『オッペンハイマー』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

監督:クリストファー・ノーラン 2023年

主な登場人物(俳優)役柄

【オッペンハイマーの家族・交友関係】

J・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)アメリカの理論物理学者。

キャサリン・オッペンハイマー(エミリー・ブラント)キティ。ロバートの妻。生物学者で植物学者。

ジーン・タトロック(フローレンス・ピュー)精神科医で共産党員。ロバートと恋仲になる。

フランク・オッペンハイマー(ディラン・アーノルド)ロバートの弟で物理学者。

【軍関係】

レズリー・グローヴス(マット・デイモン)アメリカ陸軍工兵隊の大佐。「マンハッタン計画」を指揮。

ケネス・ニコルス(デイン・デハーン)グローヴスの部下で、米陸軍技官。

【アメリカ原子力委員会】

ルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)アメリカ原子力委員会の委員長。

ウィリアム・ボーデン(デヴィッド・ダストマルチャン)アメリカ原子力委員会事務局長。告発者。

ロージャー・ロブ(ジェイソン・クラーク)聴聞会でのアメリカ原子力委員会の検察官。

【マンハッタン計画の科学者】

アーネスト・ローレンス(ジョシュ・ハートネット)バークレー校の物理学教授。

イジドール・ラビ(デヴィッド・クラムホルツ)物理学者。

ジョヴァンニ・ロッシ・ロマニッツ(ジョシュ・ザッカーマン)ロバートの最初の受講生。

エドワード・テラー(ベニー・サフディ)物理学者。水爆の開発を提唱。

クラウス・フックス(クリストファー・デナム)物理学者。ソ連のスパイ。

エンリコ・フェルミ(ダニー・デフェラーリ)シカゴでの参加者。原子炉を開発。

デヴィッド・L・ヒル(ラミ・マレック)フェルミの助手。シカゴでの参加者。

【その他の科学者】

アルベルト・アインシュタイン(トム・コンティ)相対性理論で有名な天才物理学者。

ニールス・ボーア(ケネス・ブラナー)デンマーク出身の理論物理学者。

ヴェルナー・ハイゼンベルク(マティアス・シュヴァイクホファー)ドイツの原子爆弾開発の中心人物。

 

 1.核分裂(カラー)1954年。国家反逆の疑いを掛けられたオッペンハイマーは、聴聞会が行われる。

 2.核分裂(白黒)1959年。ストローズの米国商務長官の任命の公聴会で、当時の米国原子力委員会長官としてオッペンハイマーとどう関与していたか質問され、5年前の事を今更聞くのかと不快に思う。

(カラー)聴聞会で質問者「アメリカから離れたのは?」。オッペンハイマー「新しい物理学をケンブリッジ大学で学びたかった」

 実験に失敗したオッペンハイマーに指導教官ブラケットは居残りするように言い、他の学生はボーアの講義に行く。怒ったオッペンハイマーは、教卓のリンゴに青酸カリを注射し、ボーアの講義に行く。翌朝、急いで実験室に行くと、ボーアがオッペンハイマーに「ドイツのボルンの下で学べ」と言い、机上のリンゴを食べようとする。オッペンハイマーは、リンゴを取って捨てる。

 ボルンの授業に出る。

 (白黒)公聴会で議員「オッペンハイマーとの出会いは1947年?」。ストローズ「その通 り」。

 ストローズはプリンストン高等研究所の所長にオッペンハイマーを迎える。庭の池にいたアインシュタインにオッペンハイマーが話しかける。ストローズが来ると、アインシュタインは彼を無視して去る。

公聴会で議員「あなたが任命する前に、彼らと関係はなかった?」。ストローズ「私は彼がアインシュタインに何を言ったか気になった」。

(カラー)聴聞会で質問者「あなたは他国の物理学者と幅広く会った。ロシアも」。オッペンハイマー「ゲッティンゲン大学の後、オランダのライデン大学に移った」

オッペンハイマーのオランダ語の講義をラビが聞く。スイス行の列車の中でラビがオッペンハイマーに「ドイツのハイゼンベルグに会うべきだ」と言う。

 講義の後、ハイゼンベルグは共同研究を誘うが、オッペンハイマーは「アメリカに帰る」と断る。

 聴聞会の質問者「その後、ハイゼンベルグとは?」。「会っていない」。

オッペンハイマーは、カリフォルニア工科大学とカリフォルニア大学バークレー校に就職した。オッペンハイマーは「放射線研究室」で電子加速器を作っていたローレンスに会う。

