『ガリレオ 禁断の魔術』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

アンパンマン先生の映画講座

映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 演出:三橋利行 2022年  原作:東野圭吾『禁断の魔術』(文春文庫)

【帝都大学関係者】

湯川学:ゆかわまなぶ(福山雅治)帝都大学理工学部物理学科准教授。

栗林宏美:くりばやしひろみ(渡辺いっけい)湯川の助手。

【警察関係者】

草薙俊平:くさなぎしゅんぺい(北村一輝)警視庁捜査一課刑事。

牧村朋佳:まきむらともか(新木優子)警視庁捜査一課刑事。若手女性刑事。草薙の部下。

太田川稔:おおたがわみのる(澤部佑)警視庁捜査一課刑事。草薙の部下。

【古柴関係者】

古芝伸吾:こしば しんご(村上虹郎)帝都大学医学部の新入生。高校時代は物理研究会に所属。

古芝秋穂:こしば あきほ(朝倉あき)伸吾の姉。新聞社「明生新聞」の政治部社員。

倉坂由里奈:くらさか ゆりな(森七菜)町工場「クラサカ工機」の娘で高校生。

【スーパーテクノポリス(ST)計画反対派】

長岡修:ながおか おさむ(平原テツ)フリーライター。反対運動の中心的人物。自宅で殺害される。

勝田幹生:かつたみきお(越村友一)きのこのレストラン「ボタニアン」を運営。ST計画反対波。

米村幸三:よねむらこうぞう(中村歌昇)反対派。

【スーパーテクノポリス(ST)計画賛成派】

大賀仁策:おおが じんさく(鈴木浩介)代議士。元文部科学大臣。ST計画の発案者。

鵜飼和郎:うかい かずろう(中村雅俊)大賀の秘書。

 

 4月。帝都大学に入学した古芝伸吾は、湯川に会いに講義室行くが、その日は栗林が講義をしていた。古柴は黒板に書かれた数式のミスを指摘する。古芝は研究室に行くが湯川はいなかった。湯川は体育館で竜巻の再現実験をしていたが、失敗だと言ってやり直す。

 実験中の湯川に古柴が挨拶する。湯川は、古芝が医学部に入学したのは意外だと言う。古柴は「科学は人を豊かにしたのか?科学を発展させた最大の原動力は戦争だ」と核兵器を例に言う。湯川も「科学技術は良い事ばかりに使われるわけではない。邪悪な人間の手に渡れば、それは禁断の魔術だ。科学者はそれを忘れてはならない」と賛同する。

 湯川の実験を見学した後、古柴が姉の携帯に電話すると、麻布台警察が出た。

 〔4か月後、2018年8月〕

 多摩川辺で若いカップルが釣りをしていると、止めていたバイクが突然爆発する。

 〔1か月後、2018年9月20日〕

 湯川の実験室にフリーライターの長岡が訪ねてくる。

 その長岡が殺された。現場に草薙と太田川、牧村が来る。被害者は長岡修38歳。死因は後頭部を一撃。凶器は灰皿。財布や携帯など金目の物が無くなっていた。太田川は強盗だと言うが、牧村は「指紋が拭き取られている。強盗に見せかけた、顔見知りの衝動による犯行だ」と意見する。草薙が机の引き出しにあった長岡のSDカードを見つけ、パソコンで調べると9月8日のファイルがあった。

 警視庁貝塚北警察署で捜査会議が行われる。長岡は、スーパーテクノポリス計画について取材をしていた。通称ST計画と呼ばれ、茨城県光原市に先端科学技術の拠点を造ろうという国の公共事情だ。発案者は元文部科学大臣の大賀仁策。長岡は光原市の出身でST計画の反対運動の中心人物だった。SDカードの動画は、撮影された倉庫の場所は特定できたが、現象は解明されていなかった。1か月前に近くで似たような事件があり、多摩川の河川敷に止めていたバイクが突然炎上し、燃料タンクに穴が開いていた。

