『ゴールデンカムイ』テレビアニメ3期のネタバレの詳しいあらすじ(第29~32話) | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 

 実写版『ゴールデンカムイ』の公開前にテレビシリーズ1期を見たらとても面白く、続きはどうなっているのか見たかったので、2・3期も見た。あらすじを紹介する。

 

主な登場人物:読み(声優)役柄

【杉元一行】

杉元 佐一:すぎもと さいち(小林親弘)不死身の杉元と呼ばれる。元大日本帝国陸軍一等卒。

谷垣 源次郎:たにがき げんじろう(細谷佳正)歩兵第27聯隊一等卒。秋田県阿仁出身で元マタギ。

月島 基:つきしま はじめ(竹本英史)軍曹。歩兵第27聯隊。鶴見の側近。

鯉登 音之進:こいと おとのしん(小西克幸宇佐美)少尉。歩兵第27聯隊。薩摩出身。

チカパシ:Cikapasi(渡辺明乃)両親が亡くなり、アシㇼパのコタンの住民たちが育てた男の子。

【アシㇼパ一行】

アシㇼパ:アイヌ語 Asirpa(白石晴香)小樽周辺のコタン出身、10代前半のアイヌの少女。

白石 由竹:しらいし よしたけ(伊藤健太郎)通称「脱獄王」。刺青囚人の一人。

キロランケ:Kiroranke(てらそままさき)アシㇼパの父の友人で、ロシア系少数民族出身のアイヌ。

尾形 百之助:おがた ひゃくのすけ(津田健次郎)元歩兵第27聯隊上等兵。凄腕狙撃手。造反組。

【第七師団】

鶴見 篤四郎:つるみ とくしろう(大塚芳忠)中尉。歩兵第27聯隊所属の小隊長で情報将校。

【刺青囚人】

土井 新蔵:どい しんぞう(清川元夢/若年期:小野大輔)幕末の暗殺者。人斬り用一郎。

【樺太アイヌ】

エノノカ:Enonoka(市ノ瀬加那)樺太アイヌの少女。祖父と共に犬橇で大泊へ行商に来ていた。

ヨーヤンケ:Yoyanke(杉崎亮)犬橇の所有者。エノノカの祖父でヘンケと呼ばれている。

【ロシア人】

ソフィア・ゴールデンハンド:София Золотая Рука(斉藤貴美子/若い頃:湯屋敦子)パルチザンのリーダー。法廷でつけられた愛称が「黄金の手(ゴールデンハンド) 」

スヴェトラーナ:ロシア語 Светлана(渡辺弥咲)樺太で吹雪に遭った先遣隊が助けられた燈台守夫妻の娘。

【過去の人物】

ウイルク:Wilk(東地宏樹)アシㇼパの父。父はポーランド人、母は樺太アイヌ。アシㇼパ同様深い青色の目を持つ。

花沢 勇作:はなざわ ゆうさく(畠中祐)第七師団歩兵第27聯隊。陸軍少尉で聯隊旗手。花沢幸次郎の息子で尾形の腹違いの弟。

 

『第29話 国境』

 キロランケたちはすでに国境近くの町・敷香(シスカ)まで北上していた。犬ぞりで移動したため、杉元がアシㇼパ達は豊原近くにいると言う予想より、遥か北の国境近くにいた。

 森の中でアシㇼパたちは、遊牧民族のウイルタ民族の天葬の棺を見つける。樺太には大きく分けて3つの少数民族、樺太アイヌ、ウイルタ民族、ニヴフ民族が生活している。

 尾形はウイルタ民族が飼っているトナカイを撃った。謝りに行くと、遊牧民の主は「トナカイを殺したらトナカイで返せ。返せないなら山トナカイ狩りを手伝え」と尾形に言う。キロランケは、ウイルタも若い頃に飼いトナカイを殺して、山トナカイ狩りに参加したと、アシㇼパに話す。

 山トナカイの群れを見つける。キロランケは「群れの見張り役を撃つと群れが混乱して逃げないので、他の山トナカイを矢継ぎ早に倒せる。山トナカイに見つからないように、飼いトナカイの首に長い紐をつけて走らせ、その後ろに隠れて山トナカイに接近する」と教える。アシㇼパが、山トナカイ狩りの囮に使う化けトナカイを「オロチックウラー」と言うと、アチャが話してくれた事を思い出す。

