⇒初めから読む『プロローグ1 なんでもない悲劇』


「田舎でマンネリの人生を

 歩みたくない!」

 

そう思って僕は

高校卒業後に上京した。

 

 

 

 

正社員で

CAD設計をやっていたが

 

充実した将来が

イメージできずに

 

半年で辞めた。

 

 

 

 

それから

1人暮らしをして

 

単純作業系の

アルバイトで

生計を立てていた。




そんな時、

一緒に上京してきていた

高校時代の同級生から


1本の電話が

かかってきた。




「俺、今

 お世話になっている人が

 いるんだけど、

 

 会ってみない?」




少し警戒したけれど


まあ何か

役に立つならと思って

会うことにした。


★ ★ ★


前髪をジェルで上げて

ビシッとスーツでキメている

 

礼儀正しい

デキる雰囲気の男性と会った。

 

 

 

 

彼は

人財育成をしている

会社の人で


若者を

今後の世の中に通用する、

材料ではなく

財産となる人に


育てているのだという。

 

 



主に、

日本の未来や、


どういう人が

理想を叶えていけるか


というような話だった。

 

 



確かに、

何も知らない僕にとって


いろいろ

勉強になるかもしれない。




デキる男になって


仕事もプライベートも

充実させて


最高の人生を

手に入れられるかもしれない。




しかし、、、




そのメンバーに

なる為には


47万円の教材を

購入することが条件だった。




フリーターの僕に


そんな大金、

払えるのだろうか。




もちろん

一括払いではないが


ちゃんと

返していけるのだろうか。




そもそも

どれだけのことを学べて


本当に稼げるように

なるのだろうか。




そして

僕から出た言葉は


「とりあえず

 自分なりにやってみます」


だった。




それに対して

言われた言葉が


47万円の扉を開けた。

 

 

 


「今までの

 自分の価値観や考え方で

 生きてきた結果が
 

 今の現状を

 作ってるんでしょう?」


 

「それと同じ

 価値感や考え方でやっても
 

 これまでと同じ

 結果を生むよ?




 年金も

 どうなるか分からないし
 

 世の中が

 勝ち組と負け組に

 分かれるとしたら
 

 今のままの自分で

 やっていける?」




僕は

言い返すことが


できなかった。

 

 



素直に

納得してしまったのだ。

 

 



月々の返済も

払えない金額ではないし


この会社に

賭けてみよう。

そう思った。

 

 



『自己満の勘違い野郎』

それは、

その担当者が放った言葉で


妙に心に

残った言葉。




理想の未来を

漠然と夢見てはいるが

 

「いつかそうなるだろう」

と勘違いをし

 

 

 

 

決して

リスクを負って

 

それを

追い求めることはなく




勝手に

 

自分の中に

制限と限界を作り


今のままでも

それなりに満足している、

 

 



そんな僕を


的確に

言い表した言葉だった。




また


「我々は

 きっかけを提供している」


とも言っていた。

 

 



僕にとってそれは


まさに

良いきっかけとなる出来事だった。


★ ★ ★


東京。

それは、


希望と熱望と

欲望と絶望が渦巻く


得体の知れない

サバイバルな街。




だけど僕には

その刺激が必要だった。




子供の頃、

“ドラクエごっこ”と称して


森を探検し、

未知の世界を求めて歩いた。

 

 



秘密基地を作って


木の武器で

悪い草木をやっつけた。




極めつけは、

毒の実を口に入れ


口全体が

麻酔状態になって喋れなくなり


病院に運ばれ、

入院した。

(↑当時、実際に口にした実『蛇の大仏』:茎が蛇のうろこ模様。猛毒)




呑み込んでいたら

死んでいた。


実が赤く熟していたら

死んでいた。

 

 



それくらいの

冒険心が


大人になっても

消えていなかった。




冒険は続いた。




人に化けた

神様や悪魔が


僕の人生に

波乱の波を呼び込んだ。




何せ、天は僕に
何かのお役目を与えたから。




僕が未熟すぎて

ダメすぎて


もっと成長しなければ

ならなかったから。

 

 



だけど

有難いことに


天は乗り越えられる

試練しか与えない。

 

 



僕は、

今度は


『起業』という名の

扉を開けた。


⇒『第2話 恥ずかしい事業』へ続く