援助じゃアフリカは発展しない/ダンビサ・モヨ
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『援助じゃアフリカは発展しない』ダンビサ・モヨ
アマゾンのレビューを見ると評判がいいようですが、私は引っ掛かりや違和感を強く持った。
ジェフリー・サックスの提言を否定的に捉えている様子ですが、しかしダンビサはジェフリー・サックスの本をきちんと読んで批判したのか疑念がある。
『援助じゃアフリカは発展しない』には欧州諸国の植民地政策こそがアフリカの健在発展を阻害したという視点が抜け落ちている。
アフリカの人々はアメリカの白人に奴隷にされていた歴史もあり、この歴史的経緯もアフリカ諸国の経済発展にマイナス作用をもたらしているはずだが、この視点も抜け落ちている。
これらの歴史的背景を正面から捉えず、ただアフリカに援助をしてもアフリカの自立の役には立たない。と主張されても、納得いかない。
ダンビサ・モヨは西欧諸国のアフリカへの援助こそがアフリカの自立を損ねる元凶であり、そういう援助はもう廃止するべきである。
というような主張をしているのです。
なぜそう主張するのかの裏付けになる解説もしているのですが、私は納得がいかなかったですね。
私なりに考えてみると、国や地域が発展するかしないかは、その国や地域の人口構成など人口に関係するデータが重要なはずです。
人口のデータが経済の発展にプラスになるような構成ならば、経済が発展するし、そうでないなら発展しない。
都市人口や識字率、就学率、進学率や、英語の使用者人口がどの程度か、そういう数字が大きければ経済発展の可能性は高いが、そうでないなら簡単には発展しない。
陳腐な観察ではありますが、そういうことでしかないだろう。
民主化されているかないか、という観察は的外れだろう。
アフリカで活動する中国人を好意的に評価しているのも気になった。
この本を読んで引っ掛かりを持たないとしたら、そのほうがおかしいと思うが、なぜ評価が高いのか不可解だ。
それから都市論的視点もないです。これもマイナス点。いまではアフリカも都市化が進行している最中なのにアフリカの都市はどうあるべきか、考察がない。
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