 キロランケはウイルタとの接触が必要で予定通りだと言う。

化けトナカイ作戦を始める。3頭の飼いトナカイに付けた縄を持ったアシㇼパ一行と遊牧民の主が、スキーに乗って山トナカイに近づく。尾形が銃で山トナカイを全部殺す。その皮を剥ぎ、肉を取る。

 夕食では一行は山トナカイの脳を食べる。飼いトナカイの乳で作ったバターを、麦粉を練って焼いたパンに付けて食べる。アシㇼパは「トナカイと共に生きる民族だから、食べ物も住む家もアイヌと全然違う。面白いな」と感心する。

 キロランケは、トナカイの飼い主の妻にアイヌの針入れを贈る。針は女性にとって非常に貴重なものだと教える。キロランケは遊牧民の主にお願いする。

 一行は脛に傷を持つ人間で、ロシアに入国する旅券の申請はできないので、密入国する。樺太の遊牧民族は国境を自由に行き来する事が黙認されている。ウイルタに変装して国境を超える。

小樽の第7師団。1881年、ロシア帝国の首都サンクトペテルブルクで、皇帝アレクサンドル2世が手投げ爆弾により暗殺された。実行犯は反体制過激派組織「人民の意志」。党員たちは逮捕され処刑されたが、当時10代半ばの少年キロランケはいまだに指名手配中だった。鶴見はロシア側に、ロシア皇帝殺しの実行犯が、近いうちに南樺太からロシアに密入国すると情報を流していた。

 ウイルタ民族のトナカイそりに乗って、アシㇼパ一行は国境を越える。すると、国境守備隊の狙撃手ヴァシリが、尾形の銃を持っていたウイルタの男の父の頭を狙撃する。アシㇼパたちはそりを止め、そりの陰に隠れる。尾形は、国境守備隊に手練の狙撃手がいると確信する。

 狙撃隊長は「全員逃がすな。抵抗するなら殺してもいい」と指示する。

 一行はトナカイも撃たれ、そりを進ませることもできない。キロランケは撃たれた男に近づき、担いで戻る。狙撃隊長がヴァシリに撃つように命じると、尾形は隊長イリヤを撃つ。

 その隙に、一行はそりを進め、森の中へ逃げ込む。撃たれた男は大きな帽子のおかげで狙いがそれ、死んではいなかったが重傷だった。尾形は森の中からロシア兵を狙撃しに行く。

 狙撃隊長も重傷だった。いなかった。ヴァシリは「腹を撃ったのは足手まといにして我々から逃げるためだ」と気付く。狙撃隊員は一行を追う。ヴァシリもキロランケの仲間に狙撃手がいることを察知し、仲間の負傷にも感情を乱すことなく、そりの跡を追った2人の隊員を囮に、森の中に隠れる。

 2人の隊員は、落ちていた荷物を拾うと、キロランケが仕掛けた爆弾が爆発して、大怪我を負う。負傷した隊員の声を聞くが、ヴァシリは助けに行かない。キロランケが男を助けに出てきた時に撃たなかったのは、撃ってみろと言う態度が気に入らなかったからだ。

 キロランケ、アシㇼパ、白石が撃たれた隊長の所に行くと、隊長はキロランケの若い頃の手配写真を持ち「ロシアはお前を忘れていない」と言う。

 ヴァシリは双眼鏡で尾形を見つける。一発でも撃てばこちらの場所がバレるので、必殺でなければならない。仕留めそこなえば、次は自分が狙撃される。ヴァシリは慎重に狙いを定める。やがて日が沈む。

 

『第30話 悪兆』

 白石は、国境守備隊の目当てはキロランケだったと気づく。キロランケは「15歳の時、俺はサンクトペテルブルクで反体制過激派組織と知り合った」と話す。アシㇼパが手配写真をめくると、父・ウイルクの写真もあった。キロランケがロシア皇帝の馬車に向かって爆弾が入った鞄を投げるが届かず、道に落ちる。その鞄を拾って馬車に投げ入れたのがウイルクだった。キロランケが怪我したウイルクを連れて逃げる。キロランケが「アシㇼパの父もいた。俺たちで皇帝を暗殺したんだ」と言う。

