『クワイエット・プレイス DAY 1』ネタバレの感想 音や声を出すと怪物が襲って来るのが恐怖 | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 3/5 ☆☆☆★★

 本作は『クワイエット・プレイス』(2018年)、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(2021年)の前日壇で、怪物が地球にやって来た日を描くと言うので期待した。怪物が襲来した1日目は第2作でも少し描かれていたが、怪物がどのようにして軍隊の強力な兵器を打ち破り、地球全体に広がったのか描いてほしかったが、本作では軍隊との戦闘場面は描かれなかったのが残念。

 また、冒頭で「ニューヨークの騒音は平均90デシベル。絶え間ない悲鳴と同じ音量である」と解説があったので、大都会の騒音に怪物が翻弄される話かとも思ったが、その解説も本編とは関係なかった。

 末期癌患者のサミラは、生きる気力がなかったが、事件に遭遇して最後の思い出に、父との記念のピザを食べる事を目標に出かける。さらに途中で出会った青年エリックを助けることに生きがいを感る。

 エリックは気持ちが弱く、最初は心配で何をしたらいいか分からなかったが、サミラと付き合ううちに自らサミラの薬を探しに行き、怪物の恐怖に耐え、だんだん逞しくなっていった。ピザ店が消失して呆然としているサミラを励まして、彼女の父が演奏していた店に行き、他の店のピザではあるがピザを探して持って来てサラミらと一緒にピザを食べ(冷蔵されていない3日前のピザを食べても大丈夫なの?)、トランプ手品を披露して、2人の心が打ち解けて行く様子に感動した。

 最後は2人とも船に救助されればハッピーエンドだろうが、サミラは末期癌で救助されても長生きできないので、サミラが自ら怪物の犠牲になってエリックを生かしたのだろう。この場面も感動した。

 なお、劇場や船で出会ったアンリは、第2作に登場した島の長らしい。するとこの船は、彼が語った「1日目、ニューヨークにいた。怪物が泳げないと知った州兵が、住民を船に乗せた。人々が桟橋に殺到し、12隻の船のうち出発できたのは2艘だけだった」と言っていた船だったのか。

 猫のフロドは怪物が来ても鳴かず、逃げてもご主人のサミラの所に戻って来るとは、何とお利口さんなのだろう。

 ただ、2人がひたすらに怪物から逃げる話で、前2作のアボット一家のように自分から怪物に立ち向かう場面はない。軍隊が怪物と戦う場面もない。最後はエリックだけが助かり、末期癌患者のサミラはこれ以上生き延びても無意味と感じたのか、怪物に自分を襲わせるので、あまりに悲しく爽快感がない。

 前2作より怪物の数が多いので、ビルに逃げ込んだ2人を怪物が大挙して襲ってくる場面は怖い。でも音に反応するので、途中エリックが車の窓を壊して警報音を鳴らして怪物を引き付けたように、怪物に襲われたら逃げずに、物を遠くに投げて怪物の気を引けばいいのでは。

 軍は、怪物が橋を渡って来るのを防ぐために、マンハッタン島に繋がる橋を爆破する。地下鉄の線路も水没していたので、怪物がトンネルを通ってやって来るのを防ぐため、川の下の地下鉄のトンネルも爆破して水没させたようである。救助船を出すとはいえ、市民を見捨てた軍が怖い。

 でも、怪物は泳げず水に溺れて死ぬようなので、船から大音量を出して怪物をおびき出して、川に落として溺死させればいいのでは?

 なお、怪物は人を襲って食うのかと思ったら、工事現場の場面では何かを食っていた。監督によれば死体に茸を繁殖させてそれを食うのだそうだ。そう言えば、怪物は宇宙船に乗ってきた宇宙人かと思っていたが、全然知的でないので、侵略用生物兵器なのだろうか?

 サミラとエリックの行動は感動するが、前2作と比べてあまり怖くなく、最後の爽快感もなく、上記のように突っ込みどころも多く、評価は「3」である。続編があれば、第2作の後の怪物との戦闘場面を描いてほしい。原題は『A QUIET PLACE DAY ONE』で、「静かな場所 初日」の意味。