 オッペンハイマーの生徒はロマニッツ1人だけだったが、次第に増えて行った。オッペンハイマーは、恒星は宇宙でどのように燃えているか講義する。

 (白黒)公聴会で議員「戦前、なぜ彼らはオッペンハイマーに関するファイルを始めた?」。ストローズ「私の憶測では、彼の左翼的な政治活動と関係があった」。

 (カラー)オッペンハイマーは教室で左翼活動をして、ローレンスは「学外でやれ」と忠告する。

オッペンハイマーは共産党の集会に行く。弟のフランクが恋人のジャッキーを連れてくる。オッペンハイマーはジーンに惹かれ、ベッドを共にする。

オッペンハイマー、フランク、ローレンツは馬で砂漠に行く。その夜、テントでフランクは、ジャッキーと結婚すると報告する。オッペンハイマーはロスアラモスに行くと教える

 オッペンハイマーが大学に行くと「ドイツのハーンとシュトラスマンがウラン原子核を分裂させた」の新聞記事があり「不可能だ」と驚く。追実験をすると、ウランに中性子を衝突させて核分裂したときに生じた中性子がさらに核分裂を起こさせる、連鎖反応が起きていた。つまり、核爆弾が製造可能だった。

 オッペンハイマーは大学内で教授などの組合F-A-E-C-T」を作る。

 オッペンハイマーが教室に行くと「ブラックホールに関する論文が載った」と生徒が喜ぶ。しかし「ドイツがポーランドに進攻」の新聞記事が出る。

 聴聞会でオッペンハイマーは「私は共産主義者が提唱する政策に共感を失った」と話す。

 オッペンハイマーはパーティで生物学者のキャサリンに魅かれ「ニューメキシコに君も来ないか」と誘う。

 オッペンハイマーとキャサリンは馬で荒野を走る。キャサリンは前の夫と結婚した理由を話す。オッペンハイマーはキャサリンにキスする。

 オッペンハイマーはジーンと別れる。

 オッペンハイマーは教室で「F-A-E-C-T」の集会をしていると、ローレンスが解散させ「国家プロジェクトに参加できなくなる」と注意する。オッペンハイマーは、活動を辞めると約束する。

 (白黒)公聴会で議員「なぜ彼の共産主義は戦時中、安全保障のリスクとみなされなかったのか?」。ストローズ「戦後、オッペンハイマー博士は世界で最も尊敬される科学者だったので、研究所所長を依頼した」。

控室に戻ったストローズは「彼らは何で私を非難するのか?」と不満で、上院補佐官に「反共産主義者のボーデンがFBIに手紙を書き、オッペンハイマーが起訴された」と教える。

 アイソトープのノルウェー輸出で公聴会の議員が「アイソトープは、核兵器の製造で敵に役立つ可能性がある」と質問。オッペンハイマー「核兵器を作るのにビール瓶も使う。アイソトープはサンドイッチよりは有用だ」。

 夜、オッペンハイマーが帰宅すると、キティはアルコール中毒で育児放棄していた。オッペンハイマーは友人のシェバリエ夫妻に赤ん坊の世話を頼む。

 オッペンハイマーとキティは馬で荒野に行く。キティはオッペンハイマーに「全てが変わった。あなただけが成し遂げる」と言う。

 オッペンハイマーの研究室にグローヴス大佐が来て「マンハッタン計画の監督を探している」と言う。オッペンハイマーは「全米の産業力と科学技術革新が鉄道で結ぶ。ロスアラモスに秘密の研究所。学校、店、教会、町を作り、家族連れで科学者を集める」と提案する。

 オッペンハイマーとグローヴスは、各地で物理学者をスカウトする。

 ラビが建設中のロスアラモスに来て、オッペンハイマーは2か月後に完成すると言う。ラビは「私は物理学の集大成が、大量破壊兵器になるのを望まない」と参加を断り、「ベーテに会って理論的区分をやらせろ。軍服を脱げ」と助言する。オッペンハイマーは背広に帽子を被って行動する。

