『コンビニエンス・ストーリー』ネタバレの感想 難解なストーリーをこう解釈した | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 評価 3/5 ☆☆☆★★

 コンビニが異世界に繋がっている話が面白そうだったので、「フォーラム山形」で見た。

あの『大怪獣のあとしまつ』(2022)の三木聡監督なので心配したが、訳の分からないギャグや下ネタは控えめだったのが良かった。劇中に登場する変な演出をする映画監督は、三木監督がモデルか?

 ストーリーが意外に難解だった。初めの方で、コンビニのレジに並んでいた加藤が、突っ込んできた車に飛ばされる。最後にも同じ場面が現れるが、隣のレジの店員は恵子だった。そこで、最初の交通事故で加藤は生死を彷徨って、事故の直前に見た恵子が夢の中に登場した。と考えた。

 しかし、ジグザグが探偵を雇う話が説明できない。また、恵子は「江場土事件」で死んでいたと分かる。また、恵子が加藤に「先に行って。直ぐに後を追うから。振り返らないで」と言うのは、ギリシア神話のオルフェウスが冥界に行き、冥界の神ハーデスから妻を連れ戻す話であろう。なお、ジグザグの愛犬の名前ケルベロスは、魔界の番犬である。そこで、次のように考えてみた。

 コンビニで事故に遭った加藤は、外見は無事だが、魂が半分死んでいた。加藤はケルベロスを捨てに行こうとして、冥界の境である「リソーマート」に来た。南雲はトラックのバッテリーに細工し、さらにトラックを隠して、加藤を留めた。恵子は加藤を冥界の入口である冷蔵ショーケースの中に引き込み、冥界に引き込んだ。冥界の主である南雲は、死者の魂が座っている椅子に向かって指揮をしていた(演奏していたワグナーの『ワルキューレ』は「戦死者を選ぶもの」の意味)。南雲に囚われていた死者の恵子は、冥界から出たいと思っていた。そこで加藤を誘惑して温泉の「永遠の祭」で人間界に戻ろうとしたが、南雲に邪魔された。そこで、冥界の入口であるコンビニの冷蔵ショーケースから加藤を出し、彼を追って人間界に戻った。一方、ジグザグは行方不明になっていた加藤を探すために、黒縁眼鏡の男を雇った。トラックのカーナビの記録から、加藤が冥界の「リソーマート」に行ったと知った黒縁眼鏡の男達は、ジグザグの依頼で加藤の手掛かりを求めて南雲に会うが、自分たちが護身用に持っていた銃で殺された。その後、南雲が恵子に倒されたため、または恵子が冥界から人間界に戻ったため、黒縁眼鏡の男達も人間界に戻った。加藤は、冥界にいた時間が消され、最初のコンビニで交通事故に巻き込まれた時間に戻った。その後はジグザグとは別れて(恵子と?)生活している。それが最後の脚本の台詞である。

 これだとストーリーをほぼ説明できると思う。恵子が加藤を冷蔵ショーケースに引き込んでから、出てくるまでが冥界なのだろう。南雲が「こっちの人ではないですね」と言ったのは、死者でないからだろう。南雲はトラックが無くなったのを他人事のように言っているので、隠したのは南雲だろう。ジグザグは加藤のために指をつめたので、ヤクザと関係があり、黒縁眼鏡の男を紹介してもらったのだろう。

 でも、「リソーマート」はテレビが映らないが、人間界と電話やメールで通信できるのはなぜ?トイレでジグザグが会った老婆の正体は?老婆が言った「死んで腐っているぞ」とは加藤のこと?恵子が拾った「犬人間」の瓶から出てきた黒い物体は?旅館にプリン頭の女がいたのはなぜ?説明がつかない事が沢山ある。監督が「謎は謎のままだからこそ謎であり、解けてしまったら謎でなくなる」と言っているので、明快な解釈は求めていないのだろう。ひょっとしたら、深い意味はないのかもしれない。評価は「3」である。

 なお、前田敦子はAKB48時代からのファンであるが、アイドルとはまた違って、今回の「妖艶な人妻」が似合うのに感心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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