 牧村は草薙に頼んで、一緒に湯川の研究室に行く。長岡のSDカードの動画を湯川と栗林が見る。倉庫の壁に突然穴が開く。それを見た栗林は何か言いそうになるが、湯川が遮る。現場には弾痕や銃器を使った形跡はなかった。レーザーでもない。湯川は動画の入手先を尋ねる。殺された長岡の物だと聞き、栗林はうろたえる。草薙は1か月前も同様の事件があり、バイクに突然直径3㎝の穴が開いたと話す。

 湯川は現場に向かう。栗原はボールペンの「光原の自然を守る会」の文字を見る。

 (タイトル『ガリレオ 禁断の魔術』

バイクが爆発した場所に行く。現場には丸印が書かれた板があった。湯川はいつもより協力的で、対岸を眺める。

 次に、映像が撮影された、壁に穴が開いた倉庫へ行く。湯川は破片を調べ、ポケットに入れる。牧村は銃器の痕跡はなく、1km先の対岸から打つのも可能だが、大掛かりなものになると説明する。草薙が「どうしたら穴が開くと思う?」と聞くと、湯川は「一度検証させてもらう」と答え、帰る。

 湯川は、古芝伸吾に電話を掛けるが、電源が入っていなかった。

 光原市に太田川と牧村が捜査に行く。スーパーテクノポリス計画に反対している勝田幹夫と米村幸三は、光原市は天然の食材が豊富で、大規模な開発で自然が破壊されてしまう、と語る。さらに、放射線物質を扱う工事が強引に始まってしまい、長岡は光原を守ろうと活動していた。米村は、長岡が事件の3日前、湯川に取材をしていたと分かる。

 草薙は牧村からその情報を聞き、湯川はなぜ隠していたのかと疑問を持つ。草薙は五十嵐に、長岡と湯川の関係を調べるように指示する。

 研究室で湯川は、派遣を顕微鏡で調べる。栗林は湯川に、長岡が訪ねてきた事と、動画の現象が何か、警察に黙っていた理由を聞く。湯川は、聞かれなかったからと答え、出かける。栗林は「光原の自然を守る会」のボールペンを隠す。

 太田川と牧村は、大賀に聞き込みに行く。太田川は牧村に、偉い政治家に聞き込みをするには手順が必要だと言いハラハラする。

 秘書の鵜飼が応対し、大賀は長岡の事は知らないと回答する。牧村は鵜飼に、大賀に直接会って話した太田川が止める。鵜飼は、証拠がなく、疑ってはいけないと文句を言う。

 牧村は大賀の講演を聞く。太田川は「知らない」とは「とっとと帰れ」と言う意味だという。鵜飼は「勝手なことをされては困る」と電話する。大賀に掲示のことを聞かれ、鵜飼は問題ないと答える。

 湯川は、大学の「学生課」に問い合わせると、古芝が5月に自主退学をして、クラサカ工機に就職したと知る。

 湯川はクラサカ工機に行く。社長の倉坂達夫の娘の倉坂由里奈が古芝は辞め、退社後何をしているかも知らないと教える。湯川は由里奈に「古芝から連絡があったら、帝都大学の湯川が会いたがっていた。」と「警察が来ても僕が来たことは言わないでほしい」と頼む。

 湯川は古芝が卒業した統和高校の物理科学研究会に行く。部員の一人が、古芝は5月頃に来て実験装置を持って帰った。姉が死んで大学を辞めて就職しなければいけなくなった、と言っていた。

 草薙は牧村が大賀にアポなしで事情聴取した件で、上からストップがかかったと教える。なた、湯川も慎重に調べる必要があると、止める。草薙は牧野に、長岡の携帯の発信履歴から調べるように頼む。

 由里奈は、古芝のことを思い出す。由里奈が工場でテスト勉強をしているとき、古芝が教えてくれた。それから、由里奈は古芝に勉強を教えてもらうようになった。ある夜、由里奈は古芝が泣いているのを見かける。

 太田川と牧村がクラサカ工機に来て、工員と由里奈に、長岡の写真を見せて知らないか尋ねる。太田川は、9月12日に長岡がクラサカ工機に電話をかけてきたので、誰が対応したか聞く。一人の行員が電話を受け取り、長岡が古柴の所在を確かめたと答える。

