『千と千尋の神隠し』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

監督:宮崎駿  2001年

主な登場人物:読み(声優)役柄

【人間】

荻野千尋:おぎのちひろ(柊瑠美)10歳の少女。千(せん)と呼ばれる。

荻野明夫:おぎのあきお(内藤剛志)千尋の父親。

荻野悠子:おぎのゆうこ(沢口靖子)千尋の母親。

【湯屋関係者】

ハク(入野自由)油屋で働いている色白の美少年。

湯婆婆:ゆばーば(夏木マリ)湯屋「油屋」の経営者の老魔女。頭が大きく二頭身。

銭婆:ぜにーば(夏木マリ)湯婆婆の双子の姉。声や容姿、服装、髪型まで湯婆婆と瓜二つ。

坊:ぼう(神木隆之介)湯婆婆の息子。赤い腹掛けをした巨大な赤ん坊。

釜爺:かまじい(菅原文太)油屋のボイラー室を取り仕切っている黒眼鏡をかけた老人。

リン(玉井夕海)油屋で働いている娘。

父役:ちちやく(上條恒彦)ハク以外の従業員の中で最も地位が高い。

兄役:あにやく(小野武彦)父役の下の地位。

番台蛙:ばんだいがえる(大泉洋)番台に座り、さまざまな薬湯の札を渡す。

青蛙:あおがえる(我修院達也)湯屋で下働きをしている蛙。

【湯屋の客】

カオナシ(中村彰男)黒い影のような体にお面をつけたような姿をしている。

おしら様(安田顕)福々しく肥え太った真っ白な大根の神。

河の神:かわのかみ(はやし・こば)泥が集まって巨大な塊になったような姿をしている。

 

 10歳の少女の千尋は、両親と共に引っ越しすることを車中で嘆いていた。千尋は車の後部座席で横になり、前の学校の同級生逹にもらった花束をずっと握っていたので、花束は萎れかかり、花束には千尋に宛てたカードが添えられていた。千尋の父も母も、気持ちは新しい転居先に向かっていたが、千尋だけは「前の学校のほうがいい」と駄々をこねる。

 (タイトル『千と千尋の神隠し』)

 転居先の家に向かう途中、父の明夫が運転する車は道を間違えて荒れた林の中の道に入るが、楽観的な父親は行けるだろうと先に進む。道の脇には石の祠があった。林のでこぼこ道を通ると、道は「湯屋」と看板がある、トンネルのような入口がある建物の前で終わる。

 父は車を降りて、建物のトンネルを見る。意外に新しい建物で面白がった父親は、母を誘ってトンネルの先へ行こうとする。千尋は気味悪がり、両親を必死で止めるが、両親がトンネルの中を歩き始めたので、仕方なく一緒に行く。

 トンネルを抜けると廃墟化した施設があり、父は、バブルがはじけて潰れたテーマパークの残骸ではないかと言う。草原が一面に広がっており、両親はさらに先に進む。母が「車の中のサンドイッチを持ってくればよかった」と言うと、空腹になった父が旨そうな匂いを感じ「まだやってるのかも知れない」と言い、両親はまた先へ行く。

 階段を上ると、「め」「生あります」「蟲」「鬼」などの看板がある、無人の飲食店が立ち並んでいた。その中の1軒の店先に、食べ物が山盛りになっていた。店に人が居ないが、食欲に負けた両親は「店の人が来たら金を払えばよい」と、勝手に食べ物を食べ始め「美味しい」と言って、夢中になって次々に食べる。

 千尋は廃屋に食べ物があるのを不自然に感じ、食べるのを拒否して飲食店街を見物する。階段を上ると、橋の先に『油屋』という看板が掲げられた大きな建物があった。その煙突から煙が立ち昇っているのを見て、千尋はやはりおかしいと感じる。橋の下には電車が走っていた。

 橋にいた千尋に、ハクと言う少年が「ここへ来てはいけない。じきに夜になる。その前に早く戻れ」と言う。日没が近づき、建物に明かりが入る。

 ハクに言われて、千尋は両親の所へ戻り「帰ろう」と言うが、両親は豚になっていた。千尋は悲鳴を上げて、黒い影がうごめく街を走り、車に戻ろうとする。すると、草原だった場所は海になっていた。

 帰れなくなった千尋は夢だと思うが、自分の体が消えかけている事に気付く。向こう岸から客船が来て、沢山の神様が上陸する。それを見た千尋は逃げ出す。

 先ほどの少年ハクが千尋を探しに来て、「この世界のものを食べないと消えてしまう」と言い、丸薬のような物を千尋に食べさせる。千尋の体が戻っていた。千尋を大きな鳥のような物が探していた。ハクは千尋を連れて建物の中を通り、「湯屋」の橋の前に連れて行く。

