『すずめの戸締まり』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 先日は『すずめの戸締まり』の「本編冒頭12分映像のネタバレのあらすじ」を掲載したが、11月8日(火)に試写会を見たので、その続きの「ネタバレの詳しいあらすじ」を掲載する。

監督:新海誠 2022年

主な登場人物:読み(声優)役柄

岩戸 鈴芽:いわと すずめ(原菜乃華/幼少期:三浦あかり)叔母と暮らす17歳の女子高校生。

岩戸 環:いわと たまき(深津絵里)鈴芽がまだ幼い頃から二人で暮らす、鈴芽の叔母。

岩戸 椿芽:いわと つばめ(花澤香菜)鈴芽の母親で環の姉。

宗像 草太:むなかた そうた(松村北斗)『閉じ師』として日本各地の扉を閉める旅をしている青年。

宗像 羊朗:むなかた ひつじろう(松本白鸚)東京の病院に入院中の草太の祖父で、『閉じ師』の師匠。

海部 千果:あまべ ちか(花瀬琴音)鈴芽が愛媛で出会った同い年の少女。家は民宿。

二ノ宮 ルミ:にのみや るみ(伊藤沙莉)鈴芽が神戸で出会うった二児の母でスナックのママ。

岡部 稔:おかべ みのる(染谷将太)漁協に勤めている環の同僚。彼女に片想いしている。

芹澤 朋也:せりざわ ともや(神木隆之介)草太の友人。愛車は赤色のオープンカーのスポーツカー。

ダイジン(山根あん)扉が存在する場所に現れては鈴芽達を翻弄する、人間の言葉を話す謎の白い猫。

 

 幼い少女が廃墟で母親を探している。そこに女性がやって来る。

 それは岩戸鈴芽の夢だった。鈴芽は叔母の岩戸環と暮らしていた。鈴芽は自転車で登校する。

その途中、青年(宗像草太)に「この辺りに廃墟はない?扉を探している」と聞かれ、「人の住まなくなった集落なら、あっちの山にあります」と教える。

 鈴芽は遮断機が下りた踏切で会った同級生の絢に、顔が赤いと言われ、道を引き返す。山の中の廃墟の「門波リゾート」に行き、先ほどの青年を探す。

廃墟のホールのような水がたまった場所の中央に扉を見つけ、開けると、その向こうに別の世界の夜空の草原が広がっていた。扉を通ると元の水たまりで、後ろの扉の向こうには、また夜空の草原が広がっていた。鈴芽が何度か扉を通るが、結果は同じ。

 鈴芽が水たまりの中に動物の形の置物を見つけ、手に取ると、いつの間にか白い動物に変わり、逃げて行った。恐ろしくなった鈴芽は帰る。

 鈴芽は昼頃、学校に登校する。同級生と一緒に環が作った弁当を食べる。鈴芽が窓の外を見ると、山から煙が出ていたが、同級生には見えない。すると携帯電話に「緊急地震速報。震度4」の通知が来る。教室が揺れるが、大した揺れではなかった。鈴芽は山の煙が異様な形になるのを見るが、やはり同級生には見えていない。

 すずめは自転車で、急いで廃墟に行く。先ほどの開いた扉から煙のような異様な物が出ていた。青年が必死に扉を閉めようとしていたが、煙の勢いに負けそうだった。青年は「ここから離れろ」と叫ぶ。青年は扉に弾き飛ばされる。水たまりから光の糸のような物が伸び、青年は「これはまずい」と叫ぶ。

 煙のような物は町を包む。また「緊急地震速報」が鳴り、先ほどより大きい振れが襲う。青年は落下してきた建物の破片から鈴芽を守って腕をケガする。青年は「ここから離れろ」と言って、再び扉を閉めようとする。意を決した鈴芽も一緒に扉を押す。

 青年が祝詞「かけまくもかしこき日不見の神よ。遠つ御祖の産土よ。久しく拝領つかまつったこの山河、かしこみかしこみ、謹んでお返し申す」と唱えると、鈴芽に人々の声が聞こえる。青年は扉を閉めると「お返し申す」と言って鍵をかける。

