監督:山田尚子
主な登場人物(声優)役柄
石田将也(入野自由/小学生時代:松岡茉優)小学校時代に硝子をいじめる。
西宮硝子(早見沙織)聴覚障害の少女。
西宮結絃(悠木碧)硝子の妹。
植野直花(金子有希)小学校時代の将也の同級生。
佐原みよこ(石川由依)小学校時代の将也の同級生。
川井みき(潘めぐみ)小学校時代の将也の同級生。
島田一旗(西谷亮/小学生時代:小島幸子)小学校時代の将也の同級生。
竹内先生(小松史法)小学校時代の将也の担任。
永束友宏(小野賢章)高校時代の将也の同級生。
真柴智(豊永利行)高校時代の将也の同級生。
石田美也子(ゆきのさつき)将也の母親。
西宮八重子(平松晶子)硝子の母親。
石田将也はアルバイトを辞め、家財を売り、貯金を全部下ろして、寝ている母へ金を置いていく。橋から川に飛び込もうとして思い留まる。
(オープニングクレジット。タイトル『聲の形』)
小学校6年生の石田将也は、島田や広瀬とつるんで遊んでいた。ある日、耳が聞こえない西宮硝子が学級に転校してきた。女子は筆談用ノートに書いて会話をして、仲良くなる。
担任の竹内先生は、硝子の耳が聞こえないことを忘れて、授業を進め、同級生の植野は筆談用ノートで手助けする。音楽の合唱の時、硝子は外れた声で歌い出し、同級生は合唱コンクールを心配する。植野は硝子の世話に疲弊する。将也は硝子の口真似をしてふざける。
女子達は硝子といちいち筆談するのを疎く思う。放課後、硝子に将也が「もっと上手くやって行かないと、みんなにウザがられる」と忠告する。硝子は将也に手話で「友達」と伝えるが、将也は「気持ち悪い」と拒絶する。
「聞こえの教室」の喜多先生が児童に硝子と手話で会話することを勧める。佐原みよこは手話を積極的に覚えようとし、植野は「点数稼ぎ」とけなす。佐原が不登校になる。
将也は黒板に、西宮と佐原の悪口を書く。そこに硝子が来て、慌てて将也が消す。硝子は「ありがとう」と書く。
硝子は補聴器をしてくる。硝子の補聴器を将也が窓から投げ捨てる。その後、将也は硝子の耳元で大声を出す、ノートに悪口を描く、足を躓かせる、補聴器を捨てる、水を掛けるなどのいじめを繰り返す。将也が補聴器を強引に取って硝子の耳が傷つく。
帰る時、硝子は将也に「ごめんなさい」と書き、手話で「友達」と伝える。将也は筆談用ノートを池に投げ、硝子が池に入って取る。
硝子が欠席し、教室で校長が、硝子の補聴器が5ヶ月で8個も紛失や故障し、母親がいじめを心配していると話す。担任の竹内先生は将也の仕業だと決めつける。植野と島田は、将也がいじめていたと証言する。将也は島田や女子全員がいじめていたと反論する。同級生は将也を恨む。
いじめの対象が将也になり、池に突き落とされ、筆談用ノートを見つける。将也が家に帰ると、母親が担任からの電話で、将也が硝子をいじめていたと知っていた。将也と母親が謝罪に行く。公園で母親が硝子の母親に謝罪し、補聴器代170万円を弁償する。
将也は学校で内履きを隠され、ボールをぶつけられ、広瀬に首を絞められ、足を躓かされ、荷物をバラバラにされ、水を掛けられる。教室で、将也の机を拭いていた硝子を将也が突き飛ばし、取っ組み合いの喧嘩を始める。
秋、将也は机に書かれた落書きを消し、硝子は落書きを消していたと知る。硝子は転校し、将也は悔やむ。
高校生の将也は手話学習会に参加し、硝子と再会する。将也は覚えた手話で「忘れ物」と筆談ノートを返す。「友達になれるかな」と伝えると、硝子は泣く。
母親は将也の自殺を思い止まらせようと、返した札束に火をつけるぞと脅す。将也は死なないと誓うが、母親は誤って札束を燃やす。
昨日、将也は橋から飛び降りて自殺しようと考え、その前に硝子に謝ろうと思った。硝子が「友達」と返事した事で思い止まった。
中学に入学した時、島田が同級生に「石田将也はいじめっ子だから近づくな」と言いふらしていた。自分が犯した罪は自分に跳ね返る。将也は孤立し、高校でも人間不信から孤立した。