 ハクは「橋を通る間は息をしてはいけない。息をすると術が解けて店の者に気付かれてしまう」と注意する。店から蛙が出て来て、驚いた千尋は息をしてしまい、人間だと気づかれる。ハクは蛙を静止させると、急いで木戸から千尋を庭に入れる。ハクはこの世界で生きのびて、両親を助けろと言う。外の階段を一番下まで降りて、ボイラー室にいるカマジイに会い、仕事を貰えと指示する。ここでは仕事を持たない者は、湯婆婆に動物にされると教える。ハクは千尋の味方で、小さい時から知っていると言うと去って行く。

 千尋は急な外階段を恐る恐る降りるが、踏み板が壊れ、一気に下まで駆け下りる。ボイラー室では、沢山のススワタリが黒い石炭をボイラーにくべ、手が6本あるカマジイが忙しそうに仕事をしていた。千尋はカマジイに、ここで働きたいと頼むが、カマジイは「手が足りている」と言う。千尋が思い石炭を運ぶのを手伝うと、他のススワタリも運んでもらいたがって仕事をさぼる。

 リンと言う娘がカマジイとススワタリの食事を持って来て、人間の千尋がいるのに驚く。カマジイはリンにイモリの黒焼きをあげ、千尋を湯婆婆に連れて行くように頼む。リンは了承し、千尋に「礼くらい言え」「カマジイにお礼は」と、行儀作法を教える。

 リンは千尋を連れて、こっそりエレベーターを乗り継ぐと、建物内では、神々が風呂に入っていた。途中で従業員の男に見つかりそうになるが、リンが誤魔化し、千尋が神様の「おしら様」の陰に隠れてエレベーターに入る。建物のてっぺんの奥の部屋に千尋が引っ張られると、緑色の頭だけの怪物「頭」3体と、『油屋』の経営者・湯婆婆がいた。

 湯婆婆は千尋に、この場所は八百万(やおよろず)の神様が疲れを取りに来るお湯屋で、両親がお客の食べ物を食い荒らした事を責め、千尋も元の世界に戻れないと言う。千尋が「ここで働きたい」と食い下がると、湯婆婆が怒る。

 すると、奥の部屋にいた「坊」が暴れ出し、湯婆婆がなだめる。湯婆婆は千尋が働くのを認めるが、「嫌だとか、帰りたいと言ったら子豚にする」と脅す。千尋は契約書に「荻野千尋」と書くと、湯婆婆は名前を取り上げて、千尋を「千(せん)」という名で呼ぶ。

 湯婆婆に言われ、ハクが千の面倒を看る。ハクは千にリンの手伝いをさせる。リンは千が雇ってもらえたと知り、喜ぶ。千は腹が痛くなる。

 明け方、ハクが湯婆婆の元に行くと、湯婆婆は鳥に姿を変え、ベランダから湯バードと一緒にどこかに飛んで行く。

 翌朝、従業員の女性達が寝ている部屋の布団の中で、千は眠れずにいた。千の所へハクがやって来て「橋のところへおいで。お父さんとお母さんに会わせてあげる」と言う。千は階段を降り、ボイラー室に行き、ススワタリから置いていた外靴を貰い、外階段を上って橋へ行く。橋の途中にカオナシという、黒い化け物がいたが、千が橋を渡り切って振り向くと、いなくなっていた。

 ハクは千を養豚場に連れて行く。両親はやはり豚になっており、寝ていた。千が話しかけても無反応で、ハクが「人間だったことを忘れている」と教える。千は「お父さん、お母さん、きっと助けてあげるから」と言うと、泣きながら養豚場から走り出す。

 ハクは千に、帰る時にいるので服を隠しておくようにと言う。服の中に「ちひろ、元気でね」と書かれた花束に付いていたカードがあり、千は自分の名前が「千尋」だと忘れかけていた事に気づいて愕然とする。ハクは「湯婆婆は相手の名前を奪って支配する。名前を忘れると帰り道が分からなくなるので、名前を憶えているように」と教える。ハクは、自分の名前を忘れたため、湯婆婆の元で働いているが、千尋の事は覚えていたと言う。千はハクが握ったお結びを泣きながら食べ、頑張って働く決意を固める。