 捜査会議で牧村が説明する。古芝伸吾19歳。母は5歳の時に死に、父は4年前に事故で他界。今年の4月に姉の秋穂が病死。その後大学を辞め、クラサカ工機に就職。9月25日にとつぜん退職。それは、長岡が殺された2日後。事件前日、古柴が長岡と言い争っているのが目撃されている。古芝は湯川と同じ高校を卒業し、帝都大学の生徒だったと草薙が知り、湯川に話を聞く事にする。

 草薙と牧村が大学の研究室に行き、湯川に古芝のことを聞くが、湯川は答えようとしない。草薙は湯川に、長岡と会っていたのではないかと尋ねる。湯川は「僕は疑われているのか?」と尋ね、捜査の協力はするが、事情聴取は受けないと答える。

 栗林の態度がおかしい。机の引き出しには「光原の自然を守る会」のボールペンがあった。防犯カメラの映像を確認すると、9月20日に長岡が湯川を訪ねていたと判明する。草薙は古柴慎吾を徹底的に洗うと牧村に言う。

 警察署で、牧村は太田川に古芝の姉の秋穂の死がおかしいという。秋穂はホテルで遺体が発見され、死因は卵管破裂による失血死だが、妊娠していた相手はわからない。秋穂は新聞記者でスーパーテクノポリス計画の取材をしていた。

 牧村と太田川はホテルに行く。従業員の話から、誰かと待ち合わせをしていた様子だった。従業員から、別の日に秋穂が長岡と話していたという証言を得る。

 草薙は古芝の高校に行く。先生の話では、古芝が3年生のとき物理研究会が1人になってしまい、廃部にならないために、OBの湯川に力を借りた。新入生歓迎会で面白い実験をやったために、部は今でも存続していると言う。先生は、古芝も湯川も教え子で、古芝に科学を教える湯川は楽しそうだったと話す。

 この時、湯川は、古柴伸吾の家で夕飯に姉の秋穂の手料理を食べる。亡くなった父も科学者だった。「科学を制する者は世界を制する」が古芝の父の口癖だった。湯川は「科学を発展させた最大の原動力は、世界を豊かにする探求心。希望だと思っている」と話す。

 草薙が研究室にくる。湯川が入れたインスタントコーヒーを飲みながら、草薙は高校に行ってきたと教え、本当のことを話してほしいと言う。湯川は、古芝が最初から事件に関わっていたと知っていたと言う。9月20日、長岡が研修室にやって来て動画を見せ、古芝が作ったと言った。湯川が古柴に高校で教えた装置、レールガンを使った物だ。湯川はレールガンの仕組みを、ローレンツ力を使った物だと長岡に説明する。その時、長岡のボールペンのインクが切れ、栗林に借りた。

 同じことを草薙にも説明する。レールガンは1キロ離れた目的物も撃つことができると言う。現場で発射体に使った思われるプロジェクタイルの破片を発見したので、倉庫の穴はレールガンに間違いないと教える。長岡から「この道具で人を殺すことは可能か」と訊ねられ、「総重量は100㎏ほどになり、機動性がなく、動いている人間を撃つのは無理。止まっている人間だったらナイフを使った方がいい」と答えた。湯川は草薙に、レールガンは武器でない。実験道具だ。古柴は殺人事件と関係ない。倉庫やバイクで実験を行っていた。と話す。

 草薙は「4月に古柴の姉が死んだが、待ち合わせをした相手に見殺しにされた可能性がある。相手は長岡かもしれない。古柴は長岡を恨んでいたかもしれない」と話す。湯川が「憶測にすぎない」と言う。草薙は「どうして古柴は失踪したのか?どうして前日、長岡ともめていた?」と聞く。湯川は「古柴は科学を殺人の道具に使うのは、絶対にあり得ない」と言う。草薙は「人は変わる」と話す。湯川は部屋を出ていく。

