評価 4/5 ☆☆☆☆★
予告編を見て実に怖い話だと思い、「映画史に残る驚愕のラスト」とは何なのか興味を持ったので「フォーラム山形」で見た。原作の小説は読んでいない。
筧井雅也は、24人の少年少女を殺した榛村大和に、最後の1件は自分がやったのではなく、冤罪だと証明して欲しいと頼まれる。雅也は殺人事件について調べて行く。榛村が「この町には他に殺人犯がいる。僕が言うのも変だけど、本当に気を付けてくれよ」と言うように、もう1人の殺人犯に狙われる恐れがあり、実にヤバイ話である。
雅也が榛村の事件を調べると、普段の榛村は誰にでも好かれ、実に優しい人間である。雅也も中学時代に榛村の店の常連だったので、榛村は否定するが、雅也も殺されていたかも知れないと思うと怖い。そして被害者を拉致し、拷問する榛村は別人のようである。拷問は指の爪を剥いでいく残酷なやり方で、見ていて痛さが伝わってくる。この映画のレイティングはPG-12だが、R15+では?と思ったほどである。
雅也が榛村の過去を調べて行くうちに、榛村と自分の母親が同じ家の養子で、当時母は妊娠しており、自分の父が榛村である可能性に気付く。榛村はそれを認める。雅也が榛村の息子と知って、冤罪だと証明して欲しいと依頼したのだろうか?雅也が酔っぱらいの男を殺し、彼も榛村のような殺人犯になるのか?と思うと怖かった。母親は否定し、榛村の嘘だと分かる。
雅也が最後の殺人事件を調べると、手口が他の殺人事件と全く違っていた。関係者から話を聞くうちに、金山一輝が犯人に浮かび上がる。金山も榛村に洗脳されていた1人だった。雅也は事件現場の山中で「俺が殺した」と自白する金山に追われ、雅也が殺されるのかと思ったら、違ったのでほっとした。
最後の事件も、結局は榛村の犯行だった。榛村は冤罪の証明を雅也に頼んだのは、雅也を苦しめるためだったのだろうか?そう考えると、拉致した少女が逃げて榛村の犯行がばれた最後の事件は、榛村は「睡眠薬が切れて逃げたのは、自分の不徳だ」と言っていたが、これまでのように被害者を拘束していないし、拷問もしていない。燻製小屋(拷問小屋)を焼き、集めていた被害者の爪を用水路に捨てたのも、証拠隠蔽のためにしては不十分なので、わざと自分が掴まるためか?
ところで、冒頭、榛村が白い破片を用水路に落とす場面から始まる。その時は花びらだと思って、美しい場面と思ったが、被害者の爪と知って背筋が寒くなった。
最後に、雅也の恋人になった灯里のバッグに、大量の榛村からの手紙があった。彼女は「好きな人の体の一部を持っていたい気持ちがわかる」と言う。彼女も榛村に面会し、彼に洗脳されていたと分かる。灯里は、中学校の同級生の雅也に好意を持って近づいたのだと思っていたら、榛村の指示だったのか?彼女も榛村のような残虐な殺人犯になるのだろうか?雅也は灯里に殺されるのだろうか?そう考えたら、ゾッとした。「映画史に残る驚愕のラスト」は多少大げさではあるが、「驚愕のラスト」だと納得した。
どこまでが本当で、どこからが榛村の嘘なのか?榛村の話術に、観客の私まで彼に洗脳されるような気がした。評価は「4」である。