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立つ鳥、跡を臭わす

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広い広い海の上にポツンと一つ島が浮かんでいた
その島は地図にも載っていない、言わば秘境である

そこで生活する人は千人にも満たず、島の外の人との交流も皆無であった

そのため、
衣類は、その時雑誌で流行っているものをいち早く取り入れ

食事は、周りに合わせてレストランで同じものを頼み

住居は、実家からそう離れていないところで無理して一人暮らし

という独自の文化を築いていた



そして、その島にとある一人の少女がいた
少女には夢があった。その夢とは、いつか島の外に出ることだった

これまでこの島から外に出た者は誰一人いなかった。また、外から島に辿り着いた者も同じく誰一人いなかったのだ


けれども、少女はその夢を誰かに話すことはなかった。話せば皆はきっと笑うに決まっている


しかし、いったいどうやって島を出よう。まずはそれを考えるところから始めなくては

見渡せば辺り一面海。そして空


そこで少女は閃いた。海水をポンプで吸い上げ、島の反対側に流せばいい
そうすれば潮は干いて行き、歩いて行けるはず

早速試したがこの作戦は失敗に終わった
なぜならそう、ポンプの説明書に「海水は吸引しないで下さい」と書いてあったからである
少女は自分の浅はかさに落胆した



他に方法はないものか、じっと考えていると、浜辺で遊んでいる子供たちの姿が目に入った
貝殻で水切りをして遊んでいる


そこで少女は閃いた。あの貝殻のように自分も高速回転をすれば海の上をピョンピョン跳んで行けるではないか
少女の顔から思わず笑みがこぼれた

早速試したがこの作戦は失敗に終わった
なぜならそう、酔うからである
少女は自分の三半規管を恨んだ



そうした日々が過ぎていくうちに少女は15歳の誕生日を迎えた
島の人々は盛大に祝ってくれた。それに対し、少女も笑顔で応えた

けれども少女は嬉しくなどなかった


なぜなら、この島には15歳になるとお見合い結婚をする風習があるのだ
もちろん少女も例外ではなかった


肝心の相手は中年で半裸、髪はボンバーで大きな首飾りをしている
名前を聞くと「アダモステです」と返ってきた


結婚なんていやだ。ましてやこんな訳の分からない人となんて
少女がそう言うと、他の人は「幸せになれるから」「いままでみんなそうしてきた」
と言う


結婚すれば幸せなのか。結婚してない人は幸せではないのか
それは各々の価値観に過ぎないことであろう。それをさも全ての人が同じかのように考え、押し付けて来るのはやめてほしい


少女は自分の生活に幸せを感じていた
借金して購入したポンプの代金の返済が済んでいなくても
三半規管を鍛えるためにぐるぐるバットをして夜な夜な吐いても


それでも少女は幸せを感じていた


ただ一つだけ、島から出てみたい。それだけが少女の願いだった

あとはなにもいらなかった





それから五年後、それまで全く存在が知られていなかった島が一人の女性によって地図に載せられた