 ヴァシリは、尾形が全く動かず隠れ方も雑で、不審に思う。ヴァシリは、移動しながら様子をうかがう。

 やがて夜が明ける。ヴァシリは、尾形と思われる物の後ろに足跡を貸した痕跡があり、その先にウイルタ民族が天葬のため樹上に置いた棺桶を見つける。その中に尾形が潜んでいると思ってヴァシリが銃を撃つが、それも囮だった。ヴァシリを見つけた尾形が1発で仕留める。

しかし気配を消すための無理がたたり、戻った尾形は高熱を出して倒れる。朦朧とする意識の中で、腹違いの弟・勇作にまつわる過去が尾形の脳裏に蘇る。

 (尾形の回想)軍で勇作と再会した尾形は、童貞は弾に当たらないので聯隊旗手に選ばれた、品行方正な弟に女遊びをさせようとする。しかし勇作は、拒絶する。

 アシㇼパ一行は、ウイルタの男の従弟たちの家で休ませてもらう。アシㇼパはアイヌの風邪の治療法を尾形に行う。従弟は神と人間の間を取り次ぐ者の「サマ」で、祈祷する。病人には悪い化け物が付いていると考え、太鼓や歌で神と対話をして取り去る、とキロランケが教える。アシㇼパと白石も音を出す。

 (尾形の回想)鶴見中尉が来て「弟は噂通りの人柄だ。正義感が強ければ、こちらに引き込んで操るのは難しい。何せ高貴なお人柄だから」と言う。尾形は「血に高貴はない」と言う。

 外で白石はアシㇼパに、一緒に逃げようと言う。「のっぺら坊は自分の娘にしか解けない暗号を、囚人の刺青に彫った。キロランケはそれを思い出させようとしているのか、ここまでアシㇼパを連れてきた。一緒にロシアで行動するには危険すぎる。本当は、ウイルクと一緒に帝政ロシアと戦うために、アイヌの金塊を奪おうとしている」と言う。アシㇼパはここに残ると言う。

 そこにキロランケが来て「俺の昔の名前はユルバルス。タタール人として生まれたが、樺太アイヌの血も混じっている。曽祖母はツングースク系の民族に借金の方として、アムール川流域に連れ去られた樺太アイヌだ。ウイルクの母親も樺太アイヌだった。俺たちが殺したロシアの皇帝は、樺太千島交換条約を結んだ張本人だ。俺たちは極東の少数民族独立のために戦っていた。その中には俺の息子やアシㇼパたち北海道のアイヌも含まれる。アシㇼパは「私はもっと知りたい。アチャがどういう人か。どうしてのっぺら坊になったのか」そして本当に私にしか解けない鍵を残したのか、知る必要がある。殺し合いの先に金塊を見つけて、その先は金塊を使って、さらに殺し合うのか。その呪われた金塊は、見つけるべきか。闇に葬り去るべきか。と悩む。

 (尾形の回想)二百三高地で、聯隊旗手の弟を先頭に第7師団が突撃する。尾形がロシア兵を狙 撃していると、鶴見中尉は「勇作は思った以上に勇敢な人物のようで、みなの心が掴まれている」と話す。尾形は「殺さない方向で」と理解する。

 尾形の熱が下がった。ウイルタの男の従弟は、尾形に頭痛が治るお守りをあげる。白石には子供の男性器のお守りをあげる。

 (尾形の回想)夜明け前、尾形は弟の勇作を呼び出す。尾形は沢山の死体が転がる戦場でロシア兵の捕虜を見せ「旅順に来てから誰か一人でもロシア兵を殺しましたか?勇作はなぜ刀で戦わないのか?」と聞く。「自分は清いまま、この戦争をやり過ごすつもりか」と、尾形は勇作に捕虜を殺せと言う。

 勇作は「父・花沢中将の教えに従って、敵を殺さないことで聯隊旗手は偶像となり勇気を与える。なぜなら誰もが人を殺すことで罪悪感を生じるからだ」と主張する。尾形は「誰も殺した相手に罪悪感はない」と言う。戦場で尾形は、突撃する弟を背後から撃ち殺す。

ウイルタの男の従弟は、トナカイの肩甲骨を焼いた亀裂から「後方から人が来る」と一行を占う。

アシㇼパ一行はトナカイを借りて北に向かい、危険が及ぶので白石とはここで分かれる。しかし白石は、杉元に「アシㇼパさんを頼む」と言われたことを思い出して、アシㇼパ一行を追う。

