監督：塩谷直義 2023年
主な登場人物：読み（声優）役柄
【厚生省】
常守朱：つねもりあかね（花澤香菜）公安局刑事課統括監視官兼刑事課一係監視官。
宜野座伸元：ぎのざのぶちか（野島健児）公安局刑事課一係執行官。元監視官。常守のサポート役。
須郷徹平：すごうてっぺい（東地宏樹）公安局刑事課一係執行官。元国防軍ドローンパイロット。
雛河翔：ひなかわしょう（櫻井孝宏）公安局刑事課一係執行官。ハッキングに長けている。
六合塚弥生：くにずかやよい（伊藤静）公安局刑事課一係執行官。
霜月美佳：しもつきみか（佐倉綾音）公安局刑事課一係監視官。宜野座の後任。
唐之杜志恩：からのもりしおん（沢城みゆき）公安局総合分析室分析官。情報の収集、分析担当。
禾生壌宗：かせいじょうしゅう（榊原良子）厚生省公安局局長。シビュラシステムの義体。
慎導篤志：しんどうあつし（菅生隆之）厚生省大臣官房統計本部長。
【外務省】
狡噛慎也：こうがみしんや（関智一）海外調整局行動課特別捜査官。元公安局刑事課一係の執行官。
花城フレデリカ：はなしろ～（本田貴子）海外調整局行動課課長。公安局への出向経験がある。
矢吹省吾：やぶきしょうご（土師孝也）海外調整局局長。花城の上司。
【ピースブレイカー】
砺波告善：となみつぐまさ（大塚明夫）ピースブレイカーの隊長。
甲斐・ミハイロフ：かい～（加瀬康之）ピースブレイカーの戦闘員。
ボカモソ・マレー（白熊寛嗣）ピースブレイカーの戦闘員。
【その他】
雑賀譲二：さいがじょうじ（山路和弘）臨床心理学の元大学教授。潜在犯隔離施設に自主的に入所。
慎導灼：しんどうあらた（梶裕貴）慎導篤志の息子。炯、舞子とは幼馴染。
ミリシア・ストロンスカヤ（津田匠子）行動経済学と統計学の世界的権威。
舞子・マイヤ・ストロンスカヤ：まいこ～（清水理沙）ストロンスカヤ博士の娘で炯の婚約者。
炯・ミハイル・イグナトフ：けい～（中村悠一）ロシア系移民二世の準帰化日本人。煇の弟。
猿飛光喜：さるとびこうき（飯島肇）国防軍。須郷の元同僚。
ドミネーターの声（日高のり子）
2118年6月。外国船グローツラング号に、兵員輸送機から多数のピースブレイカー戦闘員が甲板に降下し、船員を殺戮する。自室にいたミリシア・ストロンスカヤ博士は、急いでパソコンを操作する。博士の部屋にピースブレイカーの甲斐がやって来て「もう逃げられない」と警告する。
外務省の戦闘機から狡噛慎也が一人で降下し、ピースブレイカーと戦う。
ピースブレイカーのボカモソ・マレーが部屋に行くと、甲斐がストロンスカヤ博士を殺していた。マレーは「しくじったな、甲斐」と言って、ストロンスカヤ博士の首を切断して回収し、全員撤退を命じる。
狡噛がストロンスカヤ博士の部屋に行くと、博士は殺されていた。
戦闘員は甲板に着陸した兵員輸送機に乗り込む。死んだ戦闘員は爆発し、狡噛は海に飛び込んで爆発から逃げる。
（サイコパスとシビュラシステムの説明。タイトル『劇場版 サイコパス PSYCHO-PASS PROVIDENCE』。オープニング）
東京。シビュラシステムによる絶対的な統治下での、法律の必要性を問う会議が行われ、役人、政治家達が多数参加していた。厚生省公安局統括監視官・常守朱は、人間社会における法律の必要性を訴えるが、政治家は法律の廃止に賛成する。
厚生省大臣官房統計本部長・慎導篤志に連絡が届き「日本と世界の関係を明らかにするゲストが来るはずだったが、間に合わなかった」と言う。常守に霜月から「グローツラング号にて銃撃があったと」と連絡が入る。
常守に慎導が「グローツラング号に乗っていたのは、行動経済学と統計学の世界的権威ストロンスカヤ博士で、シビュラシステムが世界に与える結果のシミュレーション理論「ストロンスカヤ文書」を確立した」と教える。
