『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』ネタバレの詳しいあらすじ(改訂) | アンパンマン先生の映画講座

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2023年12月に掲載した『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を見直したので、「ネタバレの詳しいあらすじ」を改訂して掲載する。

監督:古賀豪  2023年

主な登場人物(声優)役柄

【昭和31年】

水木:みずき(木内秀信)帝国血液銀行に勤めるサラリーマンで龍賀製薬担当。

鬼太郎の父(関俊彦)幽霊族。生き別れの妻を探しに哭倉村へ来る。水木から「ゲゲ郎」と呼ばれる。

鬼太郎の母(沢城みゆき)岩子。幽霊族で、ゲゲ郎と生き別れになって以来何年も行方不明。

龍賀時貞:りゅうがときさだ(白鳥哲)龍賀一族の当主。日本の財政界を牛耳っていたが死去する。

龍賀乙米:りゅうがおとめ(沢海陽子)龍賀時貞の長女。龍賀克典の妻。

龍賀克典:りゅうがかつのり(山路和弘)龍賀乙米の婿。龍賀製薬社長。

龍賀沙代:りゅうがさよ(種﨑敦美)龍賀克典と乙米の娘。東京に憧れている。

龍賀時磨:りゅうがときまろ(飛田展男)龍賀時貞の長男。時貞の遺言により、龍賀一族の当主になる。

龍賀孝三:りゅうがこうぞう(中井和哉)龍賀時貞の次男。禁域の島に立ち入って心を失う。

龍賀丙江:ひのえ(皆口裕子)龍賀時貞の次女。駆け落ちしていたが、連れ戻された。

長田庚子:おさだとしこ(釘宮理恵)龍賀時貞の三女。長田幻治の妻で、長田時弥の母。

長田幻治:おさだげんじ(石田彰)長田庚子の夫。村長。

長田時弥:おさだときや(小林由美子)長田幻治と庚子の息子。病弱だが人懐こい性格。

少年(古川登志夫)龍賀家で働く少年。(ネズミ)

【現代】

鬼太郎(沢城みゆき)幽霊族の生き残り。

目玉親父(野沢雅子)鬼太郎の父が死後に鬼太郎を案じて目玉のみとなった姿。

猫娘(庄司宇芽香)猫妖怪。鬼太郎と行動する。

山田(松風雅也)雑誌の記者。廃村となった哭倉村にやってきて、鬼太郎たちにつきまとう。

 

〔現代〕

 雑誌の記者山田は「ついに突き止めたぞ、妖怪少年ゲゲゲの鬼太郎の出生の秘密」と哭倉(なぐら)村にやって来た。鬼太郎と猫娘は「この先は何が起きるかわからない」と、山田に帰るよう説得する。山田は「どうしても聞きたいことが」と付きまとう。湖の島の前で、目玉おやじは「あれから70年。ついにこの時がきたか。あの男も今日はここに来ているかも」と言う。

 山田は「うちの雑誌が次で廃刊。最後にこの記事だけは」と強引に進む。山田は鎧のある廃屋の床を踏み抜き、ベッドが沢山ある地下室に落ちる。小さな弾むボールが「助けて」と言って転げてきて、穴に落ちる。山田は狂骨に会う。

〔昭和31年・東京〕

 帝国血液銀行で課長が電話で、日本の財政界を牛耳っていた龍賀時貞が死んだ事を知る。水木が社長室に来て「時貞の長女の婿で、龍賀製薬社長の龍賀克典が当主になる可能性が高い。龍賀の本家の哭倉村に行って、龍賀克典社長を当主にする」と申し出る。社長は「君に我が社の命運を託す。龍賀製薬と言えば例のあれだ」と言い、水木は「探ってみます」と約束する。

 水木は夜行列車に乗る。列車内には母親と咳込む少女など多数の客が乗っていた。水木は「龍賀製薬は日清日露戦争、太平洋戦争で大きく業績を伸ばした。その原動力となるのはあれ。謎の多い龍賀一族の中側に食い込めれば、俺の社内での立場は有利になる」と考える。

 通路の反対側に座っていた男が「お主、死相が出ているぞ。この先、地獄が待っている。ワシには見える。現にお主の後ろに大勢付いている」と言う。水木の後ろに一瞬黒い人影が多数見える。気づくと男はいなかった。