 由里奈に古柴から電話が来る。由里奈は警察と湯川が来たことを教え、長岡を殺したのか聞くと、古柴は「これで最後だ」という。由里奈は「もうあきらめて」と頼む。

大学の庭で栗林は湯川に、自分のせいで長岡が来たのがばれた事を謝る。栗林は長岡のことで気になる事があると言う。長岡にペンを貸したとき、内ポケットに別のペンを持っているのに、ペンを「貸してくれ」と言ったのを疑問に思ったと話す。

 湯川は「仮説を実証したい」と、牧村と一緒に長岡の部屋に行く。机の上にそのペンを見つける。

 牧村は捜査本部に行き、「犯人が分かりました」と言う。そのペンはボイスレコーダーだった。9月23日21時34分の死亡推定時刻に録音されていたファイルを再生すると、長岡が殺される瞬間が録音されており、犯人の声は勝田だった。

 勝田を太田川と牧村が調べる。あの日長岡に呼ばれていくと、長岡が大賀を潰せるネタを手に入れ、記事にすると言う。勝田の店は経営がうまくいかず多額の借金をしており、反対派の情報を鵜飼に流して金を貰っていた。記事を出してしまったらお金にならないが、情報を渡すと金になると思い、とっさに、長岡を灰皿で殴ったという。この時の情報は鵜飼に渡していた。

 牧野と草薙は湯川に報告する。長岡が掴んでいた情報は、大賀の不倫関係で、相手は古柴秋穗だった。秋穗を見殺しにしたのは大賀だった。長岡は秋穂と大賀のメールのやりとりを入手していた。

 湯川がなぜ大賀を逮捕しないと聞くと、草薙は「勝田の証言だけでは犯罪を立証できない」と言う。

 長岡を殺した班員が見つかって、この事件は解決と思われたが、湯川は、まだ何も終わっていないという。なぜ古柴はレールガンを作った?なぜ長岡ともめていた?なぜ行方をくらませている?草薙は「古柴は、一般人が近づけない大賀を狙うためにレールガンを作った」と言う。牧村も「長岡が動画を見せに来たのは、殺害が実現可能か聞くため。長岡は古柴が止めようとしたが、失敗した。記事を急いで出そうとしたのも、事件を阻止するためだった」と考える。草薙は「古柴が行方をくらませているのは、まだ復讐をあきらめていないからだ」と考える。

 湯川は「長岡はどうして古芝の復讐計画に気付くことができたのか?長岡が入手した不倫の証拠や、動画をだれが渡したのか?もうひとり、復讐計画を知る人間がいる」と言う。

 湯川に牧村は、どうして由里奈が知っていると思うのか尋ねる。湯川は「僕が訪ねた時、警察ですか?と言った。彼女は古柴が犯罪に手を染めようとしている事を知っていた」と言う。

 湯川と牧村はクラサカ工機に行き、由里奈に「長岡を殺したのは古柴ではない」「古柴はお姉さんの復讐を計画している」と教える。湯川は「僕たちは、彼に過ちを犯させたくない」と話す。

 由里奈は、昨日、古柴から連絡があり「地鎮祭で大賀殺す」と言っていたと教える。由里奈は二人に古柴を止めるように頼む。

 由里奈は工場で、古芝がレールガンで鉄板に穴を開けるのを見た。古芝は、見た事は誰にも言わないでほしい、と頼む。そして、姉が大賀に見殺しにされた事、復讐計画を話した。

 その後、由里奈は長岡に会い、大賀のことを記事にすれば、古柴を止められるかもしれないと、古柴のパソコンから姉と「J」のメールのデータを持ち出して渡した。古柴は「J」に電話して、大賀だと知った。それから倉庫の実験の映像も渡し、高校時代に湯川先生に指導を受けたと教えた。

 湯川が「なぜ古柴が科学を殺人の道具に選んだのか?」と疑問を話すと、由里奈は「古柴は父に裏切られたと言っていた」と教える。湯川は「古柴を信じたいと思っている」と話す。姉から聞いた物だった。

 古柴は計画の準備をしながら思い出す。姉の秋穂が、入学祝に時計を買ってくれた事と、その姉の死を。講演会で大賀は「科学を制する者は、世界を制する」と言っていたが、父が言っていた言葉を姉から聞いた。姉は本気だったので、父の話をしたはずだ。姉を似殺しにされて、古柴は復讐を計画した。