2人は車で一緒に移動する。慎導は常守に「監視官を長くやりすぎた。上を目指しなさい。期待している」と言う。
常守と慎導が、グローツラング号が曳航された岸壁に行くと、霜月美佳は「国内の捜査権は公安が持っている」と言い、花城フレデリカと矢吹省吾海外調整局局長が「重要な外務省案件だ」と言ってもめていた。慎導に壬生局長から連絡が来て「現場は外務省に任せろ」と指示する。
公安局の霜月、雛河、六合塚は常守に、船でストロンスカヤ博士の遺体が発見されたが、首が切断され、見つかっていない。殺害直前に博士はパソコンからメールを送っており、送信先は調査中。船で外務省登録の銃を見つけた。と報告する。霜月が「どうもうさん臭い」と言うと、慎導が、矢吹は高性能の補聴器を使っているので、悪口を言うな、と注意する。
博士のメールの送信先は雑賀譲二教授だと分かり、常守は雑賀に会いたいと連絡する。雑賀の先輩である慎導も「ストロンスカヤ博士が殺害され、ストロンスカヤ文書が奪われた。一緒に行ってもいいか？」と尋ねると、雑賀は「常守にしか話したくない」と言う。
常守は雑賀が入所している潜在犯隔離施設へ行く。雑賀がストロンスカヤ博士から貰ったメールは「研究成果を渡したい。出島の私書箱に郵送した。雑賀本人が受け取りに来い」だった。常守も同行する事にする。雑賀は慎導にずっと利用されている感じを持っていると話す。
公安局で壬生局長が、今回の事件は外務省と厚生省の共同調査を命じる。花城は「敵の正体は外務省海外調査部現地調査隊、通称ピースブレイカーだと目星がついている。外務省の強行派が破壊工作の為に海外に潜伏させた部で、隊長は砺波告善。5年前に解体したが、誰一人日本に戻ってきていない」と説明する。狡噛が外務省海外調整局にいる事で宜野座が怒って掴みかかる。
公安局と海外調整局は飛行機で出島に向かう。花城は、出島での公安局の行動は制限されるが、ドミネーターの使用許可済みだと教える。飛行機の中で雑賀に狡噛が「船で砺波が、新約聖書のテモテへの手紙の一節を言っていた」と話す。雑賀は「砺波が聖人パウロに自分を重ねているのかもしれない」と言う。
狡噛に常守が通信し「行動課は何なのか？」尋ねる。狡噛は「外務省海外調整局が執行官を欲しかったので、帰国を許された」と話す。常守は「狡噛が法を犯したら、今度は止めます」と話す。狡噛は「あんたが正しいと思う事をやれ」と言う。通信を切った常守は「ただ謝ってほしかっただけなのに」と呟く。
出島のビルには人影がなく、狡噛は一般人を退避させ、行動課の人員が増えていることに気づく。常守は「私達を囮にした」と見抜く。私書箱を開けると、割れた手鏡があった。雑賀は「最初から囮だった」と悟る。
すると、ピースブレイカーの戦闘機がビルを攻撃する。花城が皆を退避させる。侵入したピースブレイカーが行動課職員を撃つ。常守が戦闘員にドミネーターを向けるが、犯罪係数が50未満で使用できず、警棒で戦う。
爆発が起き、狡噛が常守に被さって爆風から守る。マレーが雑賀を襲い「ストロンスカヤ文書はどこだ」と聞き、雑賀が「知らない」と答える。狡噛がマレーとナイフで戦う。雑賀が吹き抜けから落ちそうになる。常守が雑賀の手を掴むが、2人とも落ちそうになる。雑賀は「正義も真実も多面的だ。上から見なければ分からない。君ならできる」と言い残すと、雑賀は手を放して落下する。
ストロンスカヤ文書は無いと気づいたマレーは、撤退を命じる。マレーは銃で頭を撃たれても、何度も立ち上がる。草原の映像が映し出される部屋で、狡噛は甲斐とナイフで戦い、甲斐は狡噛にとどめを刺さずに逃げる。ピースブレイカーは飛行機で去る。