 千が一人で橋に戻ると、白い竜が空を飛んでいた。千はボイラー室で寝て、カマジイが座布団を掛けてやる。

 雨が降る夕方、鳥の姿の湯婆婆と湯バードが湯屋に戻って来る。

 夜、従業員たちが起き、千も掃除をする。リンと千は大湯番を言いつかる。千は縁側の戸を開けて水を捨てると、外にカオナシがいるのに気づき「濡れますよ。ここ開けときますね」と言って戸を置けておく。そこからカオナシが中に入って来る。

 リンと千は、大湯の大きな浴槽の掃除をするが、しばらく使われていなかったので酷く汚れていた。リンは千に、番台に行って薬湯の札をもらって来るように言う。

 湯婆婆は、何かが来た気配を感じる。飲食店街を、腐れ神が歩いていた。

 千は番台に行って、風呂の掃除に薬湯の札をくれと頼むが、番台は手で洗えと言う。するとカオナシが透明になり、上級の薬湯の札を千に渡す。

 湯婆婆は番台に電話して、何か入り込んだので、調べるように指示する。

 戻った千がリンに札を渡すと、リンは札を壁の中の紐に付け、カマジイの元に送る。壁から樋が出て来て、千が紐を引くと、薬湯が流れ出てくる。リンが昼飯を取りに行く。部屋の片隅にカオナシがいて、高級な薬湯の札を沢山、千にあげようとする。千は「一つで良いの」と断ると、カオナシは札を置いて透明になって去る。

  『湯屋』の玄関に湯婆婆が行くと、特大の腐れ神が橋を渡ろうとしていた。従業員が止めるが、蛙が気絶するほどの臭いだった。湯婆婆はリンと千に、腐れ神を大湯で世話するように命じる。玄関で湯婆婆と千が腐れ神を迎え、千が案内する。リンが持って来た昼飯が、腐れ神の臭いで腐る。

 千は腐れ神を先ほどの大湯に入れる。汚れが浴槽からヘドロのように流れ出るが、まだまだ汚れている。千はカオナシからもらった高価な薬湯の札を追加し、足し湯をする。千は腐れ神に何かが刺さっている事に気付く。リンは、カマジイにありったけの薬湯を出すように、頼んできたと千に伝える。

 千はリンに、棘のような物を取るのを手伝って欲しいと言う。それを聞いた湯婆婆は、従業員を集めて棘を抜かせる。湯婆婆はリンと千に、これは腐れ神ではないと伝え、棘にロープを結ぶように言う。千、リン、従業員一同が湯婆婆の音頭で力を合わせて引くと、自転車や捨てられたゴミが続々と出てくる。

 ゴミを取り除き、汚れを流した後、神様は「よきかな」と言う。床の泥の中に砂金が入っていた。湯婆婆が大戸を開けさせると、満足した神様は千にニガダンゴを渡して風呂の中から外に飛び出す。客の神様達が喜び、湯婆婆が千に「よくやったね。大儲けだよ」と抱きついて喜び、あの方は名のある河の神だと教える。そして皆も千を見習うように言う。砂金は湯婆婆が回収する。

 夜、リンが千に中華まんのような差し入れを持って来る。りんは、ハクが時々いなくなり、湯婆婆にやばい事をさせられている噂を千に話す。水の上を電車が走り、その先には街の明かりがあった。千はニガダンゴをかじると余りに苦いので、中華まんを急いで食べる。

 夜中、蛙が大湯に残った砂金を探しに来ると、カオナシが手から砂金を出して蛙にあげる。カオナシは近づいてきた蛙を丸のみする。さらにカオナシは、見廻りに来た兄役にカエルの声で「腹が減った。俺は客だ」と言って前金に砂金を出し、皆を起こせと言う。

 千は養豚場に行き、豚になった両親に、神様から貰ったニガダンゴを食べると、きっと元に戻れると言うが、両親はいなかった。それは夢だった。

 部屋に誰もいないので千が下に行くと、客室で兄役が、食べ物をどんどん出せと指示していた。リンは千に砂金を見せ、すごく気前のいい客が来たと教える。大湯でカオナシが、持って来た食べ物を次々に食べ、砂金をばらまいており、リンは一緒に行こうと言う。

 千は行かず、従業員の部屋の縁側から、養豚場を見て両親を心配する。すると、海の上を白い竜が飛んでいるのを見る。白い竜は、大量の人の形の紙の式神に追われていた。千は思わず「ハク、しっかり。こっちよ」と呼びかける。白い竜は部屋の中に飛び込んでくると、千は戸を急いで閉める。式神は去っていく。

