B&W 新D4シリーズ発表会 澤田龍一氏 講演 | 禁断のKRELL

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2021/11/6 東京インターナショナルオーディオショウ ディーアンドエムホールディングスのブースにて

 

 

 

 

D&M Holdingsシニアサウンドマネージャー 澤田龍一氏 講演

 

 

 

 

ディーアンドエムホールディングスは、神奈川県にある日本の音響機器や
映像機器を扱う会社。(デノンや日本マランツなど)
この度、英国のB&Wを買収したので、これまではディストリビューターとして
取り扱うだけだったが、これからは名実共にファミリーとして関わって行くという。

 

 

 

澤田氏 B&W 801D4はこの度アビイロード第一スタジオに導入されまして、すでに稼働しています。

 

 

 

 

 

 


B&W MATRIX 801は 「1980年代で世界一のスピーカーを作ろう!」 という
スローガンを目標を掲げて作られたので 801という。この後は2001年のシグネチャー
800というモデルからダブルウーファーがトップモデルになっていった
38㎝より小口径のダブルウーファーになっていったので、
801というナンバーは欠番となり、800番というモデルができた。

 


 

 

 

 

スタジオでですね、幅の広いスピーカーは好まれなくなってしまったんですね。
今どきのスタジオは2チャンネルスタジオではないので、マルチチャンネルで
沢山のスピーカー使っているので、幅の広いスピーカーが沢山並ぶのは嫌なんです。
だから大口径の幅広スピーカーは世の中には出せないと、ここ二世代ほどは
38㎝のスピーカーはないんです。もはやこれを作ることはない
だったらこれを永久欠番にするのはもったいないので、
トップのモデルに使おうと、801というトップモデルに使われていたナンバーを戻そうと。

 

 

 

 

 

 

 



新しい B&W D4ですが、外観はなにも変わっていないんじゃないか?
そうお感じになると思いますが、細部は色々と変わっているんです。
ただですね、玄人好みの変わり方で、なかなか説明するのが
難しいんですけど、一番大きく変わったのがミッドレンジなんです。
前回D3になったとき長年B&Wの顔だった黄色いケブラーコーンがなくなって
銀色になった。それは変わらないんですが、今回変わったのは
コーンを動かすサスペンションです。スピーカーのサスペンションって
いうのはひとつにはコーンのエッジです。もう一つはユニットの裏側で
同心円状の波型断面になっているダンパーと言われているものです。
この二つがサスペンションなんですが、B&Wについて言いますと、
1980年代の最初のノーチラスからミッドレンジはほとんどエッジがない状態です
事実上のエッジレス構造です。D3のサスペンションは布コルゲーション
ダンパーと言われるもので、現在のコーン型スピーカーの99%以上これです。
ただ、私も元スピーカーエンジニアだったんですが、エンジニアから
すると、この布コルゲーションダンパーはもしゃもしゃしたノイズが出る
んですよ。布ですから、動けばもしゃもしゃと言う。あんまりS/N比が
良いとは言えない。今回B&Wが開発したものはですね、
黒くて細い棒状の物、自転車のスポークのようなもの、これが六本使われている。
これで支えているのですが、見るからに音の抜けはいいですよね。
実はさっきの布コルゲーションダンパーより考え方は旧いんです
世の中にスピーカーが登場したときというのは1920年のパリ博覧会、
当時のWestern electricのライス&ケロッグが開発した最初のダイナミック
コーン型スピーカー、その時のスピーカーはダンパーは後ろではなくて前なんですけど、
やっぱりソリッドダンパーでそれから大体1950年代くらいまでは
いわゆるソリッドダンパー、蝶ダンパーだった。これはWestern electricだとか
ALTECだとか、JENSENに使われて、そのあとで布コルゲーションダンパーに
どんどん入れ替わっていった。量産性はいいし、ストロークは取れるし、
ということでほとんど布コルゲーションダンパーになっていった。
でも、こういうソリッドダンパーの方が音抜けが良いってスピーカーエンジニアは
みんな知っていたんです。実は1970年代のONKYOさんのウーファーは
三世代くらい、やっぱり蝶ダンパーなんです。それからクライスラーという
スピーカーメーカーがありましたけど、そこはワイヤーストリングスダンパー
といって釣り糸で釣ってある。これは凄い音が良かったんですけど、
使っているうちにワイヤー伸びちゃって、やっぱり
トラブルになってしまう。そのあとはPIONEERさんがミッドレンジに