元の風景が戻る。

 (タイトル『すずめの戸締まり』)

 鈴芽は今のは何かと聞くと、青年は「要石の封印が解かれて、ミミズが後ろ戸から出てきた。君は見えるのか?」と答える。

 2人が道を歩くと、町は建物が壊れるなど、地震の被害を受けていた。鈴芽は家に青年を連れてくる。青年は鈴芽の部屋で、足が3本しかない子供用の木製の椅子に座る。テレビで地震のニュースを報道していた。鈴芽は救急箱で青年のケガの手当てをする。青年は宗像草太と名乗り、「ミミズは日本列島の地下にあって、地震などの災害をもたらす。後ろ戸に鍵をかけて一時的に閉じ込めたが、要石で封印しないと、またどこからか出てくる」と話す。

 窓の外に、お腹が空いている白い子猫が現れ、鈴芽は煮干しを与える。白猫は「鈴芽は優しい。お前は邪魔」と人間の言葉を話し、青年を椅子に封じ込める。

 白猫は窓から逃げ、椅子になった草太が追いかける。鈴芽も玄関から出ると環に会うが、理由を話せずに追いかける。白猫を追いかける椅子を、通行人がスマホで撮る。白猫と椅子はフェリーに乗り、鈴芽も乗る。

 鈴芽が探すと、甲板で椅子の草太が白猫に「俺の体に何をした?」と対峙していた。白猫は隣を航行していた船に飛び移る。このフェリーは愛媛行きだった。

 鈴芽は船から環に「絢の家に泊まる。明日帰る」と電話する。環は「変な男と付き合っていない?」と心配する。

 鈴芽は自販機から飲み物とパンを買ってくるが、草太は食べない。草太は「廃墟の要石を君が抜いたのか?あいつが要石で、俺が呪われた。俺は『閉じ師』で、開いた後ろ戸を閉める役目。猫を捕まえて要石に戻して後ろ戸を封じれば、俺は戻れるはず」と言う。

 鈴芽は夢を見る。幼い鈴芽は絵日記をクレヨンで真っ黒に塗る。母親を探し回り、雪の中の扉を開ける。

 鈴芽は目覚めると、フェリーは港に着く。鈴芽は、寝ている椅子の草太を持って下船する。草太が目覚める。ここは愛媛で、SNSを見ると白猫は「ダイジン」の名で投稿され、移動していた。「動く椅子」も投稿されていた。鈴芽は椅子の草太と、ダイジンを追って列車に乗る。

 鈴芽が椅子の草太を持って坂道を歩いていると、先に行ったバイクの荷台から、ミカンが落ちて転がってくる。椅子の草太は道の脇の畑の網を道路に張り、転がってきたミカンを受け止める。バイクの少女、高校2年の海部千果は鈴芽に感謝する。鈴芽は猫を探していると話す。

 鈴芽は、近くの山からミミズが出ているのを見つける。千果は、山崩れで放棄された集落があると教える。鈴芽と椅子の草太は、千果のオートバイに乗せてもらい、近くまで行く。草太は「ミミズが地上に倒れる前に扉を閉める」と言う。

 ミミズは廃墟の中学校の昇降口から出ていた。椅子の草太は扉をうまく締められない。鈴芽が来て、一緒に扉を閉める。草太は「君が鍵をかけろ。目を閉じて、住んでいた人のことを考えると鍵穴が出てくる」と頼む。草太が祝詞をあげると、生徒たちの姿が見える。鍵穴が現れ、「お返し申す」と草太が言い、鈴芽が鍵をかける。ミミズは消滅する。

 草太は「地震を防いだ」と喜ぶ。ダイジンが現れ「後ろ戸はまた開くよ」と言う。

 鈴芽は、千果の家の民宿に泊めてもらう。鈴芽が環に電話すると「絢の家に泊まるのは噓だったでしょ。帰ると言ったのに、帰ってこない。今夜、泊まる場所を教えて」と心配する。鈴芽は電話を切る。