 ロスアラモスが完成するまで、オッペンハイマーはバークレー校で研究する。テラーが「厄介な問題が見つかった」と言う。

 オッペンハイマーはテラーの計算式をアインシュタインに見せ「連鎖反応で、大気に引火するかもしれない」と言う。アインシュタインは「これは君のだ」と言ってメモを返す。テラーの仮定では、可能性は「ほぼゼロ」だった。

 オッペンハイマーは子供を引き取りに行くと、シャバリエが「アメリカ政府が同盟国のロシアに情報提供をしない事を、共産党員の科学者エルテントンが嘆いている。彼を通せばロシアに情報提供できる」と持ちかける。オッペンハイマーは「それは反逆罪だ」と断る。

聴聞会でオッペンハイマーは「警察や政府に報告しなかった」と話す。

 (白黒)公聴会で議員「どのように対処したか科学者の意見も聞く」。ストローズ「なぜ科学者の意見を求めるのか?」。

 休憩中にストローズは「親オッペンハイマーの科学者から不利な証言をされるのではないか」と懸念する。

 オッペンハイマー家族はロスアラモスの家に引っ越す。

 科学者が、ウラン235は金魚鉢の大きさ、プルトニウムはワイングラスの大きさになると説明する。テラーが「重水素を巨大な圧力で核融合させれば、さらに莫大な爆発になる」と提案する。オッペンハイマーは現実的ではないと却下する。

 (白黒)公聴会で議員「アイソトープでなく水爆が問題だったのでは?」。ストローズが認める。

 ストローズは科学者達の緊急招集に行く。「B29が北太平洋で放射能を検出した」と報告があり、ストローズは「ロシアの原爆実験成功が早すぎる。ロスアラモスの内部にスパイがいたのでは?」と疑う。

 (カラー)ロスアラモスで科学者が「核融合を起こすために、核物質を爆発で内側に撃ち込む」と提案する。

 ドイツの物理学者フックスがロスアラモスに来て、オッペンハイマーが町を案内する。科学者の妻も事務員として雇用していた。ロスアラモスでは携わる研究者も増え、部門横断会議が開催される。ニコルス中佐は、情報統制を心配する。オッペンハイマーは弟を呼ぶと言うが、共産党員なのでグローヴスは拒否する。

 (白黒)科学者にストローズは、ロシアの核爆発がロスアラモスで作られたと同じプルトニウム爆弾のデータを見せる。

 (カラー)オッペンハイマーは、シカゴのサッカー場にある、フェルミ達が造った世界初の原子炉を見る。グローヴス大佐が、黙ってシカゴに行った事を責める。

 聴聞会で「オッペンハイマーが左翼の認識があったか?」。グローヴス「彼に疑惑がある事は承知していた」。

 ロスアラモスにローレンスと、連絡係のロマニッツが来る。ローレンツは「私は進捗状況をあなた達に報告し、情報を共有する」と話す。

 (白黒)科学者の緊急招集でストローズは「ロスアラモスでスパイ活動の噂があった」と話す。オッペンハイマーとストローズが対立する。

 (カラー)オッペンハイマーにロマニッツから、徴兵されたと電話が来る。ニコルス中佐は「共産党の運動を続けていたロマニッツに、ロスアラモスから退去を命じた」と説明する。

 聴聞会で、オッペンハイマーがジーンと会った理由を聞かれ「彼女がまだ自分のことを愛していたから」と答える。キティは、オッペンハイマーとジーンが裸で抱き合う妄想を見る。キティはプリンストンに帰る。

 オッペンハイマーはロマニッツと面会しにバークレー大学に来ると、パッシュ大佐が待っていた。オッペンハイマーはパッシュと会話しながら、任意の取調べだと気づき退席する。

この事をグローヴスに話すと、パッシュがFBIにロマニッツの事を報告し、彼を誘拐したと言う。グローヴスはパッシュをドイツに異動させた。

 聴聞会でグローヴスは「彼は、友達の悪口を言ってはいけないと言う、典型的なアメリカの男子学生の影響を受けていた」と証言する。

 オッペンハイマーはクリスマス会に行くと、ボーアがロスアラモスに来て「核兵器を持つ事に人類はまだ準備できてない」と警告し、「全ての戦争を終わらせるため、十分に大きい?」とオッペンハイマーに聞く。ボーアは「ナチスで働いている元教え子が、ウランの核分裂反応の冷却に重水を注目していた」と教え、オッペンハイマー達は感心する。

