『死刑にいたる病』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

監督:白石和彌  2022年

主な登場人物:読み(俳優)役柄

【雅也関係】

筧井雅也:かけいまさや(岡田健史)大学生。榛村から手紙を受け取る。

筧井衿子:かけいえりこ(中山美穂)雅也の母。

筧井和夫:かけいかずお(鈴木卓爾)雅也の父。

加納灯里:かのうあかり(宮崎優)雅也の中学時代の同級生。

【榛村関係】

榛村大和:はいむらやまと(阿部サダヲ)少年少女24人を殺害した殺人犯。パン屋ロシェルを経営。

根津かおる:ねずかおる(佐藤玲)榛村の最後の被害者?

小松美咲:こまつさき(神岡実希)榛村の被害者。パン屋のロシェルに通っていた女子高生。

久保井早苗:くぼいさなえ(川島鈴遥)榛村の被害者。スーパーでアルバイトしていた女子高生。

宮下陸:みやしたりく(大原由暉)榛村の被害者。自転車の間違で親しくなった男子高校生。

金山一輝:かねやまいつき(岩田剛典)幼い時に榛村が金山兄弟と遊んでいた。

【その他】

クラタ(大下ヒロト)灯里のテニスサークルの友人。

佐村:さむら(赤ペン瀧川)榛村の弁護士。

地元の農夫(吉澤健)榛村の家の近くの農夫。

赤ヤッケの女(岩井志麻子)榛村の家の近くの女性。

滝内:たきうち(音尾琢真)取材相手。榛村桐江とボランティア活動をしていた。

相馬:そうま(コージ・トクダ)取材相手。根津かおるの同僚。

 

 榛村大和は用水路に白い花びらのような物を落とす。そして水門を開け、水を流す。

 筧井雅也は祖母の葬式に参列する。火葬後の自宅の飲み会で、母の衿子は自分で決められないと、雅也にビールの追加を頼んで良いか尋ねる。親戚は、雅也が父和夫の意に沿えず、東京の三流大学に進学したと噂する。

 祖母は学校の校長をしていたので学校関係のお別れ会があり、先生や生徒が大勢来ると言う。母に参加するか聞かれた雅也は、父が三流大学の息子に出て欲しくないだろうと、断る。

 雅也は自分宛の、差出人が書いていない封筒を見つける。手紙には几帳面な筆致で「筧井雅也様。初めて手紙を書きます。僕の事を覚えているでしょうか。君に頼みたい事があります。僕の所に会いに来てくれたら嬉しい。榛村大和」と書いてあった。雅也は自転車で商店街に行くと、パン屋「ロシェル」は売り物件になっていた。

 榛村には自分の決まりがあった。朝、山間部にある家でコーヒーを飲む。決まったら時間に自分のパン屋「ロシェル(rochelle)」に行き、パンを焼き、決まった時間に店を開け、パンとコーヒーを売る。

店で勉強している女子高校生の小松美咲にコーヒーと「勉強頑張っているから」とサービスでマロンを出す。

 榛村は決まったタイプの少年少女に目を付けた。小松美咲を道端で殴って気絶させ、車に乗せて自宅に運ぶ。自宅の燻製小屋に監禁し、手足を拘束し、指の爪をペンチで剥がす。その後、体を傷つける。少年が「許して下さい」とうめく。

決まったやり方で死体を処理し、焼いた灰を庭に埋め、そこに木を植え、記号を書いた札を立てる。

木を植えている榛村に、近くの畑の農夫が「今日も精が出ますね」と声を掛け、榛村もにっこり微笑んで挨拶する。

 雅也は大学の授業中に榛村の手紙を読む。雅也がキャンパスを歩いていると、中学校の同級生の加納灯里が声を掛ける。

 一人の少女が小屋から逃げ、榛村の犯行が発覚した。検察は22人の少年少女と、1人の成人女性の殺人で起訴し、9件で立証され、第一審で死刑判決。裁判所で検事が犯行の動機を尋ねると、榛村は「必要だからやっただけです」と答える。検事が「追い詰められて、見つかったのでは?」と尋ねると、榛村は「僕の慢心だからです。睡眠薬で眠らせ、拘束しなかった」と答える。検事が「やり直すことができれば?」と尋ねると、榛村は「やり直していれば、捕まらなかった」と答える。