雑賀の遺体に駆け寄って、常守が悲しむ。花城は矢吹の姿がないと言う。常守は、雑賀が死んだ責任を花城に迫るが、狡噛は「問題はなぜ失敗したかだ」と止めさせる。慎導は「最悪の場合国防軍にも協力を要請することにした」と話すが、常守は全てを仕切っているようだと怪しむ。
常守は「先生を犠牲にした」と自分を責める。狡噛は「この事件が済んだら、泣けるだけ泣けばいい」と慰める。常守は霜月に慎導本部長を調べるように頼む。
慎導は、舞子・マイヤ・ストロンスカヤに、母親のミリシアが亡くなった事を知らせると、舞子は泣く。舞子の婚約者の炯･ミハイル･イグナトフは「舞子は私が幸せにする」と誓う。慎導は「炯の兄の煇は、結婚式に間に合うかもしれない」と教える。
街の春節の中を歩きながら、慎導は息子の灼に「2人を頼んだぞ」と頼む。
地熱発電所跡のピースブレイカー拠点に戦闘員が集まる。砺波が「兄弟、死を恐れるな。私の主、ジェネラルが起こしになる」と話す。するとジェネラルの声が「変化に備えよ。恐れず全て受け入れよ。世界に正しき正義と秩序を。私は常に皆と共にいます」と言う。砺波は「あなたの予言に従います」と言う。
矢吹局長はピースブレイカーに囚われ、水責めにされていた。砺波は「ストロンスカヤ文書はどこにある」と聞くが、矢吹は「貴様こそ終わりだ」と言う。砺波は甲斐に矢吹の尋問は任せ、ジェネラルのいる北に行くと言う。
狡噛は、甲斐が残したナイフに付いていた馬の毛より、阿蘇を調べるように唐之杜に依頼する。唐之杜は、撃たれても死ななかったマレーを調べた結果、脳に特殊なチップが埋め込まれていたと報告する。狡噛が「憑依を科学的に説明できないか」と唐之杜に聞く。唐之杜は「人間と他の動物では精神構造が違う。人間は自分自身を神の視点で見ることができ、精神を人間と神に分けることができる。神の部分を独立させれば、神の声が聞こえるのではないか」と話す。
常守は壬生局長に「ピースブレイカー拠点を九州の阿蘇と特定した」と報告する。花城は「ピースブレイカーは脳に埋め込んだチップで犯罪係数を偽装していると」と話し、常守は「通常の刑法を適用するしかないと」言う。壬生局長は、相手が違法武器の所持を名目に、銃火器での強制執行を許可する。
公安と花城達はヘリで、阿蘇の地熱発電所跡のピースブレイカー拠点に向かう。狡噛、宜野座、花城、常守が拠点に侵入する。地下に向かうと、自走式自動機関銃から激しい銃撃を受け、狡噛と宜野座は柱の陰に隠れる。
攻撃が終わり、2人が出てくると、甲斐が矢吹を担いで現れ「自分は慎導の命でピースブレイカーに潜入していた潜入捜査官の煇・ワシリー・イグナトフだ」と名乗り、保護を求める。
煇は「砺波がジェネラルと呼ばれる黒幕の手先に過ぎない。砺波は部下の頭にマイクロチップを埋め込み、チップを遠隔操作して犯罪行動をすることで兵士たちの犯罪係数を低く保っている。砺波の目的は、世界各国で起きる紛争をシミュレーションできるストロンスカヤ文書を使って、紛争を巻き起こすことにある」と狡噛に語る。煇は狡噛に、砺波に気づかれる前に拘束し、電波隔離室に入れるように頼む。
電波隔離室に保護された煇は狡噛に、次のように話す。脳に埋め込んだチップに、砺波が自分の人格を「憑依」させて、その人物を操る事ができる。また、ストロンスカヤ文書は自分の脳のチップの中に博士がコピーした。博士は「この研究で娘には寂しい思いをさせた母親らしくない。それでもあの子たちの未来は守る」と言い、輝は「必ず届けます」と約束して、データを守るために、博士に依頼されて殺害したと自白する。
