コロナ禍の生活支援金振込間違いについての報道が連日流れている。 その実態が理解出来ずに何気なく見過ごしてきたが、ようやく何が起こっているかが分かって来た。
阿武町の誤振込があったのが4月8日で、もう一月以上40日になる。
そして、間違って振り込んだ相手先との返金交渉が長引いて今日に至るという話だ。
本筋は、ただこれだけの話に過ぎない。 法に則って手続きを進めていれば3日で決着のついた話であった。
理解出来なかったのは報道の拙さ(まずさ)があるが、21世紀の現代において仕事の仕方を知らない行政府、簡単に言えば町役場が有ろうなどとは想像もしなかった事が大きい。
通常目にする自治体は、東京都知事の記者会見だったり、大阪府知事や大阪市長の記者会見が主で、馴れて洗練された会見ばかりを見慣れてしまって、地方間格差を失念していた。
民主主義の基本は、ド素人のオジサン、オバサンが選挙で選任されて政治をつかさどる。
素人さんの政治でも支障を来たさぬよう、行政官が実務を請け負うものと理解しているが、
政治家も行政官僚も地方により能力の格差があることは懸念していた事だ。
これが実際に表面化したのが今回の誤振込事件である。
懸念について少し書いておくと、昨今、地方の再生への努力が奨励される風潮にあるが、地方納税などがその代表と見做しうるだろう。 地方で自己努力せよというのは国家責任の地方への責任転嫁ではないかと考え、以前に地方納税批判で触れたことがある。
地方間格差は、地方の地勢条件の違いをはじめ多くの条件格差を内在する。
それを自治体の努力で評価するのが公平かと訴えたい。国家官僚の能力不足による責任転科だと見ている。
誤振込について書かなければ字数が足りなくなるので話を戻す。
4月8日、誤送金に気付いた町職員が被疑者と接触して返金を求め、ともに返金手続きの為に銀行に赴く。銀行に着いたところで被疑者の返金拒否にあう。
この時点で被疑者の、公金不正取得は成立している。 公金横領でもいい。
被疑者の感情はそれとして、町職員は公務執行の手順を説明して公的手続きに移行することを通告しなければいけなかった。 これは公務員としての職務責任の問題であり、職員と被疑者間の感情論ではない。
いつ警察への被害届が出されたのかは知らないが、40日後の逮捕では金は処理された後であろう。 報道は被疑者の思惑や金の行方ばかりを追っているが、被疑者の思惑など知ったことじゃない。どうでもいい事だ。 問題は被疑者の立件では無く金を取り戻す事だった。
被疑者の立件などは警察と法務官の仕事で、町行政とは目的が異なる。
珍しい事故で、職員の不慣れやパニックがあったと思うが、そういった時の為の法律顧問や、行政顧問機関が存在するだろうに、彼らの存在が見えないのも不思議だ。
国民の声が強くなれば、どうしても行政は臆病になる。特に地方の脆弱な行政は見直しが必要かもしれない。 松尾洋