 (タイトル『死刑にいたる病』)

 雅也は拘置所に行き、榛村の面会を申し込む。待合所で待ち、面会時間になって立ち上がろうとすると、長髪の男とぶつかる。

雅也が10階の面会室に行くと、榛村が看守に連れられて入って来て、ガラス越しに面会する。

 榛村は「久しぶりだね、マー君。いや、雅也君。変わりないなあ。よく店に来てたね」と親しげに話しかける。雅也は「僕の事も狙っていた?」と尋ねると、榛村は「僕が好きなのは高校生で、中学生の君は対象じゃなかった」と答える。

 さらに榛村は「確かに僕は大勢の男の子と女の子に酷い事をした。本当言うと何人やったか覚えてもない。死刑になって当然だと思う。でも、1つだけ納得できない。最後の9件目の犯行は、やってないって言い続けてるが、誰も信じようとしないんだ。20歳過ぎの女性を、会ったその日のうちに殺し、遺体を山に放置するなんてありえない。時間かけて信頼を築き、家に連れて来て苦痛を味わわせるのが僕のやり方。まだ本当の犯人は、あの街にいるかもしれない。今それを知ってるのは、君と僕だけだ」と言うと、面会時間が終わり、榛村は看守に連れ出される。

 雅也が拘置所を出て、押しボタン式信号機の交差点に行くと、待合所で会った長髪の男がボタンを押さずに立っていた。長髪の男は「拘置所に来たが、面会したらいいか自分で決められなかった。決めてもらえますか?」と雅也に話しかける。

 雅也は、榛村担当の佐村弁護士に会う。佐村弁護士が資料を持ってきて「この部屋で見てくれ。資料が外部に出たら、法的措置を取る。アルバイトと言う名目で見せる」と言う。佐村がいなくなると、雅也はスマホで資料の写真を撮る。

 榛村大和(当時32歳)は24件の殺人事件の犯人。被害者は地元の高校生。2010年3月8日、9件が立件される。

 久保井早苗、17歳。地元のスーパーマーケットでアルバイトしていた女子高生。榛村は週2回、その店で買い物をし、挨拶を交わす程度。榛村は、久保井がアルバイト前に立ち寄るコーヒーショップに先に入店し、「これからバイトですか。頑張って」と声を掛けた。次の買い物で声を掛け、関係を築く。

 宮下陸。自転車置き場で榛村に自転車を間違えられて、持って行かれそうになる。映画館で榛村に会い、会釈するようになる。

 事件の被害者は皆10代後半で、いずれも黒髪で制服を校則通りに着る真面目な高校生で頭が良い。決まった年代、決まったタイプの少年少女を狙い、決まった手順で犯行を行う典型的な秩序型殺人犯。信頼関係を築き、殺害後は爪を剥がし収集するという特徴もあった。

 榛村が冤罪を訴える9件目の被害者、根津かおるは当時26歳。見た目は他の被害者と一致するが、年齢が合わない。医療品を扱う「三研メディカル」を出て行方不明になる。26日後に山中で死体が発見される。

 雅也が一人でスカッシュをしていると、テニスサークルのクラタが、予約の時間だと言う。部員の中に灯里もいて、7時からサークルの部員たちと就活の情報交換会をするから、と誘われる。雅也は約束の居酒屋を訪れたが、1時間近くも待たされる。クラタ達に、そんなの飲み会の口実だと笑われた雅也は、耐えられなくなりその場を離れる。店を出ると、酔っぱらいにからまれる。

 雅也は家に帰ると、根津かおるの資料を読む。彼女は山中で腐乱死体になって発見された。彼女には爪があった。雅也は「佐村法律事務所」の名刺を勝手に印刷する。

 雅也はバスを降り、根津の死体が発見された山に行く。赤いヤッケを着て、犬を散歩させていた女性が「まさかうちの山であんなことが起きるとは」と言って、死体が発見された場所を案内する。そこには花が手向けてあった。雅也が「頻繁に来ている人は?」と尋ねると、女性は「長い髪の女性が来て、泣いているみたいだった」と教える。