 サンフランシスコのジーンが浴槽で不審死する。別れを宣言されて自殺したのか、赤狩りの標的とされて他殺されたのか分からないが、酷く狼狽するオッペンハイマーを妻のキティが慰める。

 水爆にこだわるテラーが、チームと不和になる。オッペンハイマーはロスアラモスで独自に自由に研究するように頼むが、テラーは出て行く。

 聴聞会で、オッペンハイマーはアメリカ原子力委員会に対して「水爆技術は現時点で実践的ではない」と言う。

 科学者の緊急招集でオッペンハイマーは「これを開発したらロシアとの開発競争になる。世界で協力して核技術を共有管理するべきだ」と主張する。ストローズは強く反発する。

 元軍人のボーデンは「戦闘機のコクピットからV2ロケットを目撃した」と話し、オッペンハイマーは核弾頭がミサイルに搭載される未来を想像する。

 (白黒)公聴会「なぜボーデンが、オッペンハイマーの身辺調査のFBI資料にアクセスできたのか?」。ストローズ「知らない」。

 (カラー)聴聞会でボーデンは「オッペンハイマーは保安のリスクだと信じる」と証言する。

 開発反対派集会のポスターを見たオッペンハイマーは、会場に行き「ヒトラーは死んだが、日本がまだ戦っている。自分達は研究者であり核の恐ろしさを見せつけることで、政府に軍事利用を思いとどまらせる」と説得する。

  模型で原爆の爆縮の実験をする。原爆の試験実験は、ポツダム宣言の前の7月に設定された。オッペンハイマーは土地勘のある弟フランクを呼ぶ。試験実験を「トリニティ(三位一体)」と名付ける。砂漠に鉄塔が立てられる。

 聴聞会で、オッペンハイマーは「弟は共産党員を辞め、完全に信頼していた」と証言する。

 シカゴのシラードはドイツが降伏したので、トルーマン大統領に宛てた原爆利用停止を求める署名への参加を極秘に促すが、オッペンハイマーは退ける。

 オッペンハイマーは原爆投下の決定会議で、核兵器の恐ろしさを伝えるが、アメリカ政府は戦争を早く終わらせるため、日本への原爆投下を決定する。

 観察地点は爆心から北・南・西に9kmの地点。点火地点は南に9km。ベースキャンプは南に16km。20km離れた丘の上にも観察地点。原爆が運ばれ、ウラニウムが装備され、塔の上に設置される。

 オッペンハイマーは原爆の威力は半径3~5km以内と予想。実験日は15日夜。オッペンハイマーはキティに「実験が成功したら『シーツを仕舞え』と連絡する」と伝える。

 当日は嵐になる。砂漠の天候を熟知しているオッペンハイマーは朝には嵐が収まると予想し、実験を夜明け前の5時30分に行うと決定する。

 グローヴスは「大気の点火とは何か?」と質問する。オッペンハイマーは「連鎖反応による大  気炎上がで、可能性はほぼセロだ」と教える。

雨が止む。導火線を繋ぐ。各自所定の位置に着く。オッペンハイマー達の点火所に、点火係が来て準備する。

 20分前の花火が打ち上げられる。観察者に、四角形の黒いサングラスが配られる。

 10分前の花火が打ち上げられる。観察者は爆心地と反対向きに腹ばいになる。

 60秒前から秒読みが行われる。0秒になり点火係がスイッチを押す。その瞬間眩しい閃光が起こり、火の玉が巨大に膨らんでいき、キノコ雲を作る。観察者はサングラスを通して爆発を見る。

 暫く後に、物凄い爆風が襲って来る。科学者と軍人達は「成功だ!」と大喜びする。夜が明け、ベースキャンプに戻って来たオッペンハイマーは皆に歓迎される。

 キティは、電話交換手から「シーツを入れろ」の伝言を聞き、実験の成功を知る。

 2個の原子爆弾を積んだトラックを、オッペンハイマーとグローヴスが見送る。グローヴスは6日に日本に落とされると教える。グローヴスはワシントンに行く。オッペンハイマーが「一度原爆を使えば、全ての戦争は考えられなくなる」と言うと、テラーは「もっと強力な爆弾が現れる」と言う。

