意志を継ぐ者 | pちゃんのブログ

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子供の頃、周りにカッコイイ大人達がたくさんいた気がする。

自分も早く大人になって、ああいう大人の仲間に入りたい! と、いつも思っていた。

身内の中にも、何人かいたものだ。


私の母方の実家は祖父さんを筆頭に家族で鉄工所を営んでいて、叔父さん兄弟がいた。

上の叔父さんは若い頃オートバイを乗っていたらしく、工場の片隅に埃を被って放置状態になっていた。

もう錆びだらけで一目見ても走らないのが判るくらいの代物だった。

ところがあるとき、その大型バイクをバラバラにして部品を一からきれいに磨き始めた。

エンジンも全てばらしてだ。

そのオートバイは古い物で、KAWASAKI 650W1と言って当時はもう生産されていないと聞かされた。

叔父さんはそのオートバイに関する書籍を集めて、再び走るように組み直すらしい。

工場で仕事が終わってから、毎日少しづつ作業をしていた。

部品が無ければ自分で作ればいい、と言って工場で作ったりもしていた。

私も母方の実家に行くと工場に入り、子供ながら傍に付いて見ていた。

そんな影響もあってか、私は大学で上京し19歳でバイクの免許を取り、YAMAHA SR400を購入した。

何故そのオートバイにしたかというと、それも高校生の時にサーフィンをしていた先輩が乗っているのを見て、乗るんだったらこれにしようとずっと決めていたからだ。


夏休みになって里帰りをした。

すると叔父さんのW1はピカピカのノーマル車に見事に生まれ変わっていた。

もちろんエンジンも動くし、何よりマフラーからいい音がする。

私のSRは改造しまくりで、自分が出来るところはやったがエンジンなど細かい所はショップにやってもらったからな。

叔父さんは、バイク屋みたいに専門でもないのにすごい!と思い知らされた。

その後、近所を一緒に走ってくれた。

途中、バイクから降り二人で煙草を一服してる時に昔話をしてくれた。


「若い頃、よく富士山の麓の山道をバイクで走っていたらパトカーに追いかけられたんだ。

こっちはバイクだし振り切ってやる! と意気込んで走っても一向に逃げ切れないんだよ。

もう観念してバイクを止め、謝ったのさ。

っで、何故振り切れなかったか不思議に思って、お巡りさんにパトカーのエンジンルームを見せてくれって頼んだんだ。

ボンネットが開いた途端に解った。




そのパトカー・・・・・・エンジン、V8積んでたんだ!」


その話を聞いてからは、パトカーから逃げるのは絶対に止めようと誓った。


昔のお巡りさんまで、カッコ良すぎる。



東京という都会に来て初めてBarデビューした頃も、周りにはカッコイイ大人達ばかりだった。

見た目がカッコイイという事では無く、皆それぞれ自分というものを持っていて、年齢など関係なく対等に渡り合っている姿を見て憧れたものだ。

自分も早く仲間に入れて欲しくて、通い詰めて顔を憶えてもらう事から始まる訳だが・・・

いかんせん、まだガキだから話に付いて行ける筈も無くあえなく撃沈。

それでも挫けず、大人達に混じって話が出来た時はすごく嬉しかった。

あの当時は周りの大人達にいろいろ教わったように思う。



今、自分がその当時の大人達の年齢に達し、果たして如何なのだろう?



以前の話になるが、私と20年近く付き合いがある友人は渋谷で何件もCaféを持つオーナー兼、実業家で、ある時その各店の店長達を引き連れ私の所に訪れた。

見るからに無礼講の息抜きの様子と判った。

まあ、他に迷惑がかかる客もいなかったことから騒ぎは大目に見ていた。

ところが一人、限度を越し酔っ払い始める。

友人は彼に何も言わずにいた。

彼はいろいろ溜まっていたものが有ったらしく、社長である友人は部下のストレスを吐き出させようと考えていた訳だ。

ここの場所は、私がルールだから友人は私に任せていたのだ。

その後、決定的な出来事が起きた。

私は限界を超え、

「申し訳ないが帰ってくれ!」

と宣告した。

帰り際に本人以外の全員が詫びを入れてくれたが、

「君達が謝る必要はないですよ。懲りずにまた来てくださいね。」

と見送った。

すると友人は、

「20年来の友人に、お願いだからもう帰ってくれ!って言われちゃったよぉ~

こんなこと言われたの、初めてだぞぉ~」

と、可哀想に部下の店長達を、煽る!煽る!


翌日、張本人が手土産を持って謝罪に来た。

案の定、昨晩のことは何一つ憶えていないらしい。


「君に言っておきたいことがあるから、よく聞くように。

まず、そんな手土産みたいな物は要らないよ。

本当に詫びたいのだったら、次は迷惑かけない様に飲みに来なさい。

私も酔っぱらって醜態を晒すこともあるが、知り合いや社長の友人の所でなど絶対にやらんよ。

君は店長で会社の看板を背負っているんだから、社長の顔に泥を塗るようなことはするな。

もしも、昨晩君がここでしたような客が自分の店にいたら、店長として君はどうする?

常にそういう事を頭に入れておきなさい。」


と、きつくお説教をして返した。



彼の今後の成長が楽しみだ。



先日も自分達が若かりし頃に仕事で取引があった仲間達と久しぶりに会った。

当時、その仲間達は皆ペイペイの営業マンで私の勤務先に事ある毎に営業に来ていた。

「興味も無い商品に門前払いをよくしたもんだが、呆れ返る位のしつこさにほだされて取引を許したんだっけ?」

と、仲間達と笑いながら思い出話に花が咲いた。

その仲間達も、もう部長クラスになっているという。

自分達はもう営業など一切しないし、部下の育成が仕事と言っていた。

それなのに、昔からの癖なのか洒落なのか、

「ちょっとー、Pさ~ん! これ、うちの商品に替えてよ!」

と、営業かけてきやがった。

「そりゃぁ、昔からの付き合いだから替えてやってもいいが、それを部長のお前がやったら部下の営業の仕事を取ってしまうことになるだろうが。

そういや、お前んとこの営業、来てねーぞ!

お前んとこの営業の奴のお手並み拝見させてもらうわ。

それから決める!」

と、逆に脅してやった。

真顔になって、

「えっ! 来てないの? 失礼しました。早速、来させます。」


営業って商品を売るのではなく、自分という人間を売ることが本質だと私は思うのだが。



自分は昔から何を受け継いでいるんだろう?


この先は何を伝えていくのだろう?



兼ねてより上の世代から見たり教わったりした様々なことで、大事な物がやっと解りかけてきた気がする。


今度は次に育つ世代に様々なことを伝えていくのが私達の役目なのだろう。