 千果が食事を持ってきて、鈴芽と一緒に食べる。鈴芽は、泊めてもらったことを感謝する。鈴芽は「電話の相手は叔母で、私が大切な時間を奪った」と話す。千果は「それは元カレの言葉」とからかう。

 仲良くなった二人は、風呂場の掃除をしながら語る。千果は「うちが通っていた中学校に久しぶりに行った。何をしていたの?椅子は何?」と尋ねる。鈴芽は「椅子はお母さんの形見」と答える。千果は「あなたは魔法使いみたい」と言う。

 次の朝、草太は寝ていた。鈴芽が「寝起きの悪い人がいる」と言うと、千果は「キスすると良い」と言う。テレビではダイジンが明石大橋を渡っていると放送していた。鈴芽目覚めない椅子の草太にキスしようとすると、草太が目覚める。

 千果は鈴芽に、私服と椅子を入れる鞄をあげる。鈴芽が「神戸へ」ヒッチハイクするが、車が止まらない。雨が降って来たので、バス停に雨宿りする。草太が「椅子の足が3本しかないのか?」と聞くと、鈴芽は「見つけた時は3本だった」と言う。

 バス停の前に二ノ宮ルミの車が停まり、実家が神戸なので乗るように誘う。後部座席の2人の子供は、鞄の中の椅子に興味を持つ。ジュースをこぼすと、椅子が動いたので不思議がる。

 子供の託児所が急に閉園になったと連絡が届き、ルミは鈴芽に子守を頼む。ルミは1階のスナックのママだった。2階の自宅で鈴芽が子守をするが、非常に大変だった。子供たちは動いてしゃべる椅子に興味を持ち、乗って遊ぶ。

 職場で環は、鈴芽がどこにいるか心配する。同僚の岡部稔が教え、鈴芽の「お財布携帯」の履歴を見ると、神戸にいることが分かる。明日、環は鈴芽を探しに行く事にする。

 スナックはいつもより混み、ルミは鈴芽に手伝うように言う。鈴芽は食器を洗い、グラスを出し、ボトルを出し、と手伝う。鈴芽は、ダイジンが店の椅子の上にいるのに気付く。女性店員のミキさんに聞くと、ダイジンが人間に見えていた。ダイジンが店から出ていくので、鈴芽も追い、草太を呼ぶ。ダイジンは山の上の廃園になった遊園地からミミズが出ていると教える。

 鈴芽と草太が廃園になった「神戸ゆめの国」に行くと、観覧車の扉からミミズが出ていた。草太がダイジンを追い、鈴芽が扉を閉めて鍵をかける事にする。

 草太はジェットコースターのレールにいたダイジンを追い、「元の姿に戻してもらう」と言うが、レールから落ちて配電盤のスイッチを押してしまう。

 鈴芽は観覧車の扉を閉めようと必死だったが、観覧車が動き出したので、外側の踏み台に乗る。鈴芽は扉の内側に、幼い鈴女が女性から椅子をもらう風景を見て、観覧車の中に入る。それを見た草太は「入っちゃだめだ。落ちる」と言って、観覧車の骨組みに飛び乗り、鈴芽に向かう。草太が祝詞をあげると、観覧車の中に観客の姿が見える。2人で扉を閉め、草太が祝詞をあげ、出現した鍵穴に鈴芽が鍵を差し込んで閉める。

 ダイジンは逃げた。草太は鈴芽を誉め、「後ろ戸の中に何を見た?」と聞く。鈴芽は「美しい光と草原」と答えると、草太は「常世だ。行ってはいけない場所」と教える。

 鈴芽がルミの店に戻ると、ルミが「こんな遅くまで何をしていた?」と心配していた。ルミと鈴芽とミキとで焼きうどんを作って食べる。鈴芽は草太の椅子に座る。

 店のソファーで鈴芽と草太が寝る。草太は「大学生で、教員を目指している。『閉じ師』は代々続く仕事だが、食っていけない」と話すと倒れる。

 草太の体と心は消えかけ、寒かった。草太の前には扉があった。草太の足から凍り始め「ここが俺のいきつく先か」と諦めると、扉を開けて鈴芽がやってくる。

 鈴芽が椅子にキスすると、草太が目覚め「今俺に何をした?」と聞く。SNSを見ると、ダイジンは東京の雷門にいた。鈴芽と草太はルミに神戸駅まで送ってもらい、新幹線で東京に向かう。LINEをチェックすると、環から55件もメールが来ていて「迎えに行く」とあった。