 6日、ラジオで広島に原爆が投下されたとトルーマン大統領が演説する。シャルロットはその演説を町中に放送で流す。グローヴスからオッペンハイマーに「君を誇りに思う」と電話が来る。

 モスアラモスは原爆投下成功に沸く。歓迎会に出たオッペンハイマーを、人々は熱狂的に迎える。オッペンハイマーは「世界は今日を忘れないだろう。でも日本は嫌だったろう」と挨拶すると、皆は立ち上がって拍手し、泣いて喜ぶ者もいる。オッペンハイマーは閃光が起こり、観客の皮膚が剥がれ、観客が消える幻想を見る。

 タイム誌に「原爆の父」と、オッペンハイマーの顔が載る。オッペンハイマーはトルーマン大統 領と面会し「アメリカ国民の命を救った」と感謝される。オッペンハイマーは「ロスアラモスを閉鎖して土地を原住民に返却する」「手は血に塗られた気持ちだ」と言う。大統領は「被曝者は製作者を恨まない。恨むのは落とした我々だ」と言い、面会は打ち切られ「二度と呼ぶな」と言われる。

 (カラー)聴聞会でオッペンハイマーは「アイソトープ輸出の反対勢力を潰した責任は、あなた個人にはなかったのか?」と質問され、公聴会で「核兵器を作るのにビール瓶も使う」と答えた事を思い出す。

 (白黒)ストローズが上院補佐官に「弟やロマニッツやシェバリエが赤狩りにあっても、彼は水素爆弾の監視を提唱した。水爆実験を進めたトルーマンに嫌われた」と話す。

 (カラー)パーティでストローズがオッペンハイマーに「フークスがロスアラモスの情報を流していたロシアのスパイだ」と教える。

 (白黒)ストローズは「フークスがロシアのスパイだと判明してからFBIの監視も強まったが、大統領がアイゼンハウアーに代わると再び積極的に活動した。それでボーデンが身辺調査の再実行をFBIに上申した」と話す。

 オッペンハイマーはロスアラモス所長の退任式典で「この施設は呪われるだろう」と挨拶する。

 上院補佐官が「なぜボーデンがFBIのファイルにアクセスできた?」と質問する。

 (カラー)広島と長崎の原爆の被害の報告会が開かれ、原爆の惨状のスライドを見たオッペンハイマーは恐れる。テラーは「原爆はロシアとの冷戦の最初の行為だ」と言う。

 (白黒)ストローズの写真が表紙のタイム誌を買ってきた上院補佐官が、オッペンハイマーを批判する記事を見つける。ストローズによる世論操作だと見抜いた上院補佐官が詰め寄ると、ストローズはボーデンに情報提供した事を認める。

 (カラー)オッペンハイマーの聴聞会が行われる。キティは、アイソトープ輸出の公聴会で馬鹿にした事を根に持つストローズに、ハメられたと確信する。

 (白黒)ストローズは上院補佐官に「ボーデンの密告でFBIのフーバーの依頼によりニコルスが聴聞会の設置を決めた。審査員も検察官もストローズが指名する。オッペンハイマーの弁護士には十分な資料を渡さない。正式な裁判ではなく身辺調査なので密室にする。聴聞会の目的はオッペンハイマーの共産党関与を証明する事ではなく、彼に掛かる嫌疑を残して二度と政治に口出しできぬようにする事だ」。話を聞いた上院補佐官は怒るが、ストローズはこれがワシントンの流儀だと言いくるめる。

 (カラー)オッペンハイマーはやり手のギャリソン弁護士を雇うが、苦戦する。

聴聞会でラビが、原爆はオッペンハイマーの功績で完成したと強調する。ローレンスは、オッペンハイマーとトルマン夫人の不倫がトルマンを死に追いやったと吹き込まれ、協力しない。