五本のワイヤーを使ったワイヤーサスペンション。これはTADの木下さんが
PIONEERに在籍されていた時に開発されたサスペンションで、
これも非常に音が良かった。あとは1980年代にVICTORさんが
ドルチェシリーズでスパイラルサスペンション、これもソリッドな構造で、
だから時々、こうして現れる。ただ量産性が難しいとか安定性が悪いとか
色々問題があって消えていった。B&W はそういうことを良く知っているので、
まずストロークの大きいウーファーには使わない。ミッドレンジは
ストロークはプラスマイナスでせいぜい1mmか1.5mmくらいです。
そして素材は、これはB&Wから絶対に言ってはいけないと言われている、
いわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックのカテゴリーで、
例えばGoogleでスーパーエンジニアリングプラスチックと検索されると
十種類くらいでてきます。零下から高温の200度くらいまで安定するし、
振動に対する疲労性もないし、耐薬品性とか、耐水性とか、
耐放射線性とか、非常に強い。私ね、この素材をモノタロウで調べたら、
30cmの薄いシートでね、8万円とか非常に高い(笑) とんでもない値段がする。

 

 

 

 

 

 

 


この裸の骨組みだけのユニットの中央に銅色のリングが見えると思うんですけど
これはいわゆるショートリングと言われるもので、ボイスコイルで発生する
電流歪みといわれるものを抑圧するというか、抑えるためにあるのですが
これは殆どのハイエンドスピーカーで使われています。B&Wも殆どのスピーカーに
入っています。これはボイスコイルの近くに電気抵抗の低いリングを入れて
ボイスコイルのインダクタンスのキャンセルというか、電流歪みというものは
そんなに大きいレベルではないんですけど・・・・・ただタチの悪いことに、
第三高調波が主体なんですよ。ようするに不協和音なんですね。
だから結構耳につくんですよ、レベル(雑音量)が低くてもね。
それでこういう銅のショートリングを入れてキャンセルするんですが、
ボイスコイルの近くにショートリングを入れるとキャンセルできるのですが
今回はそれを徹底的にやろうということでですね、ショートリングを
ボイスコイルの内側だけではなく、外側にも入れたんです。
ダブルショートリング、これはB&Wとしては初めての採用です。

他のメーカーでも採用されたことがないと言ってるわけではないですよ(笑)

D4では804以上のミッドレンジに採用されています。805 D4はミッドレンジではなくて
ウーファーなのでありません。やはり銅より、銀の方が抵抗値として低い
ので効果的であると、ショートリングに使おうと、それで今回801のみ
銀のショートリングが使われています。ただね、銀の方が抵抗値が低いと
言ってもたった5%です。20%や30%違うわけではない、抵抗値を下げるため
でしたら銅のショートリングでも断面積を5%ほんのちょっと広げれば
おんなじ電気抵抗になるんです。だったらなんで純銀なんて使ったのか?
それは音が良かったからなんです。B&Wは絶対に白状しませんけどね。
ただ単にキャンセルしてるだけではなくて銀のショートリングを使うことで
結局相互作用で電気信号が隆起されて流れる。
あたかも銀線を使って電気信号を流しているみたいな効果になる。
スタッフさん、使っているこのスピーカーケーブルは値段どのくらい?
「3mでペア560万で・・・・・・」 スピーカーと同じくらい高い(笑)

 

ほらね、やっぱり銀線なんですよ。

 

 



 

 

 

 

B&W 新D4シリーズ 空気録音は下記をクリック

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

B&W 805 D4 ですが、爽やかなサウンドで、澄んでいて清々しい音でした。

小型ならではのキャビネットの剛性が高くすることができるので、完成度が高い。

重低音は出ないけど、非常に高性能で欠点のない素晴らしいスピーカーだと思いました。

 

 

 

B&W 新ラインナップ、805D4は完成度が高くて、なんとか欠点がないかと思ったのですが、

見つかりませんでした。801 802 804を聴きましたが、小型のメリットも感じたし、

見事なスピーカーだなと。801は最初に聴いたのもあるけど、大口径の難しさを感じた。

802の方が好ましかった。具体的には大口径だと、今回はプリアンプなしでアッテネーターを

使ってクラッセのモノーラルパワーアンプで鳴らしていましたが。どうしてもFMのように

アンプの能力が高く、かつ相性が良くないと、低音が大雑把な音になりがちで、これだけ部屋が広くて、

ディーアンドエムホールディングスさんにルームアコースティックの膨大なノウハウがあっても

総エネルギー量が多く、低音が多いと処理が難しいと感じました。(あとテストは後攻めが有利)