『怪物』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

アンパンマン先生の映画講座

映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

監督:是枝裕和  2023年

主な登場人物;読み(俳優)役柄

麦野早織:むぎの さおり(安藤サクラ)シングルマザー。

麦野湊:むぎの みなと(黒川想矢)早織の息子。

星川清高(中村獅童)依里の父でシングルファザー。

星川依里:ほしかわ より(柊木陽太)湊の同級生。

保利道敏:ほり みちとし(永山瑛太)湊と依里の担任教師。

伏見真木子(田中裕子)小学校の校長。

正田文昭(角田晃広)湊と依里が通う小学校の教頭。

鈴村広奈(高畑充希)保利の恋人。

 

 夜、少年が草むらを歩いている。

 消防車がサイレンを鳴らして走る。雑居ビルが燃え上がっている。

 (タイトル『怪物』)

【早織の視点】

 麦野早織と11歳になる息子の湊が、自宅のアパートのベランダから近所の雑居ビルの火災を見る。湊は早織に「豚の脳を移植した人間は、人間?それとも豚?」と奇妙な質問をする。担任の保利先生が、そういう研究があると話したと言う。梯車から火災現場への放水が始まり、早織は「頑張れ!」と応援する。

 早織は、夫を事故で亡くしてから湊と2人で暮していた。湊は水筒を持って学校へ行く。

早織の勤務先のクリーニング店で、ママ友の客が「昨夜の火災は全焼だった。3階のガールズバーに先生がいた」と噂する。

 早織が帰ると、玄関の湊のスニーカーが片方しかない。湊は自分の髪をハサミで切って風呂に入っていた。校則違反だからと湊が答えるが、早織は不審に思う。

 父の命日に、誕生ケーキをお供えする。早織が湊に「声を出して仏前で近況を報告するように」と言うと、湊は「母さんに聞こえるからいやだ」と言う。湊は「父さんは生まれ変わったかな?カメムシだったら?キリンは?」と聞く。早織は「馬がいい。乗せてもらえるから」と答える。

 次の朝、早織が湊の水筒に泥水が入っていることに気付く。湊は「理科の実験」と答える。

 その夜、湊の帰りが遅いので、早織が湊の友人の家に電話して、廃線の方へ行ったと聞く。早織が車で向かうと、道路脇に湊の自転車を見つける。早織がトンネルに入ると「怪物、だーれだ」の湊の声が聞こえる。早織は湊を見つけて抱き付く。湊は左耳にケガをしていた。

 車の中で早織は「父さんはラガーマンで骨折しても平気だった。湊も男らしくなりなさい。母さんは湊が結婚するまで頑張る」などと話す。すると湊はドアを開け、車から飛び降りる。湊を止めようとして早織は、車をガードレールにぶつける。

 湊は病院でCT検査を受けるが、怪我は軽傷で異常はなかった。湊が不安がっているので、早織 はスニーカーや水筒の件について聞く。湊は「湊の脳は豚の脳と入れ替えられた、と保利先生に言われた」と涙ぐむ。

 翌日、湊は学校を休む。早織は小学校に行き、校長に「授業に遅れただけで、給食を食べさせてもらえなかった。保利先生に殴られて鼻血が出た。耳から血が出るくらい引っ張られた。お前の脳は豚の脳と入れ替えられた。痛い目に合わないとわからない」など、担任からいじめにあっていると訴える。校長はメモを取るが、ぼーっとしていた。

 校長室に教頭と、学年主任、2年生の時に担任だった神崎先生が来ると、校長は部屋から出ていく。教頭は「校長は先日、孫を亡くしたばかりで」と説明する。早織はもう一度最初から話す。

 次の日、学校から呼ばれた早織が校長室に行くと、校長、教頭、学年主任、保利先生がいた。保利先生が「この度は私の指導の結果、誤解を生むことになって申し訳ありませんでした」と嫌々という態度で謝罪する。早織は「息子は先生から酷いことを言われて傷ついた。誤解じゃない。息子に暴力を振るったのですね」と詰め寄る。校長は「ご意見を真摯に受け止め、今後指導したい」とありきたりの言葉を言い、全先生が頭を下げる。早織が「殴ったのですね?」と聞くと、校長は「手と鼻の接触があった」と答える。早織は「腕を引っ張ったり、強く握ったりした。接触ではない」と主張する。