  白い竜のハクは怪我をしており、窓から飛び出すと、湯婆婆の部屋に向かう。千も心配して上の部屋に行く。1枚残った式神が、千の背中にくっつく。

 下の客の部屋では、兄役が「お大尽(だいじん)様」と囃し立て、少し大きくなったカオナシに従業員たちが、食べ物をあげる代わりに砂金をねだっていた。千は途中で、カオナシと会う。カオナシは手から大量の砂金を出すが、千は「欲しくない、急いでいる」と言って、上階へ行く。千を「新米の小娘」と言った兄役と、砂金を拾いに来た女を、カオナシが丸のみにする。恐怖に駆られた従業員たちは逃げる。

 千は外の壁の梯子を登って最上階へ向かう。鳥の姿の湯婆婆が部屋に戻って来た。千は窓から子ども部屋に入る。部屋では湯婆婆が「そいつの正体はカオナシで、欲にかられてとんでもない客を入れたものだ」と電話で怒っていた。そして、怪我をしたハクを使い物にならないと言う。

 湯婆婆が子供部屋に来るので、千はクッションの間に隠れる。そこには巨大な赤ん坊の坊が寝ていた。湯婆婆が去り、千が出ようとすると、坊は千の手を掴んで遊びに誘う。千が断ると坊は泣き出す。

 千は子供部屋から出ると、暖炉の前に怪我した竜のハクがいた。千がハクにすがりつくと、湯バードが千を襲い、「頭」がハクを穴に落とそうとする。坊も来て千に、遊ばないと泣くと脅す。

 千に付いて来た式神が、少し透けた湯婆婆に変身すると、坊をネズミに、湯バードをハエドリに、3体の「頭」を坊の姿にする。式神に術をかけていたのは、湯婆婆の双子の姉の銭婆だった。銭婆は千に「ハクが大事なハンコを盗んだので渡せ」と言う。ハンコには盗んだものが死ぬようにまじないの  呪文が掛けてあると言う。千は拒否する。

 竜のハクが式神を壊すと、銭婆の姿が消える。竜のハクと一緒に千、ネズミ、ハエドリが穴に落ちる。彼らは通気口を落ち、ボイラー室のカマジイの上に落ちる。竜のハクを見たカマジイは「身体の中で何かが命を食い荒らしている」と言う。それを聞いた千は、河の神にもらったニガダンゴを半分に割り、口を開けさせて竜のハクに食べさせる。するとハクが何かを吐き出す。

出たのはハンコと、黒い幼虫のような物だった。黒い幼虫のような物が逃げ回り、千が足で踏み潰す。それを見たカマジイは、千のエンガチョを切る。

 竜のハクは、人間の姿に戻る。カマジイと千は、ハクの手当てをして寝かせる。カマジイは、ハクが魔女の弟子になるのを反対したと教える。千は、ハンコ(魔女の契約印)を銭婆に返して謝って、ハクを助けるように頼んでみると話す。

 ボイラー室にリンが来て「湯婆婆がカンカンになって千を探している。気前がいい客はカオナシと言う化物で、湯婆婆は千が引き入れたと言っている」と教える。千は「そうかもしれない。お客だと思ったから」と認める。カオナシは3人を呑み込んでいた。

 カマジイは千に電車の切符を渡し、電車で6つ目の『沼の底』という駅で降りろ、と言う。昔は戻りの電車があったが、最近は行きっぱなしだと教える。

 千はハクに「きっと戻って来るから、死んじゃだめだよ」と言う。リンが「何がどうしたの?」と尋ねると、カマジイは「分からんか。愛だ」と教える。

 千が客室に行くと、巨大になったカオナシが暴れて「千を出せ」と要求して、湯婆婆でも押さえられなくなっていた。湯婆婆は千に「あいつをおだてて金を絞り出させ」と言う。湯婆婆はネズミを見ても坊だと気づかなかった。湯婆婆は千だけをカオナシがいる部屋に入れる。

 カオナシは兄役の声で「これ食うか。金を出そうか」と話す。千は「あなたは来た所に帰った方がいいよ。私が欲しい物は、あなたには絶対出せない」と話す。カオナシは「嫌だ。寂しい。千欲しい」と言い、砂金を出して「欲しがれ」と要求する。千は両親に食べさせるつもりだった、残りのニガダンゴをカオナシに食べさせる。