ディバイダーは精神を分割する装置で、自分を別の人間のように認識して罪悪感を別の人間に委ねることができ、色相をクリアに保てる。精神の一部を砺波に委ねることで、宗教的興奮の科学的再現でもあり、行動の全てを砺波に委ねる。外務省職員には翻訳パッチが埋め込んであり、クラッキングで砺波がそれに取り憑いたという。
輝は、ジェネラルと呼ばれる最高指揮官が何者かはわからないが、居場所を突き止め、日本の最北北方列島だと言う。
電波隔離室の外に、砺波に乗っ取られた外務省職員が銃を持って現れ、輝に電波隔離室から出るように言う。
常守に慎導は「輝が潜入捜査官になったのは、砺波は日本人を信用していないから。輝が志願し、正体がばれないように自らの顔を焼いた」と話す。常守は「なぜ極秘で入国したストロンスカヤ博士が襲われたのか」と聞くと、「砺波をおびき出す為に、矢吹が意図的に漏らしたのでは」と言う。
常守は慎導の経歴を調べると、不審な点はなかったが違和感を覚えた。失敗はしないけど、常に正しい道を選択してキャリアに繋がっていた。狡噛から連絡があり、砺波が輝に憑依し、矢吹は死亡したと言う。
砺波が憑依した輝は、屋上の飛行機に乗り込もうとしていた。輝のディバイダーがオーバーロードしていた。常守と慎導が追いかけると、砺波は「そいつも捨て駒にしたのか」と言う。常守が輝にドミネーターを構えると、犯罪係数が300を超え、執行対象になる。
煇は砺波にデータが渡ることを防ぐため、自分で自分の胸を撃つ。そして慎導に「今だ、殺せ。炯をお願いします」と乞う。慎導は「約束は守る」と誓うと、煇を射殺する。
春節の花火が上がる。街では、炯と舞子が花火を見ていた。
病院で狡噛が目を覚まし「俺のミスだ」と言うと、常守は「私達はチームです。忘れないでください」と言い、輝の情報は解析中だと教える。
車の中で壬生局長は慎導に「長年見てきたが、やはり食えない男だ。君には今回の件で責任をとってもらう。矢吹局長の死で情報規制は限界だ」と話す。慎導は「この先もシビュラシステムは、人の可能性を信じ続けますか？」と聞き、壬生局長は「もちろん。我々はそのために存在する。君の息子とその友人達の安全は保証する」と言う。
慎導は、ラウンドロビンにいる法斑静火の父親と電話する。法斑の父親は「ストロンスカヤ文書を公安に渡すつもりだったな。君のインスペクター権限は全て停止する」と言う。
慎導は常守に「明日の炯と舞子の結婚式に付き合ってほしい。輝の死は伏せてほしい」と頼む。
結婚式で慎導が挨拶をする。「シビュラシステムがあるから、異国で生まれた2人には困難が待っていると思う。自分は沢山嘘をついてきた。君達には悔やまない道を歩み、答えを出してほしい。真実は絶対的な物であり、そこに本当の幸せがあると信じている」と言う。
披露宴が終わりかけると、慎導の姿が無くなり、灼と常守が探す。灼は、地下駐車場の車の中で、慎導が銃で自分の頭を撃ち、死亡しているのを発見する。
遺体安置所で、炯と舞子は輝の死を聞かされて泣き、父が死んだ灼も泣いていた。灼は常守に「何がどうなっているのか、分からないことが多すぎで頭が変になりそうだ」と言う。常守は「私も分からない。お父さんはあなたのためにやった」と言う。灼は「何だかそれを教えてくれよ」と言うと、常守は「自分で見つけるしかない」と言う。
砺波は、ピースブレイカーの独立国を宣言する。壬生局長は「彼らの最高指導者ジェネラルと話をした。極めて論理的思考の持ち主で、今後は我々の海外活動を支援する。代わりに北方列島の独立を認める」と言う。そして壬生局長は常守に「ストロンスカヤ文書を彼らに渡す役目をしてもらう。慎導のポストは君の物となる。すでに、公安局の立場を超えて動いているじゃないか」と言う。
常守は「砺波とピースブレイカーを逮捕する。参加は強制しない」と言う。一係全員と花城、狡噛も参加する。皆で作戦を考える。