 水木はタクシーで山道を行く。運転手は「こんな辺ぴな所まで来るとは、物好きだ」と言うが、水木は「同じ事をしていては生き残れない」と応え、戦争中に玉砕した時を思い出す。

 水木は哭倉トンネルの前でタクシーを降り、歩いてトンネルを抜けると、哭倉村があった。道で鼻緒が切れた龍賀克典の娘の沙代を見つけ、水木が「東京から来た龍賀製薬の取引先の者です」と名乗り、ハンカチを割いて修理する。

 時弥が来て「よそ者が村に来たと、皆が言っていた」と話す。時弥が水木に東京の事を聞きたがり、水木は東京の話を後ですると約束する。

 水木は沙代に道を聞き、龍賀の屋敷に向かう。水木が門を通ると、いつの間にか使用人に囲まれ、水木は「仕事で龍賀克典様へ」と話す。克典が現れ「ここまでくるのは大変だったろう」と慰労し、水木は「克典様が当主になる場に立ち合いたくて」と話す。

 克典は水木に、今夜は離れに泊まるように言う。今夜は「お籠もり」と言い、葬式の前夜は各自部屋から出ないしきたりだった。

 沢山の龍賀一族が奥の間に並んでいた。克典が水木を「私の立会人だ」と紹介する。龍賀時貞の長女龍賀乙米、婿の龍賀克典、娘の沙代。次女龍賀丙江は駆け落ちしたが連れ戻された。

三女の長田庚子と夫で村長の長田幻治、息子の時弥がいた。

長男の龍賀時磨も来て、水木は「健在だったのか」と驚く。

 弁護士が時貞の遺言状を読むと「龍賀家の後を継ぐ当主は長男の龍賀時磨。長田時弥を養子にし、次期当主とする。龍賀製薬会社の社長は龍賀克典のままだが、会長を長女乙米とし最終決定権を持つ。以上」だった。

 長田庚子は時弥が次期当主になるので喜ぶ。克典は「会社の発展のために尽くしてきたのに」と怒り、丙江は「私の取り分は?」と焦り、分家も「取り分はないのか?遺言状を見せろ」と大騒ぎになる。沙代は水木に「助けてください」と頼み、水木は「社長の味方です」と答える。

時磨は時貞の遺影に「父様、寂しゅうございます」と泣く。すると地鳴りがして建物が揺れる。時麿は「一族の者は、お籠もりを始めるように」と呼びかける。乙米は時麿に「あなたに務まるのでしょうね」と確認する。

 水木は驚く。屋敷で働く少年(以下「ネズミ少年」)が水木を離れに案内する。部屋で水木は「このままでは東京に帰れない。あれから10年。拾った命を無駄にできない」と、戦争中に突撃した事を思い出す。爆弾が近くに落ちて沢山の人が死に、水木も胸に怪我を負った。

 水木が悪夢にうなされて起きる。すると、時麿の悲鳴が聞こえる。女中が「当主様がお籠もりの屋代の中で」と人を呼びに来る。屋敷の者達が屋代に行くと、時麿が左目に錫杖が刺さって死んでいた。

 使用人が「怪しいよそ者を捕まえた」と、列車で水木に警告した男を連れてくる。男を見たネズミ少年は「ゲゲっ」と叫ぶ。長田幻治村長が「村に災いを持ち込んだ咎を祓う」と言って殺すように言う。使用人が斧を振り上げると、水木が「その男が犯人と決まったわけじゃない」と言って止める。克典が使用人にやめさせる。

 水木が警察を呼ぶように言うと、乙米は「警察は来ません。崖崩れで、麓との連絡が途切れた。昨日の龍哭(地震)のせいだ」と教える。怪しい男は座敷牢に閉じ込められ、水木が監視役にさせられる。男が名乗らないので、水木は「ゲゲ郎」と呼ぶ。

 幻治が廊下の突き当りにある鎧の鼻を押すと、隠し扉が開き、乙米が「やはり、私には」と倒れる。長田が乙米に「あの2人を始末します」と言う。幻治が「穴倉が騒がしくなっている。持って3日ほど」と報告する。乙米は長田庚子に「3日以内に時弥を連れてくるように」と命じる。

 水木とゲゲ郎が夕食を食べていると、時弥が来る。水木は東京に世界一高い電波塔ができると教える。時弥はせき込み、最近ひどいと教える。水木は「時弥が大人になる頃には、どんな病気だって治せる」と話す。時弥は帰る。

