岡山県 オーディオマエストロ 訪問記 | 禁断のKRELL

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ハイエンドオーディオやヴィンテージオーディオを語っていきます。

 

 

 

岡山県オーディオマエストロさんを訪問しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

タクシーで時間より少し遅れてお店の前に到着いたしますと、是枝さん

ご本人がすぐにドアを開けて笑顔で出迎えて下さいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーディオマエストロ、是枝重治さんの工房が入口から入ったところの

ガラス貼りのスペースにあり、奥の扉を開けて細い趣のある廊下を

ずっと進んでいくと突き当りが同店の試聴室となっております。

 

 

 

 

 

 

 

 


オーディオマエストロの是枝重治氏は管球王国の創刊時から105号に至る現在まで取り上げられる
有名な設計者ですが、彼が設計したアンプは「真空管では到底聴いた事がないような」
「凄まじい切れのある音」で他では全く聴いた事がないような非常に緻密な音で、
ゾクゾクするような昂奮をもたらす。傑出したアンプビルダーである。

 

 

ステレオサウンドオンライン オーディオマエストロ販売ページ

 

 

 

 

 

 


 

 

お聴かせいただいたのは、

 

 

 

 

 

 


Goodmans Axiom80 四発と英国の直熱三極管 PX25シングルアンプ。
戦前の旧管、戦後の新管がありますが、戦後の新管の方です。

 

 

PX25(新管ST型)はイギリス系の直熱三極管の代表。

優婉にして高雅、暗めでしっとりした上品な音。色濃く艶やかな音。

ヴォーカルや弦楽はとても情緒的で心に沁みるような

歌い上げで物憂げな哀感が漂う。時代の空気感が見事に再現される。

 

 

以下から空気録音で現場の雰囲気をお楽しみ下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 


是枝PX25シングルアンプとAXIOM80四発の壮絶な美音に悩殺されました・・・・・
完全にノックアウトです。部屋も30畳以上あって天井高も3.3mで、
定在波の介在もなくルームアコースティック、音響的にもパーフェクトですね。
セッティングはセオリー通り部屋を長手方向使い。スピーカーの間隔は非常に広い。

「私も(1996年くらい)当時はクッキリハッキリした音が好みだったんですが、
近年はまろやかな音質傾向のアンプを作るようになってきました」

 

「球に負担をかけないようにどのアンプも定格の7割ほどまでしか負荷を掛けてないですね」

是枝さんは寡黙な職人気質ではなくてオーディオの話も大変興味深い話ばかりで、
いうなれば金言の宝庫で、多くの知識と経験が得られました。

 

 

 

 


 

 

 

是枝さん曰く、

「真空管は3倍の数を用意できて初めて安心して使用できる」

『シングルなら6本 プッシュなら12本ですね』

「そうです。米国のeBayとかで私も買ったりするんですが、
使用可能な球を買って、使えるのは5~6本のうち1~2本あるかないかです」


『3~5本は全く使えないのですか?』

是枝さん「そうではありません、アスリートの世界でも
オリンピックに行けるのは特別な肉体を持ったほんの一握りでしょう?」

「使えるか、使えないかでいえば、使えるのだけど、
特性的に私が求める水準に合格する物が少ないのです」

 

 

 

 



是枝氏のアンプは購入されたファン方のご意見を伺っていくと、
RCA250やRCA50のシングルアンプが一番人気があり、
市場に出回らない(買った人が死なない限り手放さない)
 300Bシングルやプッシュはたまに出るんですが、50や250は見たことがない

 

 

「50の方は250の音を知ってしまうと?」

 

「いや、それはなんとも言えない。無帰還だと300Bもフワッとした音がでる。フワッと広がる開放感がある250の方は」

 

「管球王国13号の250シングルは下取りで戻ってきたことがない。Yahoo!にも出たことがない」

 

「50の製作記事はラジオ技術に2回、管球王国に1回だったかな」

 

 

「私が一番好きな球ですか?それはRCA250でなくイギリス管ですね、PX25とか」

 

「今お聴かせ頂いたやつですね?」

 

「これは新管で、一番好きなのは戦前に作られた旧管の方ですね。新型管は戦後に作られたものですね」


『好みにもよりますが、RCAゴジュウは音が優しくて耳当たりが良くて300Bより魅惑的ですよね』

KS氏「そうです。ただし、RCAゴジュウではなくゴーマルです」

「同じようにRCAニヒャクゴジュウではなくてニーゴーマルと読んでください」

「300B、これはそのままサンビャクビーと読んでいいです」


 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

戦前の旧型英国PX25 搭載のPPアンプ。

 


是枝さん「みんなバルブの形がどう、釣り金具の形がどう、
そういうことばかり気にしておかしな話ですよね、何の意味もない


「是枝さんのアンプは他の人となにが違うのですか?」

「秘密なんて、なんもない、全くない!」

 