須郷が、移動手段は心当たりがあると言う。霜月、雛河、六合塚、唐之杜はここで後方支援すると言う。雛河は、ピースブレイカーの通信機器の大元は移動しており、高高度疑似衛星ネットワークを利用した成層圏での飛行船だと言う。このシステムをハッキングして奪取すれば、ドミネーターの使用は可能になると言う。
常守は囮として、ストロンスカヤ文書を砺波まで持っていく役目で、狡噛が常守に「俺達が着くまで、無茶なことをするな」と言うと、常守は「約束できない。早く来て下さい」と言う。
ゴムボートで宜野座は狡噛に「俺やお前が常守をこの仕事に縛ってしまったと考える事がある。俺はあいつの盾になると決めた。俺ができる贖罪だ」と言う。狡噛も同感だと言う。狡噛に「何のために帰ってきたのか」聞くと、「他の誰かのためにもうちょっとマシなことができる気がした」と答える。宜野座は「ほんの少しまともになった」と言う。
狡噛、宜野座、花城は、須郷の国防軍の同僚だった猿飛が準備した潜水艦で、北方列島に向かう。猿飛は「須郷に借りが返せて嬉しい。実は慎導からの指示で既に準備をしていた」と教える。
狡噛、宜野座、花城は、潜水艦から小型潜水艇に乗り、北方列島の海岸に潜入する。
常守は、ストロンスカヤ文書を渡すために砺波に会う。砺波は、ストロンスカヤ文書はどこにあるか聞くと、常守は自分の脳のチップにあると言う。常守は、ジェネラルに会わせろと言う。
狡噛、宜野座、花城達はピースブレイカーに見つかり、戦闘状態になる。圧倒的な火力の差で、3人は苦戦する。花城は、ドミネーターが使えればいいのにと悔やむ。
地下のジェネラルを見せ、常守に砺波は「ジェネラルはシビュラシステムと同じAIだった。元はサイコ用ハザード対策の医療用AIとして作られた、シビュラの補助システムだ。それを仕様変更してジェネラルが作られた。俺たちを死ぬまで働かせる為に」と説明する。
常守は「なぜジェネラルから離れないのか」聞くと、砺波は「世界から貧富の格差をなくすために『システムによる絶対的な統治』を求めている」と言う。常守は砺波に「逮捕します」と言ってドミネーターを向ける。しかし、彼の犯罪係数は50未満で、執行対象ではなかった。
常守がドミネーターを起動させたことで、砺波のディバイダーも作動する。唐之杜は常守の位置を確認し、ハッキングを始める。
須郷がドローンを操縦して、ピースブレイカーの高高度気球型中継器ラファエルに接近し、雛河がハッキングを始める。ドローンは気球からレーザー攻撃を受け、交わす。雛河は須郷に、離れるとハッキングできないと教える。
砺波は常守に「船にストロンスカヤ文書が無かったので、博士の脳で代用したが、システムは
不完全だった。シビュラシステムが生まれたのは、世界が大混乱に陥ったから。その原因は貧富の格差であり、それは絶対的な力でしか是正できない。人を支配するのは全てを平等に裁定できるAIでなくてはいけない」と言う。
するとジェネラルが「通信システムのラファエルが不正アクセスを確認。エリア内の戦闘係数上昇中」と言う。砺波が気づき、常守と戦闘になる。砺波は常守の足を銃で撃つ。
花城は「これ以上進めない」といい、狡噛は「ドミネーターが使えるまであと少しの辛抱だ」と言う。戦闘員に憑依した砺波が襲いかかる。
須郷はラファエルのレーザー攻撃を交わし続けていた。やっと雛河がハッキングを完了し、ドミネーターが使えるようになる。狡噛と宜野座がドミネーターを使用し、目標を排除する。花城がデコンポーザーでエリア内の兵器を完全排除するが、一回使うと熱を持ってデコンポーザーがダウンする。
