 使用方法 出力管 6550プレート電流の測定 pic.twitter.com/XWh9TXIpc2
— Irony オーディオ (@irony49371) October 8, 2023
エージング機能の操作方法。
もうひとつはエージング機能がある。
これは以下の要領で運用する。
① 球を所定のソケットに指して、S5を「エージング AEG」側に倒してから
S1スイッチをオンにする。球は1本でも2本でも構わない。
この状態で6時間以上通電する。
続いてS5を「チェック CHK」側に倒して再度6時間以上通電する。
② 6時間以上通電したら、メーターをP1側の端子に接続して
KT-66の場合はメーター表示が20~30mA(表示はmV)になるように
バイアス値を調整する。以上三段階 合計18時間で真空管のエージングは完了する。
初期不良や球のトラブル率が格段に低くなりますし、なによりも音質が向上します、
大切な真空管ですから、ぜひエージングを実行していただきたいと思います。
以上、管球王国誌 高津 修 先生の記事より引用させていただきました。
付け加えると、真空管は最初の100時間から200時間どのような使われ方をしたかによって
寿命が大きく変わってきます。TC-2にて第一段階のAEG機能で四日(100時間)ほど
連続してエージングしても、新品の真空管が途中で故障したという事は一度もありません。
エージング後の真空管の初期不良率は現在までのところゼロです。
真空管はNOS(new old stock)の時に100~200時間のエージングをすれば寿命が50%アップします。
5000時間の寿命なら、7500時間に伸びる計算です。
引用元 管球王国誌
真空管がOKなのかNGなのかを判定する方法。
1. 各バイアス
6L6G//-12V
12AU7//-10V
6DJ8//-6V
誤差は10%位までOK
5U4Gは整流管なので測れないそうです
2. 真空管のOKなのかNGなのかの判定方法
GM測定について
その方法は例として6L6の場合
上記測定時に-12Vの際は
電流値が50-60mA位との事ですので、この数値をメモ取っておきます
次に約(1/3低い)-8Vのバイアス電圧に変えます
電流値が70-80mA位との事ですが、この数値をメモ取っておきます
例として一回目が50mV 2回目が80mA となった場合30mA増えたことになります。
電圧が4V変えて30mA増えたので
30÷4=7.5です
次に別の球を上記同じ測定します。
この球の計算値が7.5なら一番良いのですが10%-20%誤差位までOKとみるそうです。
ただこの誤差10%-20%は球の種類によって違ったり、
品質のバラつきがどこまで容認するかの自己判定だそうです。
上記は、栃木県 エレックス 岩田様より頂いたメールから。
例えば、KT-88 / 6550のプレート電流の計り方は、まず-28mAで計測する。
-28mAで出た電流値が40.5だとする。1/3低い18.7mA(-9.3mA)で出た数値が108.5
108.5マイナス-40.5=67.5で、 67.5÷9.3=は7.25となり、理想値の7.5に近く合格の球となります。
ヴィンテージの真空管試験機・チューブチェッカーでは球がどれくらい元気かが分かるが
正確な寿命は分からない。かなり元気な球であっても突然寿命が来ることがある。
真空管試験機・チューブチェッカーでGM値を計測して『40、41でペア』など
数字が似通った球がペアチューブとなる。同じくらいの力があるのでプッシュプル
(押す力と引く力)で力が拮抗する。真空管は使っているうちに
ある日突然ノイズを出すようになることがある。チューブチェッカーでは
その球がノイズを出すかどうかはまったく分からない。
チューブチェッカーの話からそれるが真空管はヒーターが
ひとつでも点灯しなくなると音が出なくなる。
音は出るが不良の球というものがあるが、その球は音が酷くボケボケである。
良い音にならない。その判定は試験機のμ(ミュー)という項目で機械的に判断できる。
また新品なのにゲッターがあきらかに減っているものはエア(空気)が入って真空度が下がっている。
クラックして空気が入って頭が白くなっているものもある。そのまま使用すると
スパークして青白く発光してバリバリと盛大なノイズを出すので危険です。
数年前から愛用している、SD SOUND TUBE CHECKER TC-2を選んだ理由としては、
ヴィンテージ真空管試験機だと、測定値の校正といって、
年代物の古い機械なので測定精度が不確かなので数値が正しいのかどうかの
検証ができないから、新品で購入できるチューブチェッカーが欲しかったのと、
他の測定機にはない、真空管エージング機能も是非欲しかったからです。
ヴィンテージの真空管試験機も修理して売ってるところはありますが、
チューブチェッカーは60年以上前の非常に複雑で部品点数の多い機材なのに、
自分が売ったものは修理依頼が一度もないとか言い張る人で信用できませんし、
色々と聞いて回っても購入後に古い測定機を修理してくれる所が
見つからないので断念しました。付け加えると、業務で毎日のように
数多くの真空管の測定をする場合は、測定がワンタッチでできる
業務用のヴィンテージの真空管試験機がやはり必要です。