 保利先生が飴をなめるのを見た早織は怒る。校長は「真摯に受け止め、指導したい。ご理解ください」を繰り返す。

 早織はスーパーマーケットに買い物に行く。校長が走り回っている子供に足をかけて転ばせるのを見る。

 早織が家に帰ると、湊が書いていた作文を消しゴムで何度も消す。

 早織はまた小学校に行くと、保利先生が女子児童に手を引かれて校舎の裏に行くのを見かける。校長室で校長が「改めて事実を確認したい」と言う。早織は「今すぐ確認してください。転校するしかないのですか?保利先生を呼んでください」と言う。校長は「保利は外出中です」と言うので、早織は「さっき見ました」と怒る。早織は「あなた人間ですか?質問に答えてください」と言うと、校長は「人間です」と答える。早織は「一人の人間として向き合ってほしい」と言う。校長は「ご意見を真摯に受け止めたい」とまた繰り返す。早織は校長の机の上に飾られていた、校長と孫の写真を落とす。

 保利先生が教頭が止めようとするが、やってくる。保利は「すみませんでした」と言うが「あなたの息子は星川依里をいじめている。動物も虐待している。家にナイフや凶器とか持ってたりしません?」と言う。早織は「キャバクラに行ったそうですね。放火したのはあなたじゃないの。豚の脳が入っているのはあなたの方」と言い返す。

 早織が湊の部屋に入ると、寝ていた。鞄の中に着火ライターを見つけて不安に駆られる。

 早織は、湊がいじめていると言われた星川依里の家を訪ねる。留守番をしていた依里は早織を家に上げる。早織は玄関に湊の片方のスニーカーを見つけ、訪ねると依里は「湊君が貸してくれた」と教える。早織は依里の腕に火傷の跡を見つける。依里は休んでいる湊を心配する。

早織は学校に行き、校長に依里の話を聞くように頼む。校長室で「学校でいじめられたりしている?」と聞くと、依里は「湊にいじめられていることはない。先生が湊を叩いている。先生が怖いから、黙っていた」と答える。早織は校長に「校長は孫を亡くして悲しんでいるが、私の今の気持ちと同じです」と訴える。

 小学校の集会室に保護者が集められる。校長が「あってはならないことが起きました」と報告する。保利先生が「麦野を叩いて、腕をねじった」嫌々ながら謝罪する。

 新聞が「暴力教師。生徒に豚の脳と暴言」などと大々的に報じる。

 湊が階段から落ちたと、早織が学校に呼ばれる。男子児童が「保利先生から逃げて、階段から落ちた」と言う。教頭は男子児童に帰るように言う。早織は、休職中の保利先生がなぜいるか疑問に思う。相談室に行くと湊がいなく、窓が開いていたので心配するが、教頭がトイレに行っていたと教える。

 台風が接近する。湊は早織に「父さんに会った。母さんに伝言で、いつもありがとう。大好きだよって」と話す。早織は「ちゃんとしてあげられないので、湊が可哀そうに思っている」と言う。湊が「父さんは生まれ変わったかな。湊は何に生まれ変われるかな」と言う。早織は「湊はまだ生きている」と言うと、湊は「僕は可哀そうじゃないよ」と言う。

 朝、早織が家の中を探すが、湊の姿がなかった。窓の外から「麦野」と呼ぶ声が聞こえる。早織が窓を開けると、湊の机の上から、様々な動物の絵や怪物が描かれたカードが落ちる。

【保利先生の視点】

 夜、消防車がサイレンを鳴らして走る。雑居ビルが燃え上がっている。保利先生は恋人の鈴村広奈に街で「結婚しよう」とプロポーズする。広奈は「それは夜景の綺麗な所で言うもの」と言う。歩道橋ですれ違った学校の男子児童が、保利先生をスマホで撮る。

2人は保利の部屋に行く。保利先生に広奈は「変に良い先生ぶらない方がいい。小学校の先生の名前覚えている?すぐに忘れられる。適当でいい」と助言する。広奈は保利先生の口に飴を入れ「大変なときになめると良い」と、袋ごと飴をあげる。保利が「大丈夫」と迫ってくるので、広奈は「男の『大丈夫』と、女の『また今度』は信用しちゃダメ」と笑いながら言う。