 牧村は草薙に「湯川先生は良い人ですね。頭が切れるだけでなく、教え子への思いやりがあって」と言う。草薙は「感情に左右される人間じゃない。あいつを突き動かしている物は、責任感だろう」と言う。

 湯川は暁重工に行き、古芝の父・恵介について聞く。

 大賀が、警察が命を狙われていると忠告するが、明日の地鎮祭に参加すると言う。太田川と牧村は、鵜飼に会う。鵜飼は、警備は目立たないようにして欲しい。犯人が分かっているのなら、早く逮捕して欲しい、と言う。牧村は、大賀が命を狙われているのは、不倫相手の秋穂を見殺しにしたからだ、と食ってかかる。鵜飼が買収した勝田が全てを自供している、と教える。証拠がないことで疑るな、と鵜飼が怒る。太田川は「証拠はお前が握りつぶしたんだろう」と呟くが、すぐに誤魔化してその場を退散する。

 大賀は秋穂が死んだ日の事を思い出す。大賀が鵜飼に連絡をすると、救急車を呼ぶのを止め、すぐにその部屋から出るように指示をした。大賀は後悔するが、鵜飼は、救急車を呼んでも助からなかった。正しい判断だったと主張する。

湯川に草薙から電話があり、大賀は地鎮祭に参加し、古柴は見つからないと伝える。草薙は湯川にも地鎮祭に参加するように頼む。草薙は家宅捜索で古柴の部屋にあっ、プロジェクタイルの図面を湯川に見せる。草薙は「必ず彼を見つけるように、力を貸して欲しい」と頼むと、湯川は「君の目的は、僕を監視する事か」と聞く。

 警察は付近で古柴の捜索と聞き込みを行う。科学研究学園都市研究棟新築工事の地鎮祭会場に草薙と湯川が来る。開けた場所で、草薙は「遠くから狙うには格好の場所だ」とぼやく。大賀の席は最前列の中央だ。

 古柴は、地鎮祭会場が見える丘の上にワゴン車を停め、レールガンの準備をする。

 鵜飼は大賀にこの後の予定を伝え、地鎮祭終了後に光原市民球場に移動、と伝える。

 大賀は秋穂と会った日を思い出す。大賀は秋穂に「美しい自然を守るだけでは食っていけない。この国は、科学技術を売るしかない」と話す。秋穂は「科学を制する者は、世界を制す」と話す。秋穂は、弟が帝都大学に入学が決まったと教える。

 大賀は「地鎮祭への出席は見送ろう。秋穂の弟を犯罪者にさせたくない」と話す。鵜飼は「地鎮祭へ出席すべきだ。ST計画を実現する事が、彼女への供養になる」と出席を勧める。

 大賀が地鎮祭会場に到着し、警察は警戒を強める。草薙は「1km先から飛んでくる弾なんて、防ぎようがない。レールガンを撃たれる前に、古柴を見つけろ」と警官に指示するが、見つからなかった。湯川はタブレットで付近の地図を見ていた。地鎮祭は何事もなく終了した。

古柴は準備を進める。

 古芝の車とレールガンが、丘の上の駐車場から見つかる。レールガンを見た湯川は「これはダミーだ。古芝が高校時代に作ったものだ。この程度の装置では倉庫に穴はあけられない。古柴はもう一つのレールガンを用意している」と言う。「1km先から照準を合わせるには最低でも1時間掛かる。大賀代議士の席が事前に分かっていなければ、狙うことができない。大賀の周りには多くに人達がいるので、古柴は無関係な人を危険にさらしてまで、復讐を実行するとは思えない」と言う。「由里奈を使って、警備を別の場所に集中させた」と話す。

 大賀は、少年野球のセレモニーに参加するために光原市民球場に移動中で、そこで始球式を行う予定だった。湯川は、ワゴン車の窓に数式を書き始め、古芝のレールガンがどこにあるかを探し当てる。

