『うた魂♪』 新宿ジョイシネマ | 映画な日々。読書な日々。

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うた魂

高校女子合唱部のかすみは、歌っている自分が大好き。ある日、イケメン生徒会長から「歌っている君を写真に撮りたい」と言われ、自分が好きなんだと有頂天になる。しかし、出来上がった写真を見て大ショック。歌っている自分がこんな顔だったなんて。生徒会新聞にその写真が大きく使われ、悲しみと自信喪失で合唱部を辞めると言い出す。しかし、かすみのやる気のない態度に、ヤンキー高校の合唱部から文句をつけに来た男がいた…。[上映時間:120分]


2001年 シンクロ (ウォーターボーイズ)

2003年 ジャズ (スウィングガールズ)

2005年 フラダンス (フラガール)


そして

2008年は”合唱


ということで、これらに続くヒットを狙ったようですが、残念ながらその3作品に並ぶほどのヒットには繋がってないですねぇ。とはいえ、この映画もなかなか面白かったですよ。ただ多分他の3作品との圧倒的な違いは、夏帆をメインにしすぎたというところと、最初から全国大会レベルだったことだと思います。ウォーターボーイズにしてもスウィングガールズにしてもフラガールにしても、”0からみんなで頑張る姿”が描かれていて、それに結構感動したりしたのですが、うた魂♪に関しては、みんなが頑張るというよりも主人公のかすみの成長を描いただけで、一体感みたいなものがなかったんですよね。


自分大好きで自意識過剰の荻野かすみ。合唱が大好きというよりも、歌っている自分が何よりも大好きなちょっと勘違いな女子高生。そして自分が恋心を抱く生徒会長の牧村君とは勝手に相思相愛だと思って疑わず、妄想は広がるばかり。世界は自分中心に回ってると思っているような女の子ですね。


そんなかすみはある日牧村君から「歌っている荻野さんの写真が撮りたい」と言われて有頂天になる。しかし出来上がった写真を満足そうに渡す牧村君に「荻野さんの歌ってるときの顔って産卵中のシャケみたいだよね」と言われてしまい、大ショックを受ける。さらに同じく牧村君に思い寄せる青柳さんにも「あんたの歌ってる顔って正直変だよ」と言われてしまい、自信喪失、人前で歌うことが怖くなってしまう。部活をやめる決意をしたかすみは、顧問の瀬沼先生にラストステージはあった方がいいと、夏祭りの合唱祭に出場するが、全くやる気のない歌い方しかできず、さらに会場に牧村君と青柳さんの姿を見つけたかすみは下を向いたまま歌うことができなくなってしまう。しかしヤンキー合唱団の歌を聴き、さらに部長・権藤に叱咤激励され、自分の歌への思いに改めて気づく。


夏帆の勘違いっぷりがかなりすごかったですねぇ。冒頭の海辺で歌ってるシーン、おいおいやばくないか?と思って観ていたのですが、当の本人は「私って素敵♪」と思ってるからすごい。自分の歌を録音したテープをウォークマンで聴いてたり、私って美人、私の歌声はすばらしい!なんて思っちゃるそのイタさ。かすみの所属する七浜高校合唱部は全国大会の常連なので、テレビ局が取材にきたりなんかもするんですが、その時の目立ちたがりっぷりや、「カメラチェックできますか?」なんて聞いちゃうところもかなり痛々しい。テレビ局のディレクターをともさかりえが演じているのですが、まさに彼女と同じ気持ちで観ちゃってました。これ、同級生とかだったらかなりウザイですが、遠目で観てる分にはそのイタさも意外とかわいかったりしましたけど。


でもそんなかすみが、牧村君に言われた一言で自分に自信をなくし、今まで自分が信じて疑わなかった自分への賛美が崩れ始めたぐらいから物語りは面白くなりました。


何より不良高校生達が合唱をやっているという意外な設定が面白かったですね。そしてその不良高校生達が一生懸命歌ってる姿がなんとも良かったりもして。かすみが言うほど「15の夜」から感情は伝わってこなかったですけどね。ゴリは36歳なのに高校生役、意外とハマってましたねぇ。


権藤率いる湯の川高校合唱部との出会いで歌うということはどういうことなのかに気づき、そして合唱が好きなのではなくて、歌ってる自分が大好きで歌っていたことに気づいたかすみが変わっていく姿はベタだけどなかなかいいです。かすみが人の言うことをきちんと素直に受け入れるところも好感。所々結構感動してしまったシーンがありました。


私的に良かったのは合唱部の部長の楓とピアノ伴奏のミヅキ。かすみが部活に戻ってきた時の楓の行動ってカッコイイと思います。仲の良い友達でも必死でやっている部活の中で甘えは一切許さない、その姿勢がいいなぁと思いましたね。楓の芯の強さ、ミヅキの優しさがすごく良くて、かえでちゃん、本当いい友達持ったねーと思いましたよ。


あとは薬師丸ひろ子。今回もめちゃくちゃかわいかったですよ。本当キュートですよねぇ。ただ最初はあんなやる気なさげで壇上でふらついたりしていたちょっと変なキャラだったのに、いつの間にか普通になっていたところは疑問。さらになんで路上ライブを辞めたのかも気になるところです。なんか中途半端なキャラクター設定にされてしまっていた感じでそこが残念でした。


微妙だったのはおじいちゃん役の間寛平。彼の存在意味がよくわからん。笑いを取りたかったのかもしれないけれど、全く笑えなかったし、おじいちゃんは必要なかったんじゃないか?


この映画、歌によって人を感動させることができるということ、みんなで歌うことのすばらしさ、みたいなものが描かれているのですが、それと同時に何気ない一言や行動が人を傷つけてしまうことがあるというのが、牧村君の一言、そして小学校の時のフニクラ事件によっても描かれています。フニクラ事件に関してはかすみよりも先生の方がひどいと思いましたけどね。


そしてやっぱり合唱がテーマだけに、最後の合唱コンクールのシーンはよかったですね。歌声は本当素敵でした。好きなことに一生懸命になっている姿ってやっぱり素敵だな、と思ったりもしたし、ちょっぴり感動的なエピソードもあったりしてなかなか面白かったです。


新宿ジョイシネマにて鑑賞


★★★☆