『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』ネタバレの感想 連続殺人と村の謎と鬼太郎の両親が興味深い | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 4/5 ☆☆☆☆★

 TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』は第1期が1968年(昭和43年)に始まり、数年~10数年おきに新シリーズが放映され、5期まで放映された人気ある作品である。本作は50周年記念として制作され、今まで描かれていない鬼太郎の誕生が描かれていると聞き、評判も良いので興味を持って鑑賞した。

 本作の殆どは昭和31年が舞台である。この年に鬼太郎が生まれたとすると、第1期の時の鬼太郎は12歳になるので、ちょうどいい時代設定なのだろう。しかも、主人公の水木は太平洋戦争の日本兵の生き残りで、戦争中の悪夢が時々フラッシュバックされ、水木は戦争のトラウマを抱えて生きている設定も時代を感じさせて感心した。これは原作者水木しげるの従軍経験から来ているのだろう。

 日新日露戦争や太平洋戦争でも日本軍が兵士に使っていたのが「M」と言う血液製剤で、数日は不眠不休で戦えると言う恐ろしい薬物(麻薬?)である。「M」は哭倉村の龍賀製薬でしか生産されていない。龍賀家の当主の時貞が死去し、長女乙米の婿で龍賀製薬の社長の克典が当主になる公算が強い。帝国血液銀行社員の水木は、この機会に龍賀製薬との関係を深くし、また「M」の秘密を探るため哭倉村に行く。

 哭倉村はかなり閉鎖的な村だった。跡目争いのためか、遺言で当主に指名された長男の時麿、次女の丙江が殺される連続殺人事件が起こる。丙江は木の梢に刺さって死んでおり、人間の仕業とは思えない。さらに水木は克典からも、村人しか知らない「M」の製造方法を探るように頼まれる。社長の克典でも知らない「M」の秘密とは何か?殺人事件の犯人、および「M」の秘密の2つが興味をそそられる。水木は行方不明の妻を探しに村に来たゲゲ郎(鬼太郎の父)と共に「M」を探る。

 何と「M」はゲゲ郎の妻などの幽霊族の血液を人間に注射して生ける死人にし、その血液を原料にしていた。しかもその人間は、村人が誘拐していたのだ。そう言えば、水木が乗った列車の中で咳き込んでいた少女と母親がいて、その親娘を監視しているような乗客もいた。その少女が持っていた日本人形と思われる物が「M」工場内にあった。あの親娘は誘拐されて連れてこられたのかもしれない、と思うと怖い。

 島の地下の中央の桜の木の根に幽霊族の祖先やゲゲ男の妻の岩子が生贄にされ、根から血を吸収されていた。ゲゲ男が岩子を救出する場面は涙なしには見られない。

 さて、島の地下の穴倉には狂骨と言う妖怪が封印されているが、時貞が亡くなったためか結界が壊れそうだった。乙米が長田幻治に「もう持たない。3日以内に時弥を連れてくるように」と言っていたのは、結界が3日しか持たないので、時弥を連れてきて、その肉体に時貞の魂を入れるようにという指示だったらしい。権力のために我が息子を時貞に差し出す、父親の幻治はおぞましい。また、時貞の血を色濃く持つ子孫を作るために、時貞は孫娘の沙代と性交していたのもおぞましい。

 時貞が狂骨に吸収されてボールのような物になったが、それは冒頭の現代パートで出てきた物だった。山田が踏み抜いた廃屋は、鎧があったので龍賀家の屋敷だろう。この伏線回収も上手い。

 ところで、目玉おやじが「あれから70年。ついにこの時が来たか。あの男も今日はここに来ているかも」と言っていた「あの男」とは水木の事か?水木は昭和31年に30歳だったとしても、100歳以上になっているので、誰の事だろう?「ついにこの時が来た」は何を意味するのだろう?

 鬼太郎が誕生しないうちに映画が終わってしまった?と思ったら、エンドクレジット中に漫画で鬼太郎の両親のその後が描かれ、その後アニメになって赤ん坊の鬼太郎が土の中から這い出る様子が描かれる。全てが終わってからタイトル『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が表示され、なるほどと思った。

 鬼太郎の両親の話が興味深かった。連続殺人や哭倉村の秘密も面白かった。PG-12であるが、絵も内容も結構怖かったので、小学生が見ても大丈夫だろうか。評価は「4」である。