花城と宜野座が敵を抑えている間に、狡噛が常守の元へ向かう。通信システムがまだ動いており、制御できなく、ハッキングされると自壊システムが作動するように設定されている。霜月が壬生局長に会い、常守を公安局の為にここで死なせてはいけないと交渉する。
足を撃たれて動けない常守は、砺波に「あなたの神様にストロンスカヤ文書を正しいやり方で入れる」と言って、ストロンスカヤ文書を記録させたドミネーターをジェネラルに投げ込む。
ジェネラルは反応し「これより約束の地でシビュラシステムと一つになる。世界に正しき正義と秩序をもたらすでしょう。私は常にあなたと共に」と言う。シビュラシステムは医療用AIの不具合を調整、シビュラシステムの一部としてアップデートし、不要になった端末をシャットダウンする。
須郷はラファエルと戦っていたが、火力が足りず破壊できない。そこに霜月が「手は打った」と言う。すると猿飛の潜水艦が対艦ミサイルを発射し、ラファエルを破壊する。
ラファエルが墜落し、ピースブレイカー北方列島本拠地が爆発し、崩壊し始める。常守の頭に銃を押し付けた砺波の元に、狡噛が来る。砺波は常守を直ぐには殺さず、苦痛を味わえと言う。常守は「シビュラシステムは絶対じゃない。人とシステムは共生関係でなくてはならない。そうでなければ生きる価値を失う。その形こそ法律だ」と言う。砺波は「人はシビュラシステムの元でささやかな幸せを求めるだけで、正しさなど求めていない」と言う。狡噛が砺波の頭を撃ち、殺す。
常守は「二度と人殺しをさせないって言いましたよね」と言う。狡噛は「全て砺波の言う通りだ。それでも俺は正しさを求めるお前を信じる。俺も裁かれなければいけない」と言う。ヘリで全員脱出する。
ラウンドロビンでは、代銀遙熙と裁園寺莢子が「ようやく全てをシビュラが手に入れた。つまり我々のものになった。法斑は限界をきたしリタイア。次のコングレスマンが楽しみね」と言う。
常守はシビュラシステムに会う。シビュラシステムは「慎導と矢吹の指示によって、ピースブレイカー隊は他国に対し破壊活動を行ったその不正行為によって砺波の反乱を引き起こした。慎導の自白データが証拠となり証明された。慎導と矢吹の死亡をもって事件の調査を終了とする」と言う。
常守が「執行官の外部所移動には感謝している」と言うと、シビュラシステムは「狡噛はじきに行動課復帰の許可もおりる。あなたには慎導篤志の進んだ道を目指してもらいます」と言い、常守は公安局を辞める事になる。
収監されていた狡噛に、常守の手紙が届く。「ずっと悩んできた事があった。犯罪係数によって揺るがない議論のないシビュラ社会。今回の事件で、人には法が必要であると痛感した。だから私にしかできない形で正義を問うことにします。あなたのおかげでこの答えを出しました」と書いてあった。狡噛は「バカ野郎」と呟く。
常守は厚生省大臣官房統計本部長の任命式の場で、壬生局長を銃で撃つ。常守に霜月がドミネーターを向けると、犯罪経数は60未満で起動しない。常守は霜月に「一係をお願い」と言うが、霜月は「こんなの納得できません」と答える。
テレビのニュースで「常守が局長を殺したが、犯罪係数が低いままだ」と放送する。政府は法律の廃止を白紙にした。
収監された常守にシビュラシステムが「これがあなたの選択ですか？」と聞く。常守は「法律の廃止はさせない。これは人間だけじゃなくシビュラを守る糧になる。これが慎導や輝が守ろうとした物を救うはずだ」と答える。シビュラシステムは「面白い。あなたの行為がこの社会に何をもたらすのか、見せてもらいましょう」と言う。
常守は潜在犯隔離施設に入れられ、一人になると激しく泣き始める。
狡噛は解放され「必ず迎えに行く」と呟く。
（エンドクレジット）
（写真は「映画ｃｏｍ」より）