 現場に草彅と牧村、湯川が車で向かう。湯川は草薙に「ピッチャーは必ずマウンドのプレート上に立つ。立つのはただ一人。他の人間に危害が加わる事もない」と説明する。湯川は「古芝が逮捕される姿を見たくない」と言い、途中で車を降りる。

 刑事は野球場の大賀と鵜飼に、始球式が狙われる可能性が出てきたので、警備を続けると説明する。

 草薙と牧村は、目的地に向かっていたが、先に目的地に着いた太田川から、レールガンが見つからないと連絡を受ける。草薙はここで、湯川の嘘に気づいた。レールガンがあるのは、湯川が降りた場所だ。湯川は、1人で決着をつける気だと気づく。草薙は急いで湯川を下ろした場所に向かう。

 野球場で、大賀がマウンドに立つ。野球場のスタンドに古柴がいた。レールガンは立体駐車場に停めたトラックの荷台にあった。古芝がスイッチを入れる。しかし、レールガンは発動しなかった。

 そこに湯川から古柴に電話が来る。湯川は「レールガンを使い1キロ先の標的を狙えるか、なかなか興味深い実験だ。その標的が人間の頭でなければ」と話す。湯川がプログラムを書き直して、制御権を奪ったのだ。湯川は、古芝のレールガンを見事な出来だと褒め、プロジェクタイルの工夫に感心する。湯川の計算では、標的に当たる確率は50%程度。古柴は他に思いつかなかったと話す。

 そこに、草薙らが掛けつけた。

 湯川は古芝の父のことを語る。古芝の父は、20年前、アメリカで対人地雷の開発に携わっていた。それを知った古芝伸吾は、科学と父に裏切られた気持ちになった。しかし、古芝の父は、アメリカの企業を退職後、暁重工へ転職し、自分の過ちに気付いて地雷を探知・除去する機械を作っていた。父の研究ノートには「地雷は核兵器と並んで、科学者が作った最低最悪の兵器だ。科学は人を救うための物である。科学技術によって、人を傷つけたり、生命を脅かすことは許されない。科学を制する者は、世界を制する。核兵器や地雷を思い浮かべた時、この言葉は別の意味を持つ。父は、この言葉を戒めとしていた。君の姉さんはこの言葉について、人が幸せになるための呪文だと、新聞記事に書いていた。君がやろうとしている事は、天国にいる父や姉を喜ばせる事になるのか?僕は、こんなことをさせたくて、君に科学を教えたのじゃない。君がどうして思いを遂げたいなら、僕が力になる。レールガンを作らせたのは僕だから、僕が決着をつける」と言う。「大賀が照準に入ったら、君が合図を送れ。その瞬間僕が発射する」と言う。

 草薙が近づこうとすると、湯川は「これ以上近づくな。僕に近づいたり、捜査員が古柴に接触したら、レールガンを発射する」と脅す。くさなぎが「人を殺すことになるぞ」と止める。湯川は「これは教え子に正しく科学を教えられなかった罰だ」と言う。草薙は湯川にピストルを向け「レールガンから離れろ。刑事としてお前を撃たなければならない」と命令する。そのやりとりが古芝にも聞こえる。

 大賀がマウンドに立っている。湯川は「今がチャンスだ」と告げる。古芝は姉を思い出し、合図を出せず号泣する。大賀がヒットを打たれ、マウンドを降りる。草薙は大きくため息をつく。事件は終わった。

 大賀は警察に出頭し、保護責任者遺棄の疑いで逮捕される。

 帝都大学の研究室に草薙と牧村が行くと、栗林が、湯川はニューヨークで研究するために旅立ち、しばらく戻ってこないと言う。牧村は残念がる。古芝は器物損壊で起訴されたが、執行猶予が付くはずで実刑にはならない。古柴は帝都代の理工学部を受験し直すことにしたそうだ。工場で古柴と由里奈は一緒に受験勉強をする。

 湯川から草薙への伝言で「草薙、今回の件では君に感謝している」。牧村へ「不可解な事件が起きても、ニューヨークまでは決して来ないでほしい」と。栗林は草薙にコーヒーを入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ABEMAプレミアム