明治維新がすべての理想を実現した革命であったとは誰も思っていない。

 

西郷の謀略やら会津への仕打ちやら、なにより、薩長の天皇の名を利用した単純な政権奪取クーデターであることはほとんど周知なのでは?と僕なんかは思うが、やはり教科書の記述などでしか学んでいない人には、こういうものが新鮮に映るのだろうか。

 

ということで、予想以上のことは書かれておらず、最後は若干神がかってきたので最終章などは飛ばし読み。

 

ひとつ良かった点は、山岡鉄舟についての詳しい記述があり、それにより、山岡の本を読んでみようという気になったこと。今までスルーしていたので。

 

山岡鉄舟晩年(侍従長時。52歳。死去の前年)の歌。

「食うて寝て はたらきもせぬ ご褒美に 蚊族となりて またも血を吸う」

 

蚊族と華族をかけていて秀逸。人柄が出ている。

 

 

ブログを休んでいたこの約10年で読んだ本は何冊だろう。

1週間一冊として1か月で4冊×12か月×10年=480冊。

それだけ?という感じもするが、まあこれを下回ることはないだろう。

 

復活したばかりなのでUPしたい欲求が高まっており、とりあえず熱が冷めるまで良い本についてあげていきたいと思う。

 

 

齋藤隆夫さん。

この方マジで立派です。

皆さんこの方ご存知ですか?

戦前戦中の政治家で、軍部の専横と政党の腐敗に対し一歩もヒケを取らず批判しまくって

治安指示法に引っかかり案の定議員を除名されてしまうがそれでも自分を曲げずに一切譲歩しない。

ものすごく勇気の要ること。言葉以上に。

 

今の政治家に彼の10分の1でも気概があれば

随分日本は良くなると思う。

 

が、そんなやつはいない、。

たった10分の1でいいのに。

 

正しいことは正しい、と言えるのが民主主義の根幹であり、

軍に対して正しいことを堂々と何回もーーしかもいずれも公式の場でーー言い放った斎藤隆夫という代議士の存在を、

現代人がほぼ知らないというところがそもそも問題なのだ。

教育界は戦争前後のことに関してはすべて蓋をするだけで、その中に少なからず正しい行い・正しい人間がいたことさえ一緒くたに抹殺し続けている。

 

子供たち、孫たちのために憂う。

 

 

 

 

復活第1弾は先日読破した

「鳥居耀蔵」松岡英夫著(1991年)。

 

「蛮社の獄」で有名な鳥居耀蔵。

でも正直、その後の彼の人生などどこにも出てこないし興味もなかった。

どうせ政治体制が変わったタイミングで失脚させられ、腹でも切らされたのだろうと思い込んでいた。

しかし鳥居は生き続けた。水野忠邦の没落と共に失脚し、他藩預けで謹慎させられたが命までは取られなかった。

自噴してそれこそ自ら腹でも切りそうだがそんな発想は鳥居にはない。

幽閉生活実に23年。

蛮社の獄で辣腕を振るった頃と同様に、鳥井は傲岸と言っていいほどの態度で生き続ける。

なぜなら、自分は間違ったことはやっていない、自分の信念に基づいてすべてやったことだ、というわけだ。

ある意味、その意志の強さは英雄に値する。