 雅也が家に帰ると母が、おばあちゃんのお別れ会があると教える。雅也は「息子が三流大学に入って恥ずかしい」と言って断る。

 雅也は榛村と面会し「根津の事件は計画性がなく、隠蔽されていない。死体に爪があった。榛村のやり方と違う。他の犯行は90~100日間隔を開けるが、根津は1か月後」と調べた事を報告する。榛村は、短時間で良く調べたと、雅也を誉める。

 雅也は根津の同僚の相馬に会う。相馬は「根津は殺される少し前、誰かに付けられていると言っていた。上司が気に入っていた。もう一人、同級生がいた。高校から潔癖症で、不潔恐怖症になっていた。

 雅也が榛村に報告すると、榛村は「君は凄い。自分のやり方で成果を上げている。でも、自分で言うのも変だけど、気をつけてくれ。そいつは人殺しだから」と誉め、忠告する。

 榛村は、雅也が中学の頃、塾の前に店に寄り、オレンジジュースと「BLTO(ベーコン、レタス、トマト、オレンジ)サンド」を食べたと、当時を懐かしむ。

 拘置所の待合所に、また長髪の男がいた。

 雅也は自転車で榛村の家に行く。近くの農夫が家を案内する。農夫は「榛村が殺人犯なんて、気付かなかった思えない。もし、匿ってくれと言われたら、匿ってしまう。あの人の事嫌いじゃないんだ」と話し、雅也も同意する。燻製小屋が焼けていた。農夫は「燻製小屋に被害者を監禁して拷問していた。ペンチや拷問した道具が残っていた。被害者が逃げ出して発覚した」と教える。

 雅也は「三研メディカル」の根津の同僚だった橋本に話を聞く。橋本は「ストーカーじゃない。事件当時は出張でアリバイがある」と言う。雅也は「根津に彼氏はいるか」と聞く。その様子を長髪の男が車の中で見ていた。

 家で母が祖母の遺品を整理していたが、「どうしたらいい?母さん決められないから」と雅也に聞き、雅也は「捨てれば」と答える。遺品の中の写真に、若い衿子と隣に若い榛村が写っており、驚く。

 雅也は榛村桐江とボランティア活動をしていた滝内に、居酒屋で話を聞く。「人権活動家の榛村桐江が、虐待されていた大和を養子として引き取った。大和の他に虐待を受けていた子のボランティア活動をしていた。大和はそういう子供達を上手く操縦していた」と教える。

 滝内は更に雅也にステーキ店に連れて行ってもらう。雅也が祖母の写真を見せて若き母を指さすと、滝内は「衿ちゃんで、桐江の養子になった。人づきあいが良くないが、大和とは仲が良かった。妊娠して家を追い出された。相手は分からない」と教える。

 面会室に向かう榛村は、看守と親しく話す。

 面会室で雅也は榛村に「母は衿子で、父にはほとんど家政婦扱いだった。父は厳しく、自由な時間は無かった。塾に行く前のあの店だけが自由な時間だった。無理して進学高校に入学したが、勉強に付いて行けず、大学はFランク」と話す。雅也は榛村に「僕の父親ですか?」と尋ねると、榛村はうなずく。榛村は「今、君の手を握れたらいいのに」と話す。

 榛村の店に来た少年の雅也の顔に青痣があった。榛村が「また殴られたんだ。いつでもおいで」と慰める。

 雅也が町の石段を登っていると、すれ違った女子高生に目が行く。

 寺の祖母の墓の前に親戚が集まり、法要が行われる。雅也は母に「榛村に拘置所で会った」と教える。母は「あとでゆっくり話そう」と言う。

 台所にいた母のコップに雅也がビールを注ぎ、雅也もビールを飲む。雅也は「母さんも虐待されていた?」と尋ねる。そして「母が引き取られ時、壁土が腸に詰まっていたと、榛村が手紙で教えてくれた」と話す。雅也は「榛村とは仲が良かった?全部聞いた」と話す。母は「あの人しか頼りにできなかった。堕せなくって」と話す。雅也が「俺の本当の父は?」と尋ねる。すると父が、台所の入口にいた。母が父にビールを勧める。