 途中、寝ていて富士山を見逃し、東京駅に着く。草太は自分のアパートの部屋に鈴芽を連れていく。部屋の鍵を預けているコンビの定員が「草太は、いつ旅行から帰ってくる?」と心配する。

 部屋の本棚の上の段ボール箱を、椅子の草太に乗って鈴芽が取る。中の古文書にミミズの絵が描いてあり、草太は「要石は西の柱と東の柱があり、ミミズが移動するので時代によって場所が違う。1つはダイジン、もう1つは東京にある。正確な場所を知りたい。100年前に開いて大災害を起こした。ダイジンはそれを開けようとしている。場所は祖父ちゃんにくくしかない」と話す。

 部屋に草太の友人の芹澤朋也が来たので、鈴芽は従妹だと誤魔化す。芹澤は「昨日、教員採用試験の2次試験だったが、草太が会場に来なかった」と話して帰る。

 緊急地震速報が鳴る。外を見ると近くでミミズが出ていた。草太は「今日こそ、要石を戻して、俺は元に戻る」。鈴芽と草太が出かけると、ダイジンが現れる。草太が「体を元に戻せ」と言うと、ダイジンは「無理」と言う。

 地下鉄のトンネルの出口からミミズが出ていた。鈴芽はどうやって行けばいいか悩む。緊急地震速報が鳴る。草太は「2つ目の要石が抜けたんだ。ミミズの全身が出てくる」と言って、ミミズに向かって飛ぶ。鈴芽も線路に向かって飛び降りる。草太が鈴芽をつかんで飛ぶ。

 草太と鈴芽はミミズの上に乗るが、鈴芽が落ちる。草太が鈴芽を助け、ミミズの上に乗る。ミミズの大きな渦が東京の上空を覆っていく。草太は「もう、要石を置く時間がない」と言う。ダイジンが「地震が起きるよ。たくさん人が死ぬ」と言う。草太が「要石に戻って」と言うと、ダイジンは「ダイジンは要石じゃない」と答える。草太の体が凍っていき「俺に要石の役目が映っていた」と気付く。椅子の草太は完全に凍る。

 ダイジンが「要石をミミズに差し込め」と言うが,鈴芽が「できない。どうすればいいの?」と嘆く。ダイジンは「人がいっぱい死ぬよ」と言う。東京の人々の生活が映る。

 鈴芽が要石になった草太をミミズに刺す。ミミズは消滅し、オーロラのような光が空に出る。落下した鈴芽を、ダイジンが巨大化して包んで衝撃を防ぎ、川に落ちる。

 鈴芽の母が木を切って組み立て、幼い鈴芽専用の椅子を作ってプレゼントする。鈴芽は「一生大切にする」と喜ぶ。

 鈴芽は東京の地下で目覚める。スマホの電池が切れていた。奥に東京の後ろ戸があり、草太の要石がミミズに刺さっていた。鈴芽は常世に入ろうとするが、通過するだけで入れない。

 ダイジンが現れ、鈴芽が「草太さんを返して」と頼むが、「人じゃないよ」と答える。ダイジンが「僕のこと好きじゃないの?」と聞くと、鈴芽は「大嫌い」と答える。鈴芽は「絶対助けに来るから」と言って、後ろ戸に鍵を閉めて帰る。鈴芽は、道路のトンネルの非常口から外に出る。

 靴も履かず、服もボロボロの鈴芽は、草太の祖父の宗像羊朗の病室に行く。羊朗は「草太はしくじったな。あなたを巻き込んだ?孫はどうなった?」と聞く。鈴芽は「要石になった。常世に入る方法を知りたい」と聞く。羊朗は「孫を刺さなかったら、100万人が死んでいた。元居たところへ帰れ」と言う。鈴芽が「後ろ戸を開けて入る」と言うと「前に常世に入ったな。入れる後ろ戸は1つだけだ。その時の後ろ戸を探すことだ」と教える。

