さらに登ると、今度は巨大な魔物が現れた。


白銀の毛皮。


鋭い爪。


額には大きな一つ目。


ランクB、


雪男だ。


雪男は大きく息を吸い込み、猛烈な吹雪を吐き出した。


「また吹雪なのだ……」


しかも今度は吹雪を吐きながら突進してくる。


巨大な拳が振り下ろされた。


ガキィン!


闇王はグレートソードで受け止める。


そのまま斬りつけるが、吹雪で動きが鈍り、雪男は跳躍してかわした。


再び拳が迫る。


その瞬間。


「消えるのだ」


闇王のグレートソードが閃いた。


右腕が光り輝いた


続く二撃目。


雪男の体が真っ二つになり消えていった



さらに登り続け、ついに山頂へ辿り着いた。


そこで見た光景に、闇王は目を見開く。


小型の飛竜に乗ったドラゴンナイトが上空を旋回していた。


その槍が、巨大な白いドラゴンへ突き刺さる。


「シャオォーンッ!」


白いドラゴンが悲鳴を上げる。


翼は血に染まっていた。


「あれがバレッドドラゴンなのだ」


闇王は駆け寄る。


しかしドラゴンナイトは空高く飛び上がり、近づけない。


闇王は急いで傷薬を取り出した。


そしてバレッドドラゴンの翼へ振りかける。


傷がみるみる塞がっていく。


「シャオーン!」


弱々しかった声が力強く変わった。


闇王は優しく頭を撫でる。


「もう大丈夫だ」



その時。


ドラゴンナイトが炎を吐いた。


闇王はグレートソードを盾代わりにして受け止める。


しかし敵は上空から攻撃するばかりで降りてこない。


すると突然、


バレッドドラゴンは闇王に背中を向けた。


「シャオーン!」


「もしかして乗れということなのか?」


「シャオーン!」


元気よく返事をする。


「わかったのだ!」


炎が止んだ瞬間、闇王はドラゴンの背に飛び乗った。


バレッドドラゴンは大きく翼を広げる。


そして――


夜空へ舞い上がった。



地上が遠ざかっていく。


雲を突き抜けるほどの高さだ。


ドラゴンナイトが再び炎を吐く。


闇王はグレートソードで防ぎながら距離を詰める。


そして。


「今なのだ!」


バレッドドラゴンが体当たりを仕掛けた。


その瞬間、闇王は飛び移る。


敵のドラゴンへ着地し、


グレートソードを突き刺した。


閃光。


飛竜は光となって消滅する。


ドラゴンナイトは悲鳴を上げながら落下した。


しかし闇王もまた空中へ投げ出される。


真っ逆さまだ。


その時。


バレッドドラゴンが急降下した。


巨大な背中で闇王を受け止める。


そしてドラゴンナイトは雪山の彼方へ消えていった。



地上へ降り立つと、


バレッドドラゴンは闇王に頬を擦り寄せた。


「シャオーン」


闇王は頭を撫でる。


バレッドドラゴンは嬉しそうに目を細めた。



街へ戻ると、


すでに噂は広がっていた。


門の前には大勢の人々が集まっている。


「お使い様だ!」


「助かった!」


「ありがとう!」


感謝の声が次々と飛び交う。


子供たちは目を輝かせ、


大人たちは深々と頭を下げた。


「別に大したことじゃない」


しかし歓声は止まらない。


夜空には祝福の声が響き続けた。


その日、サーシャの名は、ヴァロック山脈を救った英雄としてさらに広く語り継がれることになった。