 保利先生は児童と話しながら登校していると、依里が転んで靴が脱げていた。保利先生が靴を拾ってあげる。

 職員室で保利先生が同僚に「保護者面談の日程を出してくれない家がある」とぼやくと、同僚が「モンスターペアレンツがいる」と教える。職員朝会が始まり、校長が「今日から職場に復帰することになりました」と挨拶する。校長は保利先生に「着任早々、休んですまなかった。生徒をお願い」と挨拶する。

 教室に保利先生が行くと、湊が教室の後ろの棚の体育着袋を投げて暴れていた。保利先生が止めようとして、肘が偶然に湊の鼻に当たって鼻血が出る。湊は「イライラして」と謝る。

 家に帰った保利先生は、今日の事を広奈に話すと、広奈は「シングルマザーによくいる」と言う。保利先生も「僕の家もシングルマザーだった」と言う。保利先生は広奈に、明日仕事が早く終わるので、待ち合わせしようと言う。

 次の日、体育の時間に組体操をする。人間ピラミッドの依里の上に乗った湊が崩れ、保利先生は「それでも男かよ」と励ます。

 職員室で教頭が保利先生に「麦野の母親が来ている」と教える。保利先生は「暴れていたので、止めただけです」と説明するが、教頭は「教育委員会に持ち込まれたら、学校が処分される。謝って済ませて」と頼む。校長室で、保利先生は謝罪の練習をさせられる。校長は机の上に、孫と一緒の写真を見えるように置く。

 同僚の女性の先生が保利先生に「駐車場で校長の主人が車で孫を轢いた事故は、本当は校長が運転していたが、校長の地位があるので、夫に身代わりになってもらったという噂だ」と教える。

 放課後、依里が靴を探していた。教室に来た保利先生が一緒に探すと、ゴミ箱から見つける。

 保利先生は依里の家に家庭訪問する。留守だったので庭を見ていると、酔った依里の父親が帰ってくる。依里に父は「先生はどこの大学出身?給料安いって」と教師を馬鹿にする。依里の父は「小学校の先生から見ても、息子はダメ人間だろう。化け物だ。脳に豚の脳が入っている。私は人間に戻したいと思っている」と話す。

 学校の廊下で保利先生は、トイレから湊が出てくるのを見つける。トイレから「怪物だーれだ」の声がするので中に入ると、個室のドアが穴あけパンチで押さえられて、依里が閉じ込められていた。

 女子児童が保利先生の手を引いて校舎の裏に連れて行く。女子児童は「ここに猫の死体があって、麦野君が猫で遊んでいた」と教える。

 保利先生が校長室に呼ばれる。湊が「保利先生に暴力を振るわれた」と証言する。保利先生は湊に「麦野が猫を殺したかもしれないと、女子が言った」と言うと、湊は否定する。保利先生が先ほどの女子児童に聞くと「私は言っていない」と言う。

 職員長会で教頭が保利先生に「麦野の母親が弁護士を雇った」と教える。保利先生が反対するが、学級の児童にアンケートをする。「保利先生を怖いと思ったことがありますか。保利先生に暴力を振るわれたことがありますか」などの質問に、多くの児童は「ある」に丸を付ける。

 保護者会が開かれ事になる。保利先生が「やっていません」と言うと、校長は「あなたが学校を守るのです」と言う。保利先生は涙を浮かべながら、保護者の前で嫌々謝る。

 保利先生が荷物を持って帰り際に、校長に「本当は誰が運転していたのですか?主人じゃないですか?」と言う。

 保利先生が広奈と帰ると、家の前で雑誌記者が「保利先生ですよね」と呼び止め、カメラマンが保利先生の写真を撮る。広奈はと急いで離れる。保利先生は取材を断る。

 家の中で広奈は「大変そうだから」と、自分の荷物をまとめ「また今度ね」と言って出ていく。

 朝、家で休職中の保利先生が週刊誌の記事を見ながら食事する。ドアをノックする音が聞こえ、ドアを開けると誰もいなく、ドアノブにかけられた汚物が落ちる。下から「豚の脳みそ」と言う声が聞こえる。