 病室の窓にダイジンが現れ、羊朗が「久しゅうございます。抜けましたか。よろしくお頼み申す」と話しかける。

 鈴芽は草太のアパートに帰り、体を洗い、制服を着て、髪を結う。草太のブーツを借りて部屋を出る。

 道に出ると、赤いオープンカーに乗った芹澤が「どれだけ探したことか。草太の所へ行くんだろう。連れていく」と鈴芽に話しかける。すると駅から出てきた環も鈴芽を見つけ「どれだけ探したことか。これが付き合っている男?帰ろう」と鈴芽を連れて行こうとする。鈴芽は車に乗ると、環も乗ってくる。ダイジンも後部座席に乗っていた。

 鈴芽はカーナビを操作し、ここに連れて行くように頼み、後部座席に乗る。芹澤は「今日中に戻れない」と嘆き、『ルージュの伝言』を流しながら車を進める。助手席の環は「鈴芽は姉が死んで、4歳の鈴芽を引き取った。母を探して迷子になった時があった」と教える。

 雪の中に4歳の鈴芽を環が見つけ「迎えに来るのが遅くなってごめん。私の子供になろう」と話しかける。

 環は「12年ぶりの里帰り」と言う。芹澤は「草太に貸していた2万円を回収しなければ」と言う。車は福島県内の、無人の避難区域を通過する。

 緊急地震速報が鳴り、鈴芽は車を止めて、丘に登って見渡すが、ミミズは出ていなかった。「草太さんが抑えているんだ」と安心する。鈴芽はダイジンに「要石は誰にもなれる?」と尋ねる。芹澤は「半分来たかな」と教え、タバコを吸う。鈴芽は「早くいかなきゃ」とせかす。芹澤は「闇の深い一家だな」とぼやく。

 芹澤は『夢の中へ』を流して車を進める。雨が降ってきたので、芹澤はオープンカーの屋根を閉めるが、途中で止まる。道の駅で休憩する。芦澤と環は食事する。

 環は稔に電話し場所を教えると、稔は駐車場に東京行の高速バスが停まっているので、帰って来いという。

 環は「実家に行きたい理由を話して」と迫り、鈴芽は「扉を閉める」と言うが、それ以上説明できない。環が「みんなに迷惑をかけて。どんなに心配したか」と言う。鈴芽は「それが重い」と突っぱねる。環は「私も10年間、鈴芽に尽くしてしんどい。子連れで婚活できなかった。人生割に合わない」と本音を言う。鈴芽も「来たくなかった。私の子供になってと言ったくせに」と反発し、環は「人生を返して」と言って倒れる。鈴芽は「お前は誰だ?」と言う。

 環の後ろに大きな黒猫がいて「サダイジン」と名乗る。黒猫はダイジンと一緒に車に乗る。環の気が付き「私ちょっとおかしいみたい。何で言ったのか」と泣く。芹澤が「闇が深い一家だな」とぼやく。音楽を流して車を進める。

 芹澤は後部座席の黒猫を見て「1匹増えるとは。猫は理由なくついてこない。よほどやってほしいことがある」と言うと、黒猫が「そうだよ」と答える。それを聞いた芹澤は驚き、運転を誤って車が路肩から落ち、車が壊れる。

 鈴芽は走っていくと言い、芹澤はカーナビを見て、目標地点まであと20kmと教える。環は落ちていた自転車に乗って、鈴芽を追いかける。

 環は鈴芽と2匹の猫を乗せて自転車をこぐ。環は「ようするに好きな人の所に行くんでしょ。この猫は何?」と聞く。鈴芽は「神様みたいなもの」と教える。環はさっき言ったことを謝る。

 鈴芽の家の跡地に着く。環は「12年ぶりの里帰りね」と言う。鈴芽は「ただいま」と言って跡地に入り、穴を掘って缶を掘り出す。缶の中から日記帳を取り出す。鈴芽はあの時の記憶はないと言って、絵日記を見ると、3月11日のページは真っ黒に塗り潰されてあった。鈴芽は大津波警報が出て、「お母さんを知りませんか」と探し回った事を思い出す。