 自分の部屋に行く雅也に、母が「あなたは父の子だからね」と告げる。

 佐村弁護士に雅也が聞く。佐村は「根津の事件で榛村が有罪になったのは、目撃者がいたから。その証言の時、法律に基づいて遮蔽措置が取られる。証人が被告から圧迫を受ける時に取られるもので、普通は被害者が証人の時に行われる。証人は金山一輝で、10歳の時に2歳下の弟と、榛村に遊んでもらった。榛村はお互いに彫刻刀で斬り合わせた」。雅也が「金山は榛村を恨んで、嘘の証言をしたのでは?」と尋ねると、佐村は「彼が14歳の時の事件を知っているか?バス停にいた小5の少女を路地裏に連れて行って、ブロック片で殴って卒倒させ、陰部に小石を詰め、両足で顔面を踏んだ。彼女は内臓が傷つき、片目の眼球が破裂した」と教える。雅也が「依頼主の言うことを信じないのですか?」と尋ねると、佐村は「名刺を作って、勝手に関係者と話すのはやめて下さい」と警告する。

 雅也は金山一輝の同僚に話を聞く。同僚は「一輝は顔の痣を隠すために髪を伸ばしていた。上司は「女か、お前」とからかっていた。一輝は父親から虐待され、上司を見ると父親の顔を思い出すと言っていた。一輝が上司を殴った」。雅也が三研メディカルとの関係を聞くと、エンジニアで行っていた事が分かる。

 雅也は榛村に「金山一輝が根津殺しの真犯人の可能性がある。コンプレックスがあり、鬱屈し、孤独で、爆発の危険性がある」と手紙を書く。

 雅也が大学に行くと、校舎の出入口に灯里たちテニスサークルの連中がたむろしていた。雅也は「邪魔だ」と吐き捨てる。灯里は雅也に「何か変わったね」と言う。雅也は、髪をかき上げる彼女の指の爪を見る。

 雨の中、鬱々として帰路についていた雅也は、不注意でぶつかってきた中年男性に我慢ならず、怒りにまかせて彼を追い、傘で殴打し、ネクタイを掴んで締め上げる。気絶した男を見て怖くなり、急いでその場を逃げ去る。

 雅也がアパートに帰ると、その前で灯里が待っていた。灯里は雅也が怪我しているのを見ると、自分の服で血を拭いて傷口を舐める。雅也は灯里を車のボンネットに押し倒してキスする。

部屋で、灯里がシャワーを浴びていると、雅也の携帯に、一輝の同僚から彼の写真が送られてくる。一輝は、拘置所で会った長髪の男だった。

 雅也は、根津の死体が見つかった山の地主の赤いヤッケの女性に、一輝の写真を見せると、事件現場に頻繁に来る人が一輝で「男だったの!」と驚き、「痣があったかもしれない」と証言する。

 根津が殺された現場で、雅也が手を合わせていると、一輝が来て「僕が殺したんです」と泣いて言う。雅也は咄嵯に逃げ出す。雅也は藪の中で何度も転び、一輝に捕まる。

 雅也が泥だらけになって家に帰り、母が心配する。

 裁判の公判で検察が榛村に「逮捕されなければ、殺人を続けた?」と尋ねると、榛村は「続けた。僕には必要だったから」と答える。

 雅也は榛村に面会し「根津かおるを殺した犯人が分かりました」と教える。榛村は「凄いじゃない」と誉める。雅也は一輝に聞いた話をする。雅也は「あなたは、親から虐待を受けた子を狙ってたんですね」と聞く。

 20歳の榛村が、10歳と8歳の金山兄弟に「今日はどっちが痛い遊びをするの?」と聞く。兄が弟を指さす。兄が彫刻刀で、弟の足を刺す。榛村は雅也に「別の日は、弟が真っ先に兄を指さした」と教える。