 保利先生は学校に行き、階段にいた湊に「君に何かした?何もしていないよね」と迫る。湊はうなずき、逃げるが階段で転び、「先生に突き落とされた」と友人に言う。

 保利先生は窓の外を伝って屋根の上に行き、飛び降りるか悩む。音楽室から金管楽器の音が聞こえる。不審者用のさすまたを持った先生たちが「落ち着いて」と引き留める。

 家に帰った保利先生は、生徒の作文の添削をする。依里の題が「品種改良」の作文を赤ペンで訂正しているうちに、上の段を横に読むと「むぎのみなと・ほしかわより」となることに気付く。

 保利先生は雨の中、湊の家の窓の下から「麦野ごめん。先生が間違っていた。お前はおかしくない」と叫ぶ。やって来た早織に保利の先生が「麦野に謝らせてください」と言って、依里の作文を見せる。

雨の中、早織と保利先生は車で湊を探しに行く。以前のトンネルに向かうと、道が通行止めだった。保利先生が「子供を見ませんでしたか?」と、作業していた人に聞くと「見ていない。この先で土砂崩れがあって通行止めだ」と教える。早織と保利先生は制止を振り切って、通行止めの先に歩いていく。

 早織は「生まれ変わると言っていた」と心配する。トンネルを出ると、電車が土砂崩れで横倒しになっていた。保利先生は上になった窓に上り、やっとのことで窓を開けるが、中には誰もいなかった。

 校長は刑務所で夫に面会する。校長は「明日から学校に戻る」と報告する。

 帰り道、校長は、依里が着火ライターを落とすのを見つけ、声をかける。消防車のサイレンが聞こえる。

【湊の視線】

 次の朝の登校途中に、依里は湊に「昨日2時まで起きていた」と話す。いじめっ子が依里を突き倒し、依里の靴が脱げる。そこに保利先生がやってくる。

 学校で「将来」の作文の宿題が出る。先生は自分が小学校の時の作文を紹介する。

掃除の時間、保利先生は湊と依里に、タンバリンを音楽室に返すように頼む。2人が音楽室の器具庫に行くと、依里が内緒でお菓子を湊にあげる。依里は湊に病気がうつるのを気にしていた。湊は「依里君の脳は本当に豚の脳なの?」と聞く。依里は「友人ができないと思っていた。みんなの前では話しかけないで」と頼み、湊の髪を触る。

 湊は家に帰ると、髪をハサミで切る。

 次の朝、教室でいじめっ子たちが依里の机に紙くずを置き、黒板消しを叩いてチョークの粉を落としていた。いじめっ子が「ドッキリだからやって」と、湊にも黒板消しのチョークの粉を落とさせる。そこに依里が教室に入ってくるが、依里は無言のまま席に着く。いじめっ子は「リアクション薄い」とがっかりする。

 女子児童の黒田が依里の机の上のごみを片付ける。いじめっ子は依里に「黒田のホクロは黒豆の様だ。と言え」と言うが、依里は断る。いじめっ子は「女子の味方をするの?」と言い、おかまの真似をして依里にキスを迫る。それを見た湊が、教室の後ろの荷物を放り投げて暴れる。そこに保利先生がやってきて、湊を止める。

 帰り道、依里は靴を隠されて裸足だった。それを見た湊は片方のスニーカーを依里に貸す。

 休日、湊と依里は自転車で遊びに行く。自転車を置いて、立入禁止のフェンスを越え、野原の道を歩く。依里は植物の名前を沢山知っていたが、湊は「母さんは、男は花の名前は知らない方がもてると言っていた」と話す。廃線の真っ暗なトンネルを通る。依里は「暗いのを怖がる男は、もてないよ」と言う。

 トンネルを出ると、廃車になった電車の車両が置いてあった。2人は電車の中で遊ぶ。廃線の線路を歩くと鉄橋があり、その前に「立入禁止」のフェンスがあった。

 依里は湊を校舎の裏に連れて行き、元猫(死体)を見せる。依里は「このままだと生まれ変われない」と言って、電車の前に穴を掘って猫の死体を置き、かけた落ち葉に着火ライターで火を点けて火葬する。湊は山火事になると大変なので、川から水筒に水を汲んできて、焚火に水を掛けて消し、着火ライターを取り上げる。

 湊は依里に「君が火を点けたのは、お父さんがガールズバーにいたから?」と聞くと、依里は「酒を飲むのは健康に悪いから」と答える。

 学校のトイレの個室に、いじめっ子が依里を閉じ込める。トイレに湊が入って来たので、依里が湊に助けを求める。ところが湊はトイレから出て行き、保利先生と出会う。

 湊は依里に「先生に言って」と言うが、依里は「僕が豚の脳だから、父が優しい。病気が治ったら、母さんが来るって」と話す。湊は「父は野口美奈子さんと温泉に行って事故死した」と教える。

