競争を勝ち抜いて、よい学校、よい会社に入り、
結果的に「勝ち組」になる人たちというのは、
実は自己価値感が低い人だったりします。
何でもがんばって、人に勝たなければ、自分には価値がない、
百点満点がとれなければ、自分には価値がない、
心の奥に、そんな「恐れ」があるからこそ、
必死でがんばってきたし、成果もあげてこれたんです。
ですが、永遠に勝ち続けることはできません。
やむをえず、負けてしまうこともあるし、
その前に、自分自身が疲れ切って、
競争から降りざるをえなくなることもあります。
ずっといい子でがんばり続けてきたけれど、
大学受験や、就職活動を前にして、心が折れてしまった・・
せっかくいい大学に入ったのに、
自主性を求められると、どうしていいかわからなくなり、
部屋から出られなくなった・・
順調に就職もできて、バリバリ仕事をしていたのに、
何かにつまずいて自信を失い、会社に行けなくなった・・
そんなふうに、いったん折れてしまうと、
「○○でなくなった」自分にはもはや価値はないので、
こんどは一転して、うつ状態になってしまいます。
「○○でなければ自分には価値がない」の
○○のところに何が入るかで、
さまざまな症状があらわれます。
「みんなに好かれるいい人でなければ」であれば、
つねに他人の気持ちを推し量って行動し、
本音は隠して、
ネガティブなことはすべて自分の中に押し込めてしまうので、
だんだん、自分の本当の気持ちがわからなくなってきます。
そして、人の顔色ばかり気にしているうちに、
不安でたまらなくなって、
視線恐怖などの対人恐怖や、社会不安障害になったりします。
ネガティブな感情を完全に押し込めてしまうと、
身体の病気（自己免疫性疾患）になることもあります。
「完璧な容姿でなければ」であれば、
百点満点の容姿をめざして、摂食障害になったり、
醜形恐怖という神経症になったりします。
あらゆるメンタルの不調は、
「○○でなければ自分には価値がない」
という思い込みからきているわけで、
それは、親が子どもに願う、
「人に好かれるようになってほしい」
「不自由のない暮らしができるようになってほしい」
といった、ごく自然な思いから発する、
子ども時代のしつけや教育によって、
簡単に、しっかりと刷り込まれてしまいます。
ですので、たいていの人には、
「○○でなければ」だめだという思い込みがあります。
その思い込みを、
「ありのままの自分に価値がある」
に変えていくことが、
カウンセラーの仕事になるわけです。
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