消えた親父 | めざすぞ!四感王 〜視力は失っても残った四感をフル稼働、前向きな人生をめざす〜

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全盲の管理人が、ある時は身障者への偏見や誤った認識を指摘、またある時は日々の喜びや小さな気づきなど綴ります。皆さん前向きでいきましょう!!

今週、同居している親父が姿を消した…?


親父はいつも自宅2階奥の自室で就寝し、特に予定がなければ朝8〜9時に起床。私の部屋前の廊下を通り階段を降りてゆく。


日中は1階のリビングにて過ごし、2階に上がることは滅多にない。そして遅くとも22時までには朝同様、私の部屋の前を通り奥に向かう。これを毎日繰り返す。


そんな親父に不可解な行動が見られた。


【月曜日】


午後、病院から戻った私とヘルパーさん。一度二人で私の部屋に入り、ヘルパーさんが記録関係の書類を書いてから部屋を後にした。


しかし彼はすぐに戻り、妙なことを言った。


「あのぉ、俺、さっき帰ってきた時、ちゃんと玄関の鍵閉めたんですけど、なぜか開いてるんですよ。このまま閉めて帰っていいですか?」


どうせ私たちが部屋にいる間に親父が帰ってきて、施錠し忘れただけだろう。だが、ヘルパーさん曰く、1階には誰もいないらしい。多分、トイレにでも入っているのでは?とりあえずいつも通り施錠して帰ってもらった。


19時30分、私の部屋前の廊下を通る足音。そのまま奥に消えてゆく。今夜はやたら早いな?面白いテレビ番組がなかった?それとも明日はゴルフか?


【火曜日】


朝9時頃、親父起床。階下へ。


夜、私は就寝する際、まだ親父の足音を聞いていないことに気づいた。あれ?今夜は遅いな?何か面白いテレビ番組でもあったっけ?大谷の試合中継は明日だよな?


その後、日付が変わっても2階に上がってくる気配はない。もしかしてリビングで眠ってしまった?確かめに行きたいけど、しばらくフランクに会話してないし、逆ギレされたら面倒だからまあいいや(苦笑)


1時過ぎ。階下で引き戸を開ける音がする。浴室?クローゼット?和室?ああ、今日はお彼岸か。もしかして、仏壇の飾り付けをしている?いや、まさかこんな時間にはやらないよな?…和室にはお袋が生前療養に使っていたベッドがあったな。まさか和室で寝てる?いやいや、これまでそんなことは一度たりともしたことはないぞ。もしかして…泥棒?!


【水曜日】


朝。今朝も足音はない。


しかし、いつの間にか生活音は聞こえる。いるのか?そのうち犬を散歩に連れてゆくのか、喜び走り回る犬の足音と鍵を施錠する音が聞こえた。


昼前になり、ヘルパーさんが来た。私は彼女に尋ねた。


「下に誰かいる?」


すると彼女はこう言った。


「さっき、弟さんがワンちゃんのお散歩から帰ってきたみたいですよ」


弟が来てる?確かに今日は祝日だ。この時間に弟がいても不思議ではない。だが、いつもその後に聞こえてくるはずの親父と弟の会話が聞こえない。どうやら弟はすでに帰宅したようだ。やはり何かがおかしい…?


私はさらに彼女に、親父がいるか?尋ねた。答えは「No」。にもかかわらず、車はあるらしい。それどころか、外出時には必ず玄関に揃えて脱ぐはずのスリッパもないという。


1階と2階を何度か行き来しているうちに、ヘルパーさんがこんなことを言った。


「さっき、和室からラジオの音が聞こえたんですよ。お父さん、もしかしたら和室にいるんじゃないですか?」


…多分、そうだろうな。でも、何のためにそんなことしているんだ?不気味だ、不気味すぎる!!


午後になり、突然私のスマホに着信音が響いた。画面には未登録の番号が表示されている。私は恐る恐る電話に出た。


私「…はい」


?「もしもしー、○○さんの携帯電話でしょうか?」


私「はい」


?「私、××マッサージの△△と申します」


△△さんなら、私と父がお世話になっている訪問マッサージ事業所の所長さんだ。何の用だろう?


△△「先ほどお電話いただきまして…、折り返しお電話いたしました」


私「…えっ?してないです」


すると△△さんは、電話をかけてきた主が親父だったと理解したらしく、一方的に用件を伝えてきた。


△△「あのぉ、お父様がコロナになってしまったということなんですが、Koichiroさんについては問題ございませんので、通常通りマッサージの方は大丈夫ですので…」


…コ、コ、コ、コロ、コロ、コロコロ……コロナぁーーーーー?!


この瞬間、謎が全て解けた。確か日曜日は弟が来ていて、話し声が聞こえた。二人で外食でもしてきた感じだった。


しかし、月曜日に不調を感じ、早々に就寝。翌火曜日に病院を受診したのだろう。そこでコロナになったことを知り、和室での隔離生活を始めたに違いない。


そうなると犬の散歩には行けないので、弟に連絡し、代行してもらった。3歩後、すぐに帰宅したのもこれで辻褄が合う。


しかし…同じ家に住んでるオレが、なんでこんな大事な事実をマッサージ屋のオヤジから聞かされて初めて知らされなきゃならんのじゃーーーーー?! それも隔離生活3日目になって初めてーーーーー!!


一応、この間にもヘルパー、訪問看護師らが何も知らずに和室前を行き来してるんだけどなぁ…。


あれ?でも、来訪者がいない時にはリビングからテレビの音声が聞こえてくるし、犬の相手もしているみたいだ。何度も買い物に出ているようでもある。


極めてハンパな隔離生活だーーーーー!! 笑


気を遣ってくれてはいるのだろうが、まずはオレに知らせろよぉーーーーー!!


いつまで続くのやら…?



©️2024 Koichiro