 その頃、トナカイの肩甲骨に不吉な亀裂が入る。

 

『第31話 メコオヤシ

 激しい風雪の中、樺太アイヌのヨーヤンケ、孫娘のエノノカ、鯉登、月島の犬ぞりと、杉元、チカパシ、谷垣の2台の犬ぞりに分かれて移動していたが、そりを引いていたリュウが列を外れたせいで、杉元のグループがはぐれる。お互いに銃を撃って位置を確認しようとするが、吹雪でかき消される。

 一方、海岸に出た杉元たちは、雪濠を掘って寒さをしのごうとするが、地面が凍って深く掘れない。浅い穴の中で谷垣はマタギの知恵で、ソリを燃やした焚火に土をかけてゆっくり燃やし、犬で暖を取る。谷垣はかき餅を2人に食べさせると、杉元は前に食べた記憶があると言う。

 その場で待つのは危険だと判断した月島らは、見つけた建物へ避難する。月島が銃で位置を知らせようとするが、杉元達には聞こえない。住人の老人に、友人が迷っていると説明すると、暫く使っていない燈台に灯りをつけてくれる。

 杉元達は寒さの中で、限界に近付きつつあった。杉元は、塹壕と二百三高地の戦闘を思い出す。そのとき、杉元は吹雪の先に燈台の灯りを見つける。杉元達は燈台の灯りを頼りに、月島らがいる建物までたどり着く。ペチカの上で温まる。

 翌朝、そりを燃やしたので、ヨーヤンケに作ってもらう。鯉登の手のひらに金槌がくっついたので、杉元が小便を掛けて離す。一行は灯台守の老夫妻から、ボルシチなど温かな食事をご馳走になる。老夫妻は、一人娘のスヴェトラーナがロシア軍の脱走兵に連れ去られて行方不明だと話す。杉元は旅先で娘を探す約束をして、娘の写真を借り、代わりに杉元の写真を額に入れる。一行は老夫妻の家を後にして、さらに北を目指す。

 杉元達は国境まで140キロメートルの距離にある、新問(にいとい)付近の樺太アイヌの集落に滞在していた。アシㇼパの写真やスヴェトラーナの写真を見せても、集落の人々は知らないと言う。

 エノノカはチカパシに、この村に樺太アイヌの昔話に出てくる猫の化け物の「メコオヤシ」が出たと教える。それを聞いた月島は「オオヤマネコ」だと言う。鯉登は尾形百之助だと言う。「山猫」は芸者を指す隠語で、鯉登は尾形を嫌っていた。さらに「インチキ」「人を化かす」の意味もあるので、案の定だと言う。

 エノノカはチカパシに、メコオヤシが浜に置いた荷物を全部食べたと言う。それを聞いた鯉登は「その教訓は、泥棒猫は撃ち殺せだ」と言う。

 翌朝、アシㇼパは「オオヤマネコ」の足跡を見つける。アシㇼパのアチャは、「メコオヤシ」が荷物を全部食った話を聞かせた。キロランケは、一度ウイルクとオオヤマネコを獲り、毛皮が高く売れた。肉は灰汁が多くてまずかったと話す。それはアシㇼパが初めて聞く話だった。キロランケは、昔のウイルクを良く知るソフィアと言う人物が亜港(アレクサンドロフスクサハリンスキー)にいると教える。

 亜港はロシア領である北樺太の中心的都市で、樺太は大陸で罪を犯した囚人達の流刑の地となり、彼らが最初に上陸する地点であった。アレクサンドロフスカヤ監獄(亜港監獄)には最大約1700名の懲役囚が収容される。男の囚人は頭髪を半分そり落とされ、主に建築や炭鉱での苦役を課される。脱走を図った者は、連れ戻されると鞭を打たれ、常習犯は一輪車に繋がれて寝食を共にする。

 キロランケは「ソフィアは皇帝暗殺の首謀者だが、証拠がないので処刑されず、亜港監獄に収容されていた。活動資金のために犯罪を繰り返す義賊でもあり、法廷で付けられた『金の手(ゴールデンハンド)』の愛称で呼ばれていた。彼女なら俺も知らないウイルクを知っているはずだ」と言う。一行は亜港に向かう。

