『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』映画と原作小説『ハロウィーン・パーティ』が違いすぎる | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 

 映画『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』は、アガス・クリスティーの原作『ハロウィーン・パーティ』とは、舞台がロンドン郊外からベネチアに変更になった他、だいぶ違う所があると聞いた。原作でもシャクナゲ毒が犯罪に使われてるのだろうか?時計の針を動かした単純なトリックは使われているのか?電話で自殺依頼をした変なトリックも使われているのか?降霊会は?と様々な疑問がわいてきた。そこで原作を購入して読んでみた。

 驚いたことに共通点は「ハロウィーン・パーティをロウィーナ・ドレイクが開催し、彼女が犯人」「第1の殺人の被害者の名前がジョイス」「オリヴァが殺人事件に遭遇」「ポアロが殺人事件の謎を解く(ポアロがいなかったらポアロの映画にならないので当然だが)」これ以外に全くない。これでは原作ではなく、全く別の物語では?

次に、映画と原作の違いを比較する。

1.事件とポアロとオリヴァの関係

(映画)オリヴァが引退したポアロをハロウィーン・パーティ後の降霊会に誘い、殺人事件に遭遇した。←(原作)オリヴァがハロウィーン・パーティの参加し、殺人事件に遭遇した。オリヴァがポアロに事件解決を依頼。 

2.第1の殺人事件

 (映画)降霊会後、霊媒師のジョイス・レイノルズが吹き抜けから転落し、石像の槍に刺さって死亡。ロウィーナ・ドレイクが娘アリシアの死についてジョイス・レイノルズが強迫したと勘違いし、ジョイスを殺した。←(原作)ハロウィーン・パーティの最中にジョイス・レノルズがリンゴ食い競争のバケツの水で溺死させられた。ロウィーナ・ドレイクが2年前にマイケル・ガーフィールドとオルガ・セミノフを殺害した現場をジョイスに見られたと思い、彼女を殺害した。

3.第2の殺人事件

 (映画)レスリー・フェリエ医師が施錠された音楽室で背中にナイフが刺さって死亡していた。ロウィーナ・ドレイクが娘アリシアの死亡原因がバレたと思い、電話で息子を殺すと脅迫したため、フェリエ医師が自殺した←(原作)ジョイスの弟のレオポルドが、川で溺死させられた。姉から事件を聞いたと思ったロウィーナ・ドレイクがジョイスを殺害した。

4.過去の事件

 (映画)ロウィーナ・ドレイクが娘のアリシアを独占するため、シャクナゲの毒を飲ませて衰弱させていたが、誤って家政婦のオルガ・セミノフがシャクナゲの毒を大量に飲ませたために、アリシアが死亡した。ロウィーナ・ドレイクは娘の死を自殺に見せかけるために、彼女の死体をベランダから運河に投げ捨てた。←(原作)ロウィーナ・ドレイクが伯母ルイーズ・ルウェリン・スマイスの遺産を独占するため、庭師のマイケルと共謀して、遺産を相続するはずだった女秘書のオルガ・セミノフをナイフで刺殺した。

 このように、映画と原作を比較しようにも、全く違うので比較にならない。詳しくは「原作小説のネタバレの詳しいあらすじ」を参照してほしい。

 原作小説は、殺人事件を見たと言うジョイスは嘘つきで、誰も信用しない。嘘つきなら殺人も無かったとなるはずだが、実は、ジョイスは友人のミランダが殺人事件を見た話を、自分が見たように言いていたと言うトリックであった。ポアロは現場にいた人とその関係者の合計十数名もの人から話を聞き、そのトリックに気づくのが面白い。映画は、わざわざ亡霊と結びつける必要はなかったと思うので、原作をそのまま映画化しても良かったと思うのだが。