 

 


 

 

 

WE300Bシングルアンプもありました。

 

 

 

 

 

 

 


「古いトランスはピッチ(石油製品)が古くなって絶縁不良を起こすんです。
昔からのお客さんでRCA 50のプッシュも持ってる人が、TRIAD(HS)の

トランスを持ってきて「これでアンプを作ってくれ」と云われました。
だけど絶縁不良なんですよ!コアのコイルが接触してしまう」

「Westernは違うんですよ松ヤニが充填してある」

「だからWesternは使える、だから高いのですよ。古いトランスは絶縁不良、
Marantz Mcintosh UESUGIみんなコールタールですよ」

 

 

 

 


 

 


『私は音を気にいって、四か月待ちでAIRTIGHT ATM-300Rを買ったんですが、
このアンプは最新鋭ハイエンドスピーカーを鳴らす前提に開発されたので
マッチするものがavant-gardeしかなくて本当に困っています』

 

 

 

 

 

 

 

 


 

是枝さん「うーん、avant-gardeはちょっと・・・・・・・」

 

「カナダのparadigmというベリリウムを使ったスピーカーに96dBのがありますよ」

 

 

「わたしは先日、JBL LE-8Tを購入しまして、すっかり舞い上がっています」

 

 

 

 

「私は、LE-8Tは好きじゃない!あまり特徴がない、クセがない音がするから」

 

「そ、そうですか・・・・・・」

 

 

(結構、上手く鳴らすと、奥深さを湛えた、非常に印象に残る音を出していたと思うのですが)

 

 

 

 

 

 

 


California audio labs の真空管式CDプレイヤー 初代テンペストのようです。

是枝さん「普通は真空管CDプレイヤーといってもバッファだけ真空管とかなんですが、
これは全部真空管です」「非常に珍しい物でPHILIPS LHH2000より相場は高いですよ」


『!あまり古さを感じさせない良い音ですね』

 

 

 


 

 


是枝さん「Western electric 1086はA,B,Cで音が違う。流石に良い音がします。
Western electric 124は全く傾向が違う音がします。
86はクッキリした澄んだ音で124は濃厚でマイルド。

86は業務用ですからね、家庭用で使うにはどうでしょうね。

NFBでも音が違うし。7号の300Bプッシュは86を借りてきて横に並べて較べながら作った」

「昔雑誌でヴィンテージや現代アンプなど色々なアンプを

一か所にたくさん集めて聴いたが、WE86(A)が一番良かった。

二番がQUAD。ところが、26年経って今年一月に同じ86を聴くとまるで音が違う。
元々それは編集担当のHさんの個人的な持ち物だったんですよ。
1086はA,B,Cとかあるけど86Aが一番音が良い。Aは60Hz専用トランス

86Bは50Hzでも60Hzでも使える。WE86Aを50/60Hz変換器なしで

AC100V 50Hzの関東で使用した為、電源トランスが熱を持って燃えてしまった。

修理に出したんですが、トランス屋さんがコアを残さないで全部やり替えて

しまったので思いっきり音が変わってしまった。」

 

 

 

 

 

 

 

LINNのクライマックスDS 450万という英国王室御用達の機器もありました。

置き台は膝くらいまでの高さがある大理石(!)で徹底的に不要振動を排除しています。

 

 

右手前のシルバーの機器は是枝プリアンプでモノーラルプリアンプです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

是枝さん「B&W Silver Signature (SS25) は創設者バウワース氏の銀婚式のお祝いとして

作られた記念モデルです。内部配線,ターミナル,ボイスコイル,キャパシタ など

パーツは全て純銀製。音質傾向は通常のB&W製品とはまったく違うもので、

バウワース氏は「本当はこんな音が好きだったんだろうな」と思わせます。

ワシントン条約で現在は輸入が規制されていて入手が不可能な

ブラジル産のブビンガのキャビネットと玄武岩の純正スタンドは必須で、

これらが揃わないと音質的にはまったく価値なし。石材を使ったスピーカースタンドは

輸送時に割れる事故も多かった。鳴らすのが非常に難しいスピーカーだが、

上手く鳴らすと「オートグラフのような音」で鳴る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが是枝RCA 50アンプです。お値段はいくらほどだろう?そもそも売っていただけるのか?

 

 

 

岡山のオーディオマエストロ 是枝重治さんのお店は、

めちゃめちゃ音が良くて、もう嬉しくって嬉しくって。感激しましたね。

さすが名人と呼ばれる方ですね。凄い。ほんとうに凄い!

 

 

 

なんかすごく強い刺激を貰って体と脳細胞が賦活化しましたね!

 

 

 

 

 

 

お嬢さんに美味しいコーヒーも煎れていただきました。

 

 

是枝様 丁寧なご対応いただきましてまことにありがとうございました<(_ _)>

 

 

 

 

 

2022/9/4 の訪問