 草原で女性に会った絵日記があり「夢じゃなかった」と喜ぶ。日記に描かれた電波塔の付近を探すと、ダイジンが草むらにあった扉を見つける。鈴芽は「今まで後ろ戸の場所に案内してくれたの?」と感謝する。ダイジンは「行こう」と言う。環が「どこへ?」と聞くと、鈴芽は「好きな人の所へ」と言って、扉をくぐる。

 常世の地面が燃えていた。黒猫のサダイジンは巨大な猫に変身してミミズを襲う。小山の上に椅子になった草太がいた。鈴芽はミミズから落ち、ダイジンが鈴芽に取り付いてクッションになる。サダイジンが戦っている中、鈴芽が廃墟を進む。地面が凍っている。鈴芽は「私が要石になる」と言って、小山の上の椅子になった草太を引き抜こうとする。ダイジンも手伝う。鈴芽は過去を思い出す

 扉の前で凍っている草太は「君に会えたのに消えたくない。もっと生きたい」と言う。鈴芽は「私だってもっと生きたいし、死ぬのは怖いよ」と言って、椅子にキスする。鈴芽は扉を開けて出てきて、草太に手を伸ばす。凍った草太は解け、椅子の姿が人間に戻る。

 ダイジンは「鈴芽の手で元に戻して」と言って、元の動物の形の要石になる。ミミズは後ろ戸から外に出ようとし、サダイジンが噛みつく。草太は鈴芽に「ついてきて」と言うと、打ち上げられた漁船に登って、祝詞を上げる。廃墟は震災前の町並みの朝になり、町の人々が「行ってきます」「行ってらっしゃい」と挨拶を交わす。

 草太は「命は仮初め。死はとなりに。今一時だけでも永らえたい。どうかお頼み申す」と祝詞を上げる。サダイジンが来て要石になる。草太と鈴芽は、サダイジンとダイジンの要石を、同時にミミズの両端に刺す。ミミズは弾けて土に戻る。

 草太が鈴芽を起こす。鈴芽は元に戻った椅子を拾う。丘の草原に幼い鈴芽がいて、鈴芽が「私、行かなきゃ」と言って向かう。幼い鈴芽は、高校生の鈴芽を見て「お母さん?」と呼びかけるが、母でないことに気づき「お母さんを早く探さないと。お母さんを知らない?」と焦った様子で問いかける。高校生の鈴芽は幼い鈴芽に椅子を渡し「今はどんなに悲しくても、鈴芽は大きくなるの。未来なんて怖くない。たくさんの人と接し、いつか朝が来る」と教える。幼い鈴芽は「お姉ちゃんは誰?」と聞く。高校生の鈴芽は「鈴芽の明日」と教える。

 幼い鈴芽の前に扉があり、開けると灰色の現実の世界が広がっていた。幼い鈴芽は椅子を持って扉をくぐる。高校生の鈴芽は、扉を閉めて鍵をかける。鈴芽は「私は忘れていた。大事な物は全部、ずっと前から貰っていた」と気づき、「行ってきます」と言う。

 (タイトル『鈴芽の戸締まり』。エンディング)

 鈴芽は環と芹澤が待っている場所に戻る。芹澤は鈴芽に「2万円借りているのは俺の方」と教える。

 草太は「戸を閉めながら帰る」と言って、一人で列車に乗って帰る。草太は鈴芽に「俺を救ってくれてありがとう。必ず会いに行く」と約束する。

 鈴芽と環は、芹澤の応急修理をしたオープンカーで東京まで帰る。東京駅で芹澤と握手して別れる。途中で神戸のルミ、愛媛の千果の家に寄り、お土産を渡す。フェリーで宮崎に戻ると、稔が迎えに来る。

 鈴芽は介護師になる勉強をする。冬服とマフラーをした鈴芽が、自転車で登校しようと坂道を下ると、向こうから草太が歩いて来るのが見えた。鈴芽は自転車を停め、「お帰り」と言って迎える。

(写真は「映画com」より)