将也が家に帰ると母親が、将也が稼いだ金を燃やした事を謝る。将也は金を稼ぐと誓う。
学校で自転車を盗られようとしていた男子生徒を助け、将也の自転車が盗まれる。将也は硝子にパンを買っていくが、硝子の友達が追い返す。将也は橋から川の鯉にパンをあげる。
男子生徒が田んぼに乗り捨てられていた自転車を見つけ、将也に届ける。彼の名前は永束で、将也の友達になり、一緒に映画を見る。永束は将也に、悩みがあったら話せと言う。将也は友達の定義を聞く。永束は将也の手を握り「これが友達だ」と言う。
将也はまたパンを硝子に持って行くが、硝子の友達の結絃(ゆずる)が追い返す。将也を追って来た永束が結絃に掴みかかる。その騒ぎで人が集まり、将也が逃げ出し、硝子が追いかける。手話で「君に会う理由を考えていた」と将也が言うと、硝子は「嬉しい。私も同じことを考えていた」と答える。将也と硝子は鯉にパンをやる。筆談用ノートが川に落ち、取ろうとして硝子と将也も飛び込んでノートを拾う。その様子を建物の上から結絃と永束が見る。
次の日、学校の友人の間に、将也が水門橋から川に飛び込む写真が出回る。それが元に将也は停学になる。自宅謹慎中の将也は姪のマリアを迎えに行くと、公園に裸足の結絃がいた。ネットに写真を上げたのは結絃だと言う。
結絃は将也の家で夕食をごちそうになり、裸足で家に帰る。結絃は硝子の妹で、家出したのだ。将也は「西宮を泣かせたくない」と言い、送っていくと、西宮の母親が将也を殴る。
次の日、将也は結絃と硝子に会う。硝子は佐原に会いたいと言う。将也は同級生の川井から、佐原が太陽女子学園に行っていると知る。
硝子と将也は電車で一緒に行く。
駅で佐原に会い、佐原は硝子を気になっていたと手話で話す。その場を離れた将也は、町で「にゃんにゃん倶楽部」の割引券を配っている植野を見かける。将也に佐原からお礼のメールが届く。
後日、将也と永束は「にゃんにゃん倶楽部」に行くと猫カフェだった。受付の植野が隠れる。将也と永束は帰る。
硝子は祖母と医者に行き、聴力検査を受ける。将也は家に遊びに来た結絃に、硝子への猫の財布を渡す。結絃が家に帰ると、硝子が泣いていた。
信号待ちの将也の自転車に植野が乗って来くる。植野は将也に、小学校の時の事を謝る。植野は硝子を見つけ、補聴器を取って遊ぶので、将也が止める。植野は付き合っているのかと悪態をついて去る。
硝子は結絃にポニーテールを見せる。結絃は将也に、鯉に餌やりに来るようにメールする。将也は橋でポニーテールにした硝子に会う。硝子は将也に3本の動物の飾り棒を渡し、肉声で「好き」と伝えるが上手く発音できない。将也は「月」だと思い、怒って硝子は帰る。
家に帰って来た硝子は結絃に「好きだと言ったが伝わらなかった」と嘆き悲しむ。
同級生の川井と真柴智も将也の友達になり、佐原、永束と会う。将也は結絃に、この前硝子が言った事をうまく聞き取れなかったので、避けられているのではと嘆く。結絃は遊びに誘えばと助言する。
将也、川井、永束、佐原、真柴、結絃、硝子、植野で遊園地に行く。
ジェットコースターで将也は佐原の隣に乗って尋ねると、植野と同じ学校の同じデザイン科で尊敬すると言う。将也は仲間達と楽しんでいる自分に気づく。植野と将也がたこ焼きを買いに行くと、店員は島田でショックを受ける。植野は将也に「西宮がいなければ、皆ハッピーだった」と話し、将也は否定する。植野は「西宮が来る前に戻りたい」と言う。植野は硝子と観覧車に誘う。結絃は硝子にカメラを渡す。
結絃が将也の家に遊びに来る。観覧車に乗った時に硝子に持たせたカメラの動画を見せる。植野は硝子に「今でもあんたが嫌い。でもこれからは、嫌いなもの同士、穏やかにいかないか」と言う。結局、お互いを理解できなかった。それを見た将也と結絃は複雑な思いだった。