 亜港監獄でソフィアはスヴェトラーナと一緒に収容されていた。女囚は結婚すれば、監獄から出られた。ソフィアのもとに一通の手紙が届き、炙り出しの文字で「ユルバルス(キロランケ)」が樺太に戻ってきたことを知る。

 

『第32話 人斬り』

 網走。鶴見は結構な数の刺青人皮が集まったので、暗号解読者の協力がなくても、アシㇼパが解読できる程度の暗号だと考え、解読を始めようとする。

 杉元は刺青人皮の岩息の写しを見て、何かに気づく。

 釧路。土方、牛山、永倉の一行は犬童の隠し部屋にあった、刺青囚人の土井新蔵が隠し持っていた物が何か住民に聞くが、手掛かりはなかった。土井新蔵は8年前に釧路の海岸で捕まったので、奴を見つける手掛かりになると思われた。

 土方一行はアイヌの「やん衆」の男キラウシの番屋に泊まり、シシャモをご馳走になる。土方がキラウシに例の物を見せると、根室より東、根室の方にしか生息しないエトゥピリカという、嘴が美しいと言う意味の海鳥の嘴だと教える。

 土方は、土井新蔵は偽名で、幕末に何人もの要人の暗殺を行った「人斬り用一郎」と呼ばれた殺し屋なので、用心しろと教える。

 根室。アイヌの服を着た老人は、もうろくしていた。

 用一郎に殺された要人の遺族から用一郎の捜索を命じられた看守が、犬童が死んだので、人斬り用一郎を殺しても引き渡す相手がいないので、手を引きたいと言う。遺族の依頼人は、顔が確認できる看守に最後まで付き合えと言う。看守は、用一郎の捜索を命じられた看守は私だけでなく、要人たちの遺族は他にも刺客を送り込んでいるはずなので、急いだ方がいいと話す。

 アイヌコタンの村長は、土井新蔵がこのコタンに住んでいたと言う。約30年前にこのコタンに流れ着いて、アイヌの女と結婚した。8年前に恨みがあると言う和人がやって来て、妻を人質にさらって行った。土井新蔵は妻を取り戻すため、和人を殺めて網走監獄へ。しかし妻が病気になり先が短いと知り、網走監獄を脱走した。妻の最期を看取るとコタンを出て、近くの漁場で働いていると言う。

 番屋の支配人が、働かない老人に出て行くように言う。番屋に刺客達が現れ、元看守が老人を指差して「人斬り用一郎」だと教える。網走監獄で入れた刺青が上半身にあり、間違いなかった。池田孫七郎の息子と刺客が刃物を向けると、新蔵は暗殺者として恐れられていた頃に豹変し、孫七郎の息子の斧を奪うと、刺客の足を斧で斬る。孫七郎の息子が新蔵に刀で斬りかかると、土方がその男の頭を銃で撃ち抜く。新蔵が番屋内の刺客を斬って外に出ると、そこにいた新たな刺客も一掃する。

 用一郎にとってここは昔の京都で、勤皇派の道具として使い捨てられた事を思い出す。土方は用一郎に「欧米列強に対抗するため、近代化を目指した明治維新であり、日本は日清戦争と日露戦争に勝った。だが、ロシアの南下は止まらない。日本は賠償金が取れず、樺太で妥結した。明治政府の主導は限界に近いので、別の手段が必要だ。北海道を独立させ、海外から移民を募り、多民族国家を築く。俺はまだ日本のために働く」と話す。

 土方は用一郎を斬る。土方は犬童から取り返したエトゥピリカの嘴を用一郎に返す。根室を忘れないようにと用一郎が妻からもらったものだった。土方が楽にすると言うと、用一郎は断り、妻を思い出し、奪った多くの命を感じながら死んでいった。

 尾形がシロイルカを撃つ。シロイルカ肉、ジャガイモ、アシㇼパの干したギョウジャニンニクとニリンソウ、アシㇼパが持っていた杉元の味噌で、白石がクジラ汁を作る。杉元の味噌が無くなり、アシㇼパが悲しむ。

 キロランケは「亜港監獄の囚人250人を脱獄させれば、追手もソフィアに絞れない。そのため、監獄の複数個所の外壁を同時に爆破する。灯台には日本が進行してきた場合に破壊するための爆薬が支給されていたので、それを奪う。流氷が来れば条件が整う」と言う。