旅立ち | らくのブログー猫がいる日常ー

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ペットショップでディスカウントされていたアメショの子猫。抱っこしますか?に乗せられて連れ帰ったのが猫との馴れ初め。複数なんてとても…と思っていたのに、いつのまにやら多頭飼い。わらわら居るのが当たり前に。慣れるって恐ろしい。

ふと気がついたら母さんとはぐれていた。あちこち走って探したけれど母さんはいない。ここは何処だろう。母さんと来たことがあるような気もするけど。お腹空いた。喉も渇いた。食べ物の匂いがしないかな。だんだん暗くなってきた。寒いなあ。母さんの側はあったかかったのに。朝が来て夜が来て、お日様が照っていると火傷しそうにあちこちが熱いのに、暗くなるとガタガタ震える程寒い。あれからどのくらいたったのかな。なんだか頭がぼーっとする。あれ?目が開かない。片っぽくっついて開かない。どうしよう、母さーん、母さーん。ツンツンと鼻をつつかれた。目の前にあった網の向こうに真っ白いお姉ちゃんがいた。ずっと一人で寂しかったから、嬉しくて網を潜ってお姉ちゃんの方に走ったら、何かに背中を掴まれて地面が急に遠くなった。
「おーい、このチビ大変だ!目が潰れてるぞ!」
巨人だ!母さんに巨人には近づいちゃいけないって言われてたのに!捕まるもんか、離せー!
「うわっ!こら、暴れるな。噛むんじゃないよ。今、綺麗にしてやるからな。」
目の上に何かが被さった。痛っ、と思ったら目の前が明るくなって髭の巨人が見えた。
「でかい目やにだったけど、目は大丈夫そうだな。良かった良かった。それにしても、ちと臭いなお前。」
「シャンプータオルで拭いてみようか。」
お団子頭の巨人に包まれて、ゴシゴシゴシゴシ...冷たい!変な臭い!やめろー!
「ま、こんなもんでしょ。毎日拭けばそのうち綺麗になるさ。チビ、お腹空いてない?」
何が何だかわからない内に、目の前に美味しそうな匂い。母さんに何か注意されてたけど、お腹が空いて死にそうだったからご飯に飛びついた。それから、さっきの白いお姉ちゃんや、茶色いおばさんや、ちょっと怖い白い兄ちゃんと一緒にいる事になった。白いお姉ちゃんは母さんみたいに優しくて、一緒にいると暖かかった。髭の巨人が父さんで、お団子巨人が母さん。巨人の父さん母さんはご飯をくれる。もう、倒れそうなくらいお腹が空いたり、喉が渇いてヒリヒリする事もなくなった。巨人の住処はお日様がカンカンでも熱くないし、暗くなっても暖かい。あちこち探検して、パリパリ爪を研いで臭いを付けた。毎日毎日、兄ちゃん姉ちゃんと遊んで、怒られて、一緒に寝て。新しい所を探検して、焦茶のおばちゃんにも挨拶して、灰色のおばちゃんにはシャーと言われて。楽しい毎日がずっと続くと思ってた。
雨がザーザー降ってる朝、巨人父さんに抱っこされた。
「さあ、みんなにお別れ言おうね。」
兄ちゃん姉ちゃんとおばちゃん達の処に連れて行かれて、みんなキョトンとしていたけれど、灰色おばちゃんにはまたシャー!と言われた。それから、前にチックンされて怖かった処へ行く時に入った箱に入れられた。もうあそこは嫌だ!と叫んだけど、隣りにやって来た巨人母さんが、「大丈夫、新しいお家へ行くんだよ。」と言った。雨の音が大きくなった。ゴーゴー大きな音がする。「高速で行くか。」と父さんが言った。なんだかガタガタゴトゴト揺れて怖くて叫ぶのを止められなかった。あんまり叫んで疲れてウトウトしていたらガタガタが止まった。雨の音が聞こえない。目を開けたら巨人父さん母さんが、他の巨人達と話してた。いつもと違う場所。兄ちゃん姉ちゃん達がいない。でも、なんとなく匂いがする。
「昨日上の子と一緒に寝ていたタオルです。トイレ砂も少し持って来ました。」
「ありがとうございます。新しい家だと不安でしょうからね。」
新しい巨人父さん母さんだって言われた。巨人兄ちゃんがポヨポヨオモチャを振っているから飛びついた。それから探検。トイレの臭いもする。風が吹いて来るほうに行ったらお外が見えた。前いた処は草むらが見えた。ここはもっと遠くまで見える。ガタンゴトンと音がする。
「近くを鉄道が走っているんですよ。周りはご覧の通り田圃なので、夜カエルの鳴き声がうるさいかも。」
風が気持ちいいなあ。兄ちゃんがまたポヨポヨオモチャを振っている。よーし遊んでやるぞー!