 湊と依里は、神社や公園で遊ぶ。依里は、宇宙は膨張していると教える。湊が「宇宙って壊れるの?」と聞くと、依里は「時間が元に戻る」と教える。湊は「生まれ変わるの?準備しよう」と言う。

 電車の中を湊が飾りつけをする。何が書いてあるか見ないでカードを引いて額に付け、相手に質問してカードに書いてある動物を当てる「怪物誰だ」と言うゲームをして遊ぶ。

 電車の中で宿題の「将来」の作文を書く。依里は、行の一番上の字を右から読むと「むぎのみなと、ほしかわより」になるように書く。依里は「先生気付くかな」と心配すると、湊は「気づかないでしょ」と答える。

 依里が「転校する。おばあちゃんの家に行く」と伝える。湊は「お父さんに捨てられたの?いなくなったら嫌だよ」と言うと、依里が湊に抱き付く。湊は依里を突き放す。依里は「大丈夫。僕も時々そうなる」と話す。湊は帰る。

 図工の時間、いじめっ子が依里の机に絵の具で悪戯する。依里は机を雑巾で拭くと、いじめっ子が雑巾を取り上げ、投げる。雑巾が女子児童の所に投げられ、その子は雑巾を依里に渡す。いじめっ子は「お前、依里が好きか。ラブラブ」とからかう。

 湊は依里が持っている雑巾を取ろうとしてつかみかかり、バランスを崩して倒れる。湊は机の角に耳をぶつけて血が出たので、保健室で治療を受ける。保利先生は湊に「本当は職員室に報告しなければならないが、黙っておく」と言う。

 湊は電車に行くが、夜になっても依里が来ない。依里からメールで「今行く」とメールが来たので、トンネルに迎えに行く。すると早織が来て、湊に抱き着く。

 車の中で湊は「お父さんみたいには、なれない」と話す。依里からメールが来たので、早く見ようと思い、車から飛び降りる。病院でCT検査を受ける。家に帰った湊は仏壇の前で「何で生まれたの?」と呟く。

 夜、家を抜け出した湊が依里の家に行くと星野が「病気が治ったので転校する。おばあちゃんの家に行く」と伝える。湊は「今でも普通だよ」と言う。依里の父は「遊んでくれてありがとう。向こうに依里が好きな子がいる」と言う。依里が「嘘」と湊に教え、家に引っ込む。

 教頭が児童に「新しい先生が来る」と教える。保利先生が来て湊を追いかける。階段から落ちた湊は、相談室に行き、ベランダで「ごめんなさい」と呟く。音楽室のベランダにいた校長が「誰に謝っているの?」と聞く。

 音楽室で湊は校長に「保利先生は悪くない。僕は嘘をつきました」と言う。校長も「一緒だ」と言う。湊は「僕には好きな子がいる。人に言えないから嘘をついている。幸せになれないから」と話す。校長は「誰にも言えないことは、フーって」と言い、音楽教師の校長は、湊にトロンボーンを思い切り吹かせる。校長もホルンを吹く。校長は湊に「誰かでないと手に入らないものは幸せでなく、誰にでも手に入るものが幸せだ」と教える。

 湊は雨の中、自転車で依里の家へ行き、中に入る。依里は風呂場でグッタリしていた。依里の背中には傷があった。2人は台風の中、廃線の電車へ行く。電車の中にいると物音が聞こえ、依里は「出発するのかな」と言い、湊も「出発の音だ」と言う。土砂崩れで電車が倒れる。

 夜、台風の中、早織と保利先生は、湊と依里を探しにトンネルに入る。

朝になり、天気が回復する。湊と依里は地面側になった電車の窓から、水路を通って出る。依里は「生まれ変わったのかな?」と言い、湊は「元のままだよ」と言う。2人が小道を進むと、鉄橋の前の「立入禁止」のフェンスがなくなっていた。2人は叫びながら草原を走る。

(エンドクレジット)

注:【早織の視点】【保利の視点】【湊の視点】はこちらで書き加えた。

(写真は「映画com」「公式ホームページ」「IMDb」より)