 水木は「何をしに来た」と聞くと、ゲゲ郎は「生き別れになった妻を探しに来た。仲間がこの辺りで気配を感じた」と言って妻の写真を見せる。水木は「明日、出すように克典に話す」と約束する。水木は布団を敷いて寝る。

 早朝、水木は村人が死人を襲う夢を見て目覚めると、自分が座敷牢の中にいて、ゲゲ郎がいなかった。バレる前に捕まえるため、水木は屋敷を抜け出して下駄の跡を辿る。ゲゲ郎は川辺の露天風呂に入っていて、河童と話していたが、水木が近づくと相手はいなかった。水木は、ゲゲ郎を解放するように克典に言いに行くので、隠れているようにゲゲ郎に頼む。

 水木が屋敷に戻ると、蔵の2階の窓に人影が見える。沙代が水木に「叔父の龍賀孝三です。叔父は10年前に、この村に伝わるある禁を犯して、心を無くした。あの島は立入禁止の禁域とされている」と、湖の島を指さす。沙代は、水木と東京に行きたいと言う。

 車で克典が来て、水木に「もう仲良くなっていたのか?事と次第で、沙代をくれてやる」と言う。克典は水木に「ゲゲ郎を任せる。時麿殺しは身内の犯行だと思っている。長田家が時弥の当主就任を早めて龍賀を乗っ取るつもりだ。私に力を貸してくれ」と頼み、「M」の小瓶を出す。「龍賀の富の源泉でもある血液製剤Mの原液はこの村で作られているらしい。よそ者の私には秘密にされている。このままでは会社が私の手から奪われる。Mの秘密を手に入れなくては。君の覚悟を見せてくれ」と頼む。水木は了解する。

 ゲゲ郎は小舟を漕いで島に向かっていた。水木が小船で追おうとするが、上手く漕げない。ネズミ少年が小舟を漕いで水木を島に連れて行く。

 島に付いた水木は頭痛に襲われる。森を進むと、島の真ん中に鳥居があり、巨大な深い穴倉があった。

 水木は頭痛が酷くなり、倒れる。周りにはたくさんの妖怪たちがうごめき、水木を襲う。ゲゲ郎が組紐と下駄を飛ばして水木を助け、担いで離れ島から脱出する。ネズミ少年の小舟に飛び乗ると、小舟は猛スピードで船着き場に戻る。河童が小舟を進めていた。

 龍賀一族の次女・丙江の死体が、木の梢に串刺しになって見つかり、左目がカラスに喰われていた。ゲゲ郎は「人間の仕業とは思えない」と言う。水木が何の仕業か聞くと、「あの島にいたのは妖怪。わしら幽霊族も妖怪のようなもの」と答える。

 水木が「お前、人間ではないのか?」と驚くと、ゲゲ郎は「幽霊族は人間より前からいた。人間達に追われて次第に数を減らして、妻と私の2人だけになった」と話す。水木が「妖怪がまさかいたとは」と言うと、ゲゲ郎は「目で見ようとするから見えない」と答える。

 水木はゲゲ郎に「日清日露戦争で日本が勝てたのは、凄まじい力を持ち何日も飲まず食わず眠らずで戦い続ける事ができる、不死身の部隊のお陰であり、それはMと言う薬のせいだと言う。社長がMを見せ『不死身ではないが効果は絶大。わが社でも量産したい。企業の戦士用に』と言う。Mのため日本が奇跡の復興を遂げつつある。俺と手を組まないか。村人は何か隠している。暴いてやろう」と持ち掛ける。ゲゲ郎は了承する。

 水木はあの島にもう一度上陸したいと言う。ゲゲ郎は「問題は穴倉。古い結界が封をしていたが、漏れ出た怨念で、妖怪がおかしくなった。怨念の正体は妖怪・狂骨。結界がある以上、依代でもいない限り、あの島から出られないはずだ」と教える。

 水木が沙代に穴倉について尋ねると「約束をしたら、私が知る事を教えます。私を東京に連れて行って下さい」と頼む。水木が断ると、沙代は「できるかどうかではなく、私と一緒に居たいと思っているか、それだけが問題なのです」と聞く。水木は「私が外の世界にお連れします」と約束する。沙代は「私は幸せ者です」と水木に抱き着く。