 するとカオナシは苦しんで暴れ、千を追う。湯婆婆は光の球をカオナシに放つが、ゲロのような物を吐かれて埋まる。千はカオナシを誘導しながら下に逃げる。カオナシは呑み込んだ兄役と女を吐き出し、よたよたと千を追う。外に出た千は、リンが漕ぐたらい船に乗る。千は「湯屋にいるからいけない」と言い、カオナシを呼ぶ。カオナシは海に飛び込み、蛙を吐き出して最初の姿のカオナシに戻る。

 たらい船が線路に着き、千とカオナシ、坊、ハエドリは駅に行く。やってきた電車に、カマジイから貰った切符で4人が乗る。電車の中には、影のような人が座っていた。電車は水没した線路を進む。次々に乗客が降り、千達だけになる。

 夜、ハクが目を覚まし、千尋の行方を聞く。

 湯婆婆は、儲けをふいにしたと千を怒っていたが、蛙や兄役は千に命を助けてもらったと感謝していた。湯婆婆は、千が両親を見捨てて逃げ出したと思っていた。

 そこにハクが来て「大切な物がすり替わったのに気づかないか」と問う。湯婆婆はやっと、坊が3体の「頭」と入れ代わっていた事に気付く。砂金は土塊に戻る。湯婆婆はハクに「坊をどこにやった」と迫る。ハクは、銭婆の所にいると教え、「坊を連れ戻す代わりに、千と両親を人間の世界へ戻せ」と交渉する。

 6つ目の駅で降りた千逹は、銭婆の所へ行く。暗い夜道を歩いて行くと、ランタンが千達を迎えに来る。家の中で銭婆は、千逹にお茶を入れて迎え入れる。千は銭婆にハンコを返す。銭婆は、ハンコに呪い虫が付いていなかったかと聞く。千が踏みつぶしたと話すと、銭婆は大笑いし、それは湯婆婆がハクを操るために呑ませた虫と教える。

 銭婆は、千を助けたいけど、両親もハクも自分でやるしかないと話す。千が「ハクと私はずっと前に会った事がある」と言うと、銭婆は「一度会った事は忘れない。思い出せないだけ」と教える。

その夜、ネズミとハエドリは銭婆が糸をつむぐのを手伝い、編み物を教えてもらう。千が帰ると言うと、銭婆は、皆で紡いだ糸を編み込んだ髪留めを千にあげる。千はそれで髪を束ねる。

 竜の姿のハクが千を迎えに来た。元気になったハクを見て千が喜ぶ。銭婆はハクを許し、その代わりに千を守るように言う。千、ネズミ、ハエドリは帰り、カオナシは銭婆の手助けに残る。千は、銭婆に本当の名前は千尋だと明かす。銭婆は、自分の名前を大切にしなさいと言う。

 竜のハクの背に乗った千は、母から聞いた昔の事を思い出す。千は小さい時に川に落ちたことがあった。その川は、埋められて無くなった。その川の名は「コハク川」だと思い出す。千は「あなたの本当の名前は『コハク川』」と言うと、竜のハクの鱗が取れる。

 少年の姿になったハクは、千に「僕の本名はニギハヤミ・コハクヌシだ」と言う。ハクも千尋が自分の中に落ちた時の事を思い出す。コハクが千尋を浅瀬に運んで助けてくれたのだった。

 千とハクは、坊を連れて『油屋』に戻ってくる。ハクは、約束通り、千尋と両親を人間の世界に戻すように言うが、湯婆婆は決まりだから簡単には行かないと言う。立てるようになって成長した坊も、やめるように言うが、湯婆婆は、そうしないと呪いが解けないと言う。

 湯婆婆は、橋に連れて来た沢山の豚の中から、千の両親を見つけろという。千は「この中にいない」と答えると正解で、契約書は消滅する。周りで見ていた人々が喜ぶ。

 自由になった千尋は、ハクと一緒に草原まで走る。両親は先に行っていると言う。草原から先に行けないハクは「千尋は元来た道をたどればいいが、トンネルを出るまでは振り向いてはいけない」と教える。ハクは「湯婆婆と話をつけて弟子を辞め、元の世界へ戻る」と千尋に言う。

 千尋が草原を歩くと、トンネルの前に人間の姿に戻った両親がいて「急にいなくなっちゃダメ」と千尋に言う。今までの記憶が無いらしく、両親は、引っ越しのトラックが来るから早く帰ろうと言う。両親と千尋はトンネルをくぐって戻る。

 トンネルを出ると、車の周辺は草がぼうぼうで、車の中も埃だらけで、父は不思議がる。千尋達は車に乗り、山道を走って戻る。

 (エンドクレジット。主題歌『いつも何度でも』。廃墟の風景)

(写真は「IMDb」より)