 榛村は、潔癖症の根津が、毎日同じ時間に同じ道を通ることを調べていた。歩道橋の上で、榛村が大人になった一輝に「また、痛い遊びをしたくなった」と話す。一輝が嫌がると、榛村は「だったら、誰と遊べばいい?一輝君が選んで」と言う。一輝は、ちょうど自転車で通りかかった根津を指さす。  一輝は自分が指差したことで根津が狙われたと思い込み、罪の意識を持った。

 雅也は「榛村が根津に目を付けた時、根津は10代だった。金山兄弟に対する執着心と同じで、根津にも執着した。一輝への手紙を全部読んだ」と言う。手紙には「ちょっと食い違う所を見直して欲しい。裁判の証言は認める。真実は誰にも言わない。控訴審でも言わない。一度、拘置所に来てくれ」と書いてあった。

 榛村は「一輝は罪を被せようとした。君は最後にどうして一輝に騙されたのか、信じられない。一輝は根津に目を付けて、何度も呼び出した。ある日彼女を付けた。一輝は根津を車に連れ込み、殴って気絶させて乗せる。根津を山に連れて行き、殺した。君に接触して嘘を話した。そう思わないか」と聞く。

 雅也は「面会時間は終わりでは?」と言うが、看守を丸め込んだ榛村は「今日はゆっくり話そう」と言う。

 榛村は言う「一輝は苦痛から逃れようとして、酷い嘘もついた。一輝に見られたか確信は無かったので、直接聞きたかった。いつ気が付いたんだね?たった一人で犯人を突き止めたんだね。ずっと苦しい思いをしていた。だから人の苦しみが分かる。その時から君は特別だった。僕の子、そう思っていましたか?」

 雅也は「信頼関係を築いてから、いたぶるのはどうしてですか?」と尋ねると、榛村は「僕は、こういう風にしてしか、人と付き合えない」と教える。

 榛村は根津を待ち伏せし、殴って気絶させて車に乗せる。根津を山に連れて行き、雨の中彼女を引きずる。潔癖症の彼女を泥の中を引きずり回すと言う、彼女にとって一番の拷問を行う。榛村は、根津の足が怪我して出ていた骨をさらにいたぶる。

 榛村は「衿子から赤ちゃんに付いて聞いた?」と尋ねる。雅也は「相手はボランティアに来ていた妻子ある男だった。廃墟のマットレスの中で生んだ。死産だった」と話す。

 橋の下で、若い榛村と衿子が、焚火で胎児の死体を焼く。榛村は、骨は砕いて川に流したと言う。

 榛村は「ほっとした?」と尋ねる。雅也は「人を殺しかけたが、できなかった。その時、あなたの子じゃないと思った」と教える。榛村は「良かったじゃないか。こっち側は沼だ。来たら戻れない」と言う。雅也は「どうして爪を川に捨てた?証拠隠滅なら不完全だ。小屋の中にペンチなど硝子が沢山あった」と聞く。

 榛村は被害者の爪を貯めていた瓶を取り、小屋を焼く。爪を用水路にばらまき、水門を開けて水を流す。水門に腰かけると、小屋が燃えていた。

 榛村「今、思えば別れの儀式みたいなもの」と答える。雅也が「最後に1つだけ。お母さんの爪は綺麗でしたか?」と聞く。「僕が小さい頃は」と答えると、榛村は看守に連れられて出て行く。

 雅也と灯里は2人でスカッシュする。2人は雅也のアパートで抱き合い、キスする。雅也が灯里に「爪が綺麗だね」と言うと、灯里は「剥がしたくなる?」と答える。雅也が驚いて退くと、灯里のバッグが倒れ、中から榛村が殺した被害者の資料と、沢山の榛村からの手紙が出る。灯里は「私は、好きな人の体の一部を持っていたい気持ちが分かる。彼も、雅也君なら分かってくれるって。分かってくれるよね」と話す。

(エンドクレジット)

(写真は「映画com」「公式ホームページ」より)