- 「新冷戦」の序曲か―メドベージェフ・プーチン双頭政権の軍事戦略/木村 汎
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『新冷戦の序曲か』 木村汎、他
無理に読む必要のない本です。読まないほうがいいです。
『新冷戦の序曲か』というなんとなく勇ましそうなタイトルですが、読んでみると最近のロシア軍がいかに貧窮しているか、という観察が随所に出てきている。
貧窮に喘ぐロシア軍。
という内容ですね。
米国との軍拡競争に敗北した旧ソ連の軍隊の主要部分を負債として引き受けなければいけないロシアが軍の扱いに非常に困っているのが読み取れる。
ロシアの対中国への兵器売却も飽和点に到達しつつあるのではないかという観察もある。
私は自分でロシアが中国に戦闘機などの兵器を売りすぎると、今度は中国がロシアにとっての脅威になるので、ロシアから中国への兵器の売却も、そのうち頭打ちになるのではないかと考えたこともある。(信じてもらえなければお手上げですが)それと似たようなことが書いてあったので、誰でも考えることは同じようなものだと思った。
この本の内容から逸れますが
中国人民解放軍が日本と全面戦争をするという可能性はきわめて低いでしょうね。理由は中国は昔から今に至るまで日本からODAその他、支援、資金援助を受け入れているのであり、さざわざ戦争をして資金援助の流れを止める愚を犯しはしないだろうからです。
日中間のトラブルというのか中国からのちょっかいは領有権争い以上の水準を超えることはないだろう。
中国が台湾へ攻め込むという選択も中国自身の経済を滅茶苦茶にする危険性を孕んでいるので、まずない。と考えるべきだと思う。
中国は台湾も自国の領土であるという、一つの中国、というような建前に固執しているのだろうか、それではいつまでたっても中国が国民国家になる日は来ないだろう。
そして、国民国家に成りきれていないままでは中国国内で人権侵害が頻発するだろう。
中国は普通選挙制度ではない特殊な選挙制度を採用しているのも、台湾も中国の領土に含まれるという建前をくずしたくないが故だろう。
中国が普通選挙を実施するとなると、台湾の人間の選挙権をどうするべきか、どう扱うべきかの問題がでてくる。中国大陸のみで総選挙を実施するとなれば、中国大陸自身が台湾は中国とは別の国家であると、ネガティブな形で認めることになりますから。
台湾も中国国内の領土に含まれるとみなしたいならば、普通選挙はおいそれとできないわけです。
だから中国は一党独裁というよりも、一つの中国という建前に自縄自縛となってしまっているのだと思う。中国は台湾の独立など認めたくないと意地を張っているので、正式な国民国家になりえていないのである。
そう考えたら中国は哀れな国であるという気にもなってきた。
もし中国が日本に宣戦布告をしたとしたら、その中国とはどこからどこであるのか、台湾も宣戦布告をした中国の内部にはいっているのかいないのか、という問題が浮上するし、誤魔化せなくなると思う。
だから中国は台湾問題を抱えているかぎりは他国に対して宣戦布告をすることそのもの自体が不可能だと思う。
近年中国が軍事費を増大させてはいますが、上に書いたような問題があるので、中国人民解放軍が日本にとっての脅威になるということはありえないと思います。
中台問題がどういう形で決着するのかわかりませんが、人民解放軍を脅威として煽るのはたいがいにしてほしいですね。
脱線がはなはだしいが、いつものことです。