真柴は川井から話を聞き、将也に「小学校の頃植野と硝子がいろいろあったと聞いた。硝子がいじめられていたのでは」と話す。将也は川井に話を聞くと、川井は怒り、真柴と永束に、将也が硝子をいじめていたと話す。将也は気持ちが悪くなって帰る。
帰り道、将也は自分が嫌いだと呟く。将也が水門橋に行くと、硝子、結絃、佐原が鯉に餌やりをしていた。そこに川井、植野、永束、真柴も来る。川井は将也が悪い、植野は川井が悪いと非難する。将也は自分が全部悪いと言う。皆バラバラになる。
結絃は筆談用ノートを見る。祖母は、姉の事ばかり気にしている結絃が心配だと言う。起きると祖母が死んでいた。
夏休みに将也はパンを買うが、水門橋に硝子はなく、制服姿の結絃が泣いていた。将也は結絃を送り結絃は祖母の葬式に行く。
将也は硝子を遊びに誘う。美術館で将也が転ぶと、硝子は「私と一緒にいると不幸になる」と言う。将也は硝子と結絃を毎日、映画や手話教室、ハンバーガー屋に誘う。硝子は母親の誕生ケーキ作りに将也を誘う。将也は硝子の母親を怖がるが、大丈夫だった。母親は結絃に写真を応募したと教える。
将也は、硝子の家族と花火大会に行く。
硝子は途中で「受験勉強があるから」と先に帰る。結絃から、カメラを自宅に取りに行ってくれと頼まれた将也が硝子の家に行くと、硝子はベランダから飛び降り自殺をするところだった。将也は必死で硝子を掴み、引っ張り上げるが、逆に将也がベランダから転落する。
将也は昏睡状態だった。病院で硝子の母親と結絃は、将也の母親に土下座して謝る。植野も硝子を責める。植野を硝子の母親が止め、取っ組み合いになる。2人を将也の母親が止める。硝子は「ごめんなさい」と謝って将也の母親に跪いて泣く。
家で結絃は、どうすれば硝子が死にたいと言わずに済んだか悩み、写真を捨てる。
硝子が将也の見舞いに行くと、病室にいた植野が追い返す。病院に来た永束に硝子は「石田君が築き上げてきたものを壊してしまいました」とメモ帳に書く。永束は「将也は親友だから目を覚ましてもらわないと困る」と書く。硝子は「私が壊してしまったものをもう一度取り戻したいです」と書く。
永束と硝子は川井と真柴に、「辛いから死にたい」という硝子の自殺の理由を話す。川井は硝子に抱き着き、「自分のダメなところも愛して前に進んでいかなきゃ」と話す。
硝子は佐原にも会い、「私が壊してしまったものをもう一度取り戻したいです」と書いたメモを見せる。佐原は「私は変われなかった」と応え、硝子は「これから変わる」と話す。
硝子は病院の前で植野の帰りを毎日待つ。雨の日、傘を差さずに帰る植野に硝子は傘を差す。
ある夜、硝子は小学校時代の夢を見て、将也が死ぬつもりだと言う。目が覚めた硝子は、水門橋へ行き、大声で泣く。同じ頃、昏睡状態だった将也が目を覚ます。将也も硝子の夢を見て、点滴を外し、病院を抜け出して水門橋へ行く。水門橋で2人は会う。将也は硝子に昔の事を謝り、「君を傷つけて、最悪な選択をさせた」と謝る。硝子は「私が変わらなかったから、私がいなくなればいいって思った。」と謝る。将也は硝子に「君に生きることを手伝って欲しい」と頼む。硝子も将也の言葉を受け入れる。
将也は母親と家に帰る。将也は植野が毎日看病に来ていたと聞き、お礼を言う。植野は「おかえり」と言う。
将也が家に帰ると、硝子の母親の髪を将也の母親がカットしていた。硝子の母親は将也に謝る。将也の部屋に冬服の結絃がいて、フォトコンテスト学生の部で優秀賞を取ったと教える。結絃は学校に行き始め、将也に勉強を教えてほしいと頼む。
次の日、将也は自分の学校の学園祭に硝子と行く。
将也は生徒達から噂され落ち込み、教室に入るのをためらう。永束は将也が来て喜ぶ。川井は千羽鶴を渡す。植野は硝子に手話で「バカ」と伝える。将也は皆と文化祭を回り、他人の顔をまともに見られるようになって泣く。トンネルを抜けたように、青空が広がる。
(エンドクレジット)
(写真は「IMDb」「映画com」より)