 (白黒)公聴会でテラーがストローズを絶賛する。

 (カラー)聴聞会でボーデンの報告書が読み上げられ、FBIの極秘資料に基づくロシアのスパイ容疑に、オッペンハイマーと弁護士は打ちのめされる。

 (白黒)公聴会でシカゴの科学者ヒルが「ストローズは商務長官に相応しくない。理由はアイソトープ輸出の公聴会でオッペンハイマーに馬鹿にされた事をストローズはずっと根に持ち、1954年にオッペンハイマーの社会的地位を破壊したと多くの科学者が考えている。ストローズの言動は政治的な行動に満ちていた」と証言する。公聴会は騒然となる。

 (カラー)聴聞会でブッシュが「この国の殆どの科学者は、オッペンハイマーが率直な意見を述べたために、試練に曝されていると見ている」と話す。

テラーが、オッペンハイマーは忠誠心があるが、行動や発言には理解できない部分もあったと証言する。去り際に握手を求めるテラーにオッペンハイマーが握手する。キティは呆れる。

聴聞会でグローヴスは、誰も簡単には信じないからオッペンハイマーも信用してないが、ロシアのスパイだったフークスの雇用には彼は一切関わっておらず、不信があるわけではないと言う。

 (白黒)公聴会でヒルは、オッペンハイマーの聴聞会の検察官ロブを指名したのはストローズだと暴露する。またも会場が騒然となる。

 (カラー)聴聞会で、ロブがキティに厳しく詰め寄り、彼女が未だに共産党と金銭的に繋がりがあると指摘する。

国を捨てたアインシュタインは「こんな国のためにどうしてそこまでするのか?」と問う。オッペンハイマーは「アメリカを愛しているからだ」と答える。

 (白黒)控室でストローズは激高し「彼は他の科学者を操り、食い物にしている」と話す。

 (カラー)聴聞会でオッペンハイマーは「原爆は役に立ったと認める。私は政府から命令された仕事をしただけで、原爆を落とす意思決定をした訳でない」と話す。

 聴聞会でロブが「1945年当時は原爆開発に良心の呵責はなかった」と追及する。オッペンハイマーは「水爆開発に反対したのは、米国が水爆を開発すればロシアも開発するしかなくなるからだ」と叫ぶ。質問者が「オッペンハイマーが明確に水爆開発反対の道徳的信念を持ったのはいつだったか?」聞くと「それは、人類は武器があると知れば全て使うと確信した時」と答える。

 (白黒)激高したスローズは「オッペンハイマーが被害者面して原爆開発の殉教者になって保身に走ったから、俺が失脚させてやった!奴は私に感謝するべきだ!」と言う。「流石にそれはないだろ」と上院補佐官は呆れる。

 (カラー)聴聞会が終わり、オッペンハイマーが米国に忠誠のある市民であると認められたが、共産党員との関わりが無い事は証明できなかったので、事実上の公職追放の処分がされた。 傷心のオッペンハイマーはキティに「シーツを家に入れるな」と報告する。

 (白黒)ストローズの商務長官昇進は却下。反対の署名をした人物の中にはケネディもいた。

 (カラー)オッペンハイマーが帰宅すると、キティが泣き「世界はあなたを許すかしら」と言う。オッペンハイマーは「今にわかるさ」と答える。

 (カラー)控え室でストローズは「オッペンハイマーにやられた。アイソトープの時もそうだったが、シカゴの科学者も彼に操作されていたとは。1947年にアインシュタインに自分を無視するように伝えた時と一緒だ」と悔しがる。上院補佐官は「もっと大事なことを話していたんじゃないですか?」と呆れる。

 1947年。庭の池にいたアインシュタインはオッペンハイマーを歓迎し、「オッペンハイマーは原爆という大量殺戮兵器を作った罰を受けるべきだ。そして、いつか人々は君を十分に罰したと思ったら、許した証として君を表彰するだろう」と言って去ろうとすると、オッペンハイマーが「いつか世界を燃やし尽くす核爆発の連鎖反応の話をした。我々は成功したと思う」と話す。アインシュタインは言葉を失い、意識も朦朧として歩き、ストローズが話しかけても無視したのだ。

 オッペンハイマーは、無数の核ミサイルが一斉に発射され、地球を無数の炎が包み込んでいく幻影を見る。

(エンドクレジット)

(写真は「IMDb」「映画com」より)