【あらすじ】
2001年9月11日早朝、ニューヨークのワールドトレードセンター ビルで、ジェフリー(チャーリー・シーン)とイヴ(ジーナ・ガーション)の夫婦が、弁護士事務所で離婚調停中だ。
ジェフリーは、ウォール街で活躍し財を成した億万長者。家庭より仕事優先で世界中を飛び回っていた。
17年連れ添ったイヴは、家庭を顧みない夫に失望し離婚を決意。離婚したくないジェフリーは必死で妻を説得しようとするが結局は口論になるばかり。
バイク メッセンジャーのマイケル(ウッド・ハリス)、美しく若い女性のティナ(オルガ・フォンダ)、ワールドトレードセンター ビルの保全技術者のエディ(ルイス・ガスマン)、そして調停が不調に終ったジェフリーとイヴの夫婦の5人が、同じエレベーターに乗り合わせる。
突如、エレベーターが大きな衝撃と共に揺れ緊急停止。
彼らは北棟の38階辺りに閉じ込められてしまう。
外部との唯一の通信手段はインターコムを通じて話せるエディの同僚でエレベーターの中央制御室のオペレーターのメッツィー(ウーピー・ゴールドバーグ)だけ。
彼女から、ビルがテロ攻撃で、飛行機がビルに衝突したことを知り、アドヴァイスを受けながら脱出の方法を探るジェフリーたち。
しかし、エレベーターの技術者たちが様子を見に行ったまま、誰とも連絡が取れなくなり、メッツィーもどうすればエレベーターのドアを開けられるのかが判らない。
彼らは、ビルが損壊していく恐怖と闘いながら外への逃げ道を探すが、そんな時、イヴの母ダイアン(ジャクリーン・ビセット)から電話が鳴る。
やがて5人は極限状態の中、それぞれの人生を振り返っていく。
改めてイヴの存在の大きさを感じたジェフリーは、イヴに約束をする、「二度と淋しい想いはさせない」と。
そんな彼らはどうやって、エレベーター、そしてワールドトレードセンター ビルから脱出するのか・・・
【感想】
先日観た「ハイドリヒを撃て!」同様、笑える様なシーンも無く、息詰まる展開が最後まで続き、呼吸が苦しくなりそうだ。
しかも、この映画は殆ど全編がエレベーターという狭い密室の中で繰り広げられるから尚更である。
私、個人的に閉所恐怖症的ところがあり、エレベーターが元々あまり好きではないので、この映画は精神的に結構応える。もう一度観たいと思えない(苦笑)
しかし、現実の9.11では、エレベーター内に閉じ込められ、命を落とした方々も少なからず居ただろうし、脱出出来た方々ももっと大変な恐怖を味わったのだろうと思うと胸が傷む。
閉じ込められる5人の内、ジェフリーとイヴの夫婦とティナが欧州系、マイケルがアフリカ系、エディがヒスパニック系と、米国社会の縮図となっていることは明らかだが、それもそのはず、この映画はオフ ブロードウェイの演劇の映画化なのだそうだ。
従って、最初はエディもマイケルも、ウォール街で財を成したジェフリーにはあまり良い感情が持てない等の軽いいがみ合いの様なものもある。
また、破局したジェフリーとイヴの夫婦が危機的状況の中で愛を取り戻していく、物語にもなっている。
この狭い極限状況というのは、実に演劇的空間であり、先程書いたこととは些か矛盾するが、この原作の舞台はちょっと観てみたいと思う。
最後に、私の大好きな女優ジャクリーン・ビセット(フランソワ・トリュフォー監督の「アメリカの夜」(1973)等に主演)が、既に73歳ながら、衰えぬ美貌をスクリーン上に見せてくれていて嬉しかった。
脚本:マルティン・ギギ、スティーヴン・ゴレビオウスキ
原作:パトリック・ジェームズ・カーソン
キャスト:
ジェフリー:チャーリー・シーン
イヴ:ジーナ・ガーション
エディ:ルイス・ガスマン
マイケル:ウッド・ハリス
ティナ:オルガ・フォンダ
メッツィー:ウーピー・ゴールドバーグ
ダイアン:ジャクリーン・ビセット
上映時間:1時間30分
米国公開:2017年9月8日
日本公開:2017年9月9日
鑑賞日:2017年9月13日
場所:新宿武蔵野館
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