 沙代は「屋敷の地下に、島に続く鍾乳洞があります」と教えるが、場所は知らなかった。水木は孝三から話を聞けないか頼む。

 乙米は「このままでは皆殺されてしまう。あと1日しかない。時哉を…」と焦る。庚子は「時哉は私の物です」と返答する。

 墓場で水木がタバコをふかしていると、ゲゲ郎がカラス天狗の酒を持って来て2人で飲む。ゲゲ郎は「嬢ちゃんは本気だぞ。どうする?」と聞く。水木は「どうもしない。夢見がちな少女の一時の気の迷いだ」と言う。ゲゲ郎は「人の気持ちを持て遊ぶな。誰かを愛しいと思ったことはないのか」と聞く。

 水木は「南方で見た。ただ自分の都合やメンツのためだけに、理不尽に部下を打ち据える上官達に、意味のない戦いに駆り立てられて何人もの仲間が死んでいくのを。戦争が終わって内地に帰ると、母は親戚に騙されて全財産を失っていた。町には餓死者や戦災孤児で溢れる一方、戦争を指導した連中は隠匿物資を横領して贅沢三昧だ。弱い者はいつも食い物にされてバカを見る。だから俺は力が欲しい」と話す。

 つるべ火が来て、水木とゲゲ郎を照らす。

 ゲゲ郎は「ずっと人間が大嫌いだった。妻は人間を愛していた。妻は愛に溢れた女だった。愛して信じ、常に彼らと共にあろうとした。お主にも自分より大事な物が現れる」と話す。水木は「奥さん、見つかると言いな」と言う。

 

 翌朝、水木にネズミ少年が沙代の伝言を話す。水木とゲゲ郎は屋敷の屋上で、車イスに乗った龍賀孝三と会う。孝三のスケッチブックにゲゲ郎の妻の絵があり、ゲゲ郎がどこで会ったか問い詰めると、孝三は夢で見たと言う。長田幻治は「その絵の女性は、孝三の記憶にない思い人。あの穴倉に囚われたその女性に懸想した孝三は一族を裏切り、彼女を解放しようとしたが、失敗した。龍賀に仕える裏鬼道の術に襲われて。孝三は記憶を破壊されて記憶を失った」と教える。

 ゲゲ郎は「我ら幽霊族を狩ってきた外道ども」と言う。すると、水木とゲゲ郎は、幻治率いる陰陽師の外道・裏鬼道の使い手達に囲まれていた。ゲゲ郎は裏鬼道達と戦い、なぎ倒す。幻治は髑髏からこの地に宿る怨念が強大になった妖怪・狂骨を解放する。ゲゲ郎は組み紐や下駄を飛ばして戦うが効果がなく、狂骨に呑み込まれ、倒される。

 幻治に捕まったゲゲ郎は乙米に会い「妻を自由にしてくれ」と頼む。乙米は「幽霊族の血に価値を見出して、龍賀一族が居場所を与えた」と言い、ゲゲ郎は「M」の材料は妻の血だと知る。裏鬼道がゲゲ郎を殴し、水木が止める。裏鬼道が刀を水木に向け、乙米は「東京に帰りたかったら、ここで見た事を全て忘れなさい。」と言う。水木は了承する。

 水木は、戦場で部下に玉砕を命じた参謀が「お前たちは大義のために死ねるのだ。本望だと思え」と言った事を思い出す。

 沙代は時磨の部屋で日記を発見し、水木に渡すようにネズミ少年に頼む。沙代を見つけた庚子が「時弥が当主になったら、この家は私たちのもの。勝手は許せない」と止める。島が地鳴りする。

 乙米は幻治に「もう時間がない。幽霊族の男は工場へ。時弥の当主継承の儀の準備を進めるように」と指示する。そして「沙代は時弥と娶(めあわ)せ、次の当主を産ませる。あの子がちゃんとお父様の子を身ごもっていれば、力の強い後継ぎが生まれていた」と残念がる。水木が何の事か聞くと、乙米は「龍賀の女の沙代は、優れた霊力を持つ子孫を生むために、当主に身を捧げる勤めがある」と教える。それを聞いた水木は嘔吐し「だから俺なんかに」と気づき、「あんたたちは人間じゃない」と叫ぶ。

 幻治が水木を殴り、土蔵に閉じ込める。ネズミ少年が水木に、沙代からの時磨の日記を届ける。外の街灯の下で水木は日記を読み「この日記を持って帰れば、俺の任務は終了だ」と、全て頭に入れた水木は、日記を破り捨てる。

 沙代がやって来て、庚子も首を切られて死んだと水木に知らせる。沙代は「早く逃げましょう。この村は呪われています」と言う。水木は沙代を連れて東京へ逃げる決心をする。2人はトンネルを通る。

 ゲゲ郎はベッドに乗せられ、屋敷の地下にある血液製剤Mの生産工場に連れて来られる。ベッドには沢山の生ける死人(しにびと)が拘束されていた。乙米は「幽霊族の血を人間に注射すると、生きたまま屍になる。死人から取った血を精製してMを作る。村人は死人にする人間をさらって来て、世話をするのが役目」と教える。

 乙米はゲゲ郎の腕を切り落とすように命じる。裏鬼道が振り上げた斧を、水木が銃で撃って吹き飛ばす。水木は沙代を人質にした振りをして「その男を放せ」と要求する。水木はトンネルまで行ったが、思い直してゲゲ郎を助けるために引き返し、沙代も付いてきたのだ。

 乙米は芝居だと見破り、沙代に「その男は、お前がお父様のお気に入りだった事を知っている。お前はこの里でしか生きられない」と言う。紗代は絶望する。水木は「そうさせたのはお前たちだろう。だから沙代は妖怪に憑りつかれた。そのため何人もの人を殺した」と言う。水木は「ゲゲ郎とつきあううち、見えないはずのものが見えるようになった」と話す。

 沙代は「時麿は当主になった途端、時貞と同じ事をしようとした。丙江は水木におじい様の事を黙っていてほしければと、脅してきた。庚子まで、私を邪魔しようとした。私は一族の道具じゃない」と訴える。水木は「僕も同罪だ。龍賀一族に近づくために君を利用しようとした。償う。だから東京に行こう」と言う。沙代は「あなたならって信じていたのに」と言う。

 乙米は「しっかりしなさい、紗代。お前は栄えある龍賀の…」と言うと、沙代は「仕方がありません。全て終わらせましょう。この村も、龍賀も、私も」と言う。

 沙代は巨大な狂骨を出現させ、幻治が封印の髑髏を割る。紗代は生ける死人たちを解放して、裏鬼道と世話係の村人達を食い殺させる。工場が破壊され、乙米の左目にパイプが刺さって死ぬ。紗代は水木の首を絞める。幻治が槍で沙代を刺して死ぬ。刺された紗代は、体が燃えて死ぬ。水木は「紗代さん。すまない」と泣く。

 水木は斧を持ってゲゲ郎と先に進み、沢山の鳥居が並ぶ地下トンネルを通る。水木は斧で扉の錠前を壊して中に入ると、島の中央部の巨大な穴倉の底に出る。池の中に桜の大木があった。

 屋代には時貞のミイラがあった。時弥が「ここは人間には危険な所だ」と水木に警告する。しかし、時弥の顔が時貞に変わる。ゲゲ郎は「時弥の魂を追い出して体を奪ったな」と言う。時貞は「この国は余が教え、導いていかねばならぬ。そこで密かに魂移しの外法を使って蘇ることにした。時弥はその器とするために作った子だ」と言う。

 水木とゲゲ郎の周りには無数の狂骨がいた。時貞は「こやつらは、幽霊族の怨念から生まれた狂骨だ。この穴倉の結界の正体は呪詛返しだ。幽霊族の怨念を集めて幽霊族に返す」と教える。ゲゲ郎は「我が妻はどこだ」と聞くと、時貞は「妖樹血桜の花の紅はお前の女房の血だ」と教える。

 水中の根の中には幽霊族の亡骸があり、ゲゲ郎は妻を探す。水木が桜の木の根を斧で切ると、血が噴き出す。時貞は「血桜はその霊力で捕えた者をできるだけ永らえさせ、血を吸い続ける事ができる。その怨念は強い狂骨を生む」と教える。

 時貞は、ゲゲ郎の妻を水面に出す。ゲゲ郎は、痩せ細って目にたんこぶができた変わり果てた妻を、根から解放する。ゲゲ郎は「随分長い間、一人にさせてすまない」と妻を抱き締める。妻は「一人じゃなかった」と、妊娠している事を教える。

 時貞は巨大な狂骨を解放し、ゲゲ郎を攻撃する。ゲゲ郎は髪の毛で立ち向かうが、狂骨の巨大な爪で腹を貫かれ、桜の木に貼り付けにされる。時貞は「諦めろ。親子3人、余に飼われるがよい。その方が人の役に立つ」と言う。ゲゲ郎は「わしは諦めが悪い。相棒も」と答える。

 水木が斧を持って時貞の所に来る。時貞は水木に「余を倒せば、狂骨がお前たちを殺して、外に飛び出るぞ。余の配下になれば、会社を2つ3つ持たせよう。贅沢をさせよう」と誘う。水木は「あんた、つまんねえな」と斧を振り上げ、時貞が持っていた狂骨を支配する髑髏を破壊する。時貞は「これを壊したら狂骨が暴れて、国ごと滅ぼすぞ」と言うが、水木は「つけは払わなきゃ」と言う。

 狂骨は時貞の支配から解放され、時貞を飲み込む。ゲゲ郎は「貴様は死ぬことはできない。その苦しみは永遠に続く」と言う。時貞は小さなボール(冒頭に登場したボール)になる。

 ゲゲ郎は束縛を解き、妻の所に行く。狂骨が突進してくる。ゲゲ郎の妻のお腹から、赤ん坊の泣き声が聞こえる。ゲゲ郎の組み紐と幽霊族の祖先達の髪の毛が集まって巨大な球になり、狂骨を飲み込む。巨大な球は、ゲゲ郎のチャンチャンコになる。

 桜の木が倒れ、結界が破れ、沢山の狂骨が村へ向かう。孝三、克典も狂骨に殺される。

 ゲゲ郎はチャンチャンコを水木に着せ「これを着ていれば狂骨にやられても心を失うことはない。我が妻と子を頼む」と頼む。そして「怨念を引き受けよう。我が子が生まれる世界だ。わしがやらねばならない」と言う。水木は「約束しろ。絶対に生きて戻って来ると」と言って、ゲゲ郎の妻を連れて穴倉を脱出する。

 ゲゲ郎は怨霊が日本全土に散らばるのを防ぐため、自ら依代になり、島の結界の棒を引き抜く。怨霊がほとばしり、ゲゲ郎は「ワシで抑え込むのは無理か。我が子よ」と言って、肉体が朽ち果てていく。

 〔現在〕

 山田が狂骨に追われて逃げる。鬼太郎が、最後の1体の狂骨をチャンチャンコで攻撃し、とどめを刺そうとすると、目玉親父が止める。目玉親父が「ワシはお主を救えなかった。すまなかった、トキちゃん」と謝る。時弥の狂骨は「忘れないで」と言うと、魂が成仏する。

 山田が鬼太郎に「なぜ君は人間を助けてくれるんだ?その理由がこの村での出来事だと言うのなら、僕が書き残し、必ず語り伝えます」と言う。目玉親父は「長い物語になるぞ。ワシとあの男がいかに出会い、そしてこの村で起こった全ての事を」と語り始める。

 〔昭和31年〕

 山で倒れていた水木が消防団に発見される。ゲゲ郎の妻はいなかった。水木は哭倉村での記憶を失い、何も覚えていなかった。水木は「思い出せないのに、何でこんなに悲しいんだ」と泣く。

(エンドクレジット)

 その後、水木はボロボロの家屋でミイラ男(ゲゲ郎)と幽霊女(ゲゲ郎の妻)を見つけ、慌てて逃げる。しばらくして家屋に戻ってみると、ミイラ男は腐り、幽霊女も死んでいた。

 水木は幽霊女を埋葬し、墓を作る。ミイラ男の左目が出てくる。水木が去ろうとすると、墓の中から産声が聞こえ、赤ん坊の鬼太郎が出てくる。鬼太郎は左目がなかった。水木は「化け物の子を生かしておいたらどんな災いが起こるか分からない」と思い、鬼太郎を墓石にたたきつけて殺そうとする。しかしゲゲ郎を思い出し、思いとどまる。ミイラ男の左目が目玉親父となって、鬼太郎と水木を見守っていた。

 (